1206年チンギス=ハンの即位で始まった13世紀は、「モンゴルの世紀」です。モンゴル帝国は第5代フビライ=ハンの即位に反対するハイドゥの乱で分裂し、14世紀は各ハン国がそれぞれ全盛期を迎えました。しかし、14世紀後半から新しい時代が始まります。つまり、1370年中央アジアの西トルキスタンにあった西チャガタイ=ハン国から登場したティムールは、都をサマルカンドに置いてシルクロード上にある商業都市を支配し、イル=ハン国衰退後のイラン・イラクに侵入しました。そこで1402年小アジアからバルカン半島に拡大していたオスマン帝国とぶつかります。この1402年アンカラの戦いでティムールは、オスマン帝国のバヤジット1世を破り捕虜にしました。勢いに乗ったティムールは、モンゴル帝国の中心だった元を倒した明を討つべく、中国遠征に出発しましたが、残念ながらその遠征中に病死しました。ティムールは「歴史上最高の将軍」といわれています。また、「チンギス=ハンは壊したが、ティムールは作った」という言葉があります。これはティムールがシルクロード上で活動する商業民を保護し、都市文明を築いたことを意味しています。
ティムール死後、その子シャー=ルフの時にティムール帝国(ティムールが作った帝国)は全盛期を迎えました。都はヘラートに移しましたが、サマルカンドを中心とする勢力とヘラートに中心を億勢力とで対立し、やがて帝国は衰退していき、中央アジアをウズベク族に奪われて1500年に滅亡しました。
しかしティムール直系の王族の一人であるバーブルは、アフガニスタンを経てきたインドに入り、1526年パーニパットの戦いでデリー=スルタン朝最後の王朝ロディー朝を倒してムガル帝国を建国した。この「ムガル」とはペルシア語でモンゴル人を意味します。まさに、モンゴル帝国は13世紀にはじまり、1857年まで続いたといえます。