“氷姿雪魄”に背のびする……しろねこの日記

仕事の傍ら漢検1級に臨むうち、言葉の向こう側に見える様々な世界に思いを馳せるようになった日々を、徒然なるままに綴る日記。

蜂蜜色の夕日の光(近況)

2021-11-03 19:50:14 | 日記
ご無沙汰しています。今年もあと6分の1弱になりました
今日は文化の日。しろねこの住む地域は、スポーツでも読書でも芸術活動でも自由に選べそうな、快晴でした。
しろねこが15:30頃、とある目的地から自宅に戻ると、夕日が蜂蜜色の暖かい光でそこらじゅうを照らしながら、西の空に傾いていました。

その目的地とは、母が入ることになるかもしれない墓地です。管理する関係者の方に案内していただきました。
私事ですが、しろねこが生まれてからずっと一緒に暮らしてきた、このブログにも多く登場した母が、9月末に他界しました。しろねこにとっては、10月はあっという間に過ぎました。
長年の病気でここ1年余り不調が進み、8月中旬以降は、自宅に母を残して仕事に行きながら、毎日漠然とした不安がつきまとっていました。
他界した日は、「今日だったのか・・・」という感じで、そこからあれこれがんばりました。出棺の時だけは、すごく泣きました。
父亡きあとは40年近く母ひとり娘ひとりで、わずかな親戚も遠方なので、基本的にひとりでいろいろ駆け回りましたが、誰かしら助けてくださる心強い存在があり、有難いことでした。
それで10月はあっという間に過ぎました。17日の検定は、本当に直前まで母関係のことをして受けたので、空欄だらけでしたが、これからも受検はします。母の生前と基本的に取り組みは変わりません。
母の残したものの整理・片付けはたくさんありますけれど、気長にやります。
とりあえず、ご報告まで。

近況(漢検と関係ないことも沢山)

2021-07-25 17:35:44 | 日記
ご無沙汰しています。

6月の漢検は受けて、まだWEB結果サービスで確認したのみです(「あと34点」)。何をしたと振り返れないくらい勉強しませんでした(「できなかった」と言う気になれないくらいしなかった)。
今回は受検後も忙しくて(最早、臆面もなく「忙しくて」と言ってしまう日々)、WEB通知サービスで結果を見てから、辛うじて自己採点してみました。それでもずれていて、実際の結果より3点少なく出ました。
とりあえず紙の結果待ちです。

載せても何の参考にもならないですが、一応自分で無関心なわけではないので自己採点結果を簡単に。

◆2021年度第1回 自己採点
  音読み         11/20点
  訓読み          8/10点
  書き取り        30/40点
  語選択書き取り      4/10点
  四字熟語書き取り    14/20点
  四字熟語意味選択読み   8/10点
  熟字訓          8/10点
  二字熟語一字訓読み    7/10点
  対義語          4/10点
  類義語          2/10点
  諺            6/20点
  文章題書き取り     12/20点
  文章題読み        9/10点
  計          123/200点

◆2020年度第3回 自己採点(地震の影響で本番受検できず6月受検の直前に解いたもの)
 
  音読み         10/20点
  訓読み          5/10点
  書き取り        34/40点
  語選択書き取り      4/10点
  四字熟語書き取り    12/20点
  四字熟語意味選択読み   8/10点
  熟字訓          5/10点
  二字熟語一字訓読み    7/10点
  対義語          6/10点
  類義語          0/10点
  諺           16/20点
  文章題書き取り     10/20点
  文章題読み        6/10点
  計          133/200点
 
辞典をずっと読んでいません。ノートの開拓も更新もなし。第一の原因はそれです。
数年前あたりから「受けるだけになっているなあ」と思っていたのは、まだ今に比べれば勉強していたのだった、と思います。
一日24時間に対して課していることがもう絶対に多すぎるのですね。しかも、睡眠時間は5時間~5時間半は取らないといけない体になっています。年を感じます。
最近は漢字の勉強が手につかないだけでなく、それとは別に好きな手芸も殆ど作ることがありません。
かといって、元気がないとか無気力というわけでもないのです。ただ、手を付けることがすべて中途半端になっていたり、自分で言うのも何ですが竜頭蛇尾になっているものが増えていたりするようです。
つまり、取り掛かりたいことの数だけ増えて、そのままになっていることもそれに比例して増えているといった感じです。
担任や学年主任をしていた時から比べたら、自分の教科準備に専念できるのは幸せですが、高校に戻ってからやはり生徒からの質問や個別指導も増えて、自分の机を片付けるのもままならない時がよくあります(もともとそんなに机はきれいではないですが。収納すると全部忘れてしまうので、あれこれ出したままにしてしまうタイプ)。
国語科は教材のページ数も多いことが多いので、印刷も含めて多分ものすごい情報量です。高校に戻ってからもう一つの変化は、個人の読書量がどんと減ったことです。
細切れのものには山ほど目を通しているのでしょうが、まとまって本一冊読み終えて、奥付を控えるという行為がほとんどありません。
そしてこのようにできない尽くしなのですが、例えば悲観的になる感情すらなく、ただ自動的に出勤に向かって体が準備しています。それが無心かといえば、それならこんな記事も書いていないでしょうから、多分なにかがおかしいのでしょう笑。
時々、漢検1級を受けたいとか、最近の過去問を解いてみたら30点だったとかしろねこに話しかけてくる生徒や先生もいますが、生徒には「受験のためにはまず英検準1取得が先」と答え、教員に対しては話を聞くことに徹しますがやはり日々の仕事や生活と天秤にかけて、彼らのほうから足踏みしてしまうようです。

ところで、最近それでも通勤時に細切れに読んでいた本で、薄いので先日読み終えた本がありました。2016年に岩波文庫から出された、峠三吉氏の『原爆詩集』です。因みに私が持っているのは2020年に出された第4刷なので、昨年何かの折に購入したものの、読むのに今までかかったということです。青木書店から1952年に出された『原爆詩集』を底本としたものです。
新潮文庫などと異なり筆者の略歴はカバーなどに記されていないので、『原爆詩集』が世に出た翌年に、文学活動により本腰を入れるため、もともと持っていた肺結核の治療に乗り出し手術中にこの世を去ったということを調べて知ったりすると戦慄が走ります。文庫では当時のご本人のあとがきのほか、解説1を大江健三郎氏、解説2をアーサービナード氏が書いているのですが、ビナード氏がそのことに1行触れていて、どう解釈してよいものか、とも思います。
詩集とあとがきを読んでまず感じたのは、当時の人の言葉の力が今の大多数の日本人のそれと比較にならないほど強いという印象であることです。簡単に言って、おそらく言葉に対する本気の度合いというのか、覚悟が違うのだろうな、と思います。
しろねこはこの詩集とほぼ同時に、(漸く)『言葉の海へ』(昭和59年、高田宏、新潮文庫、もとの単行本は昭和53年)で大槻文彦氏のことを読みはじめたところなのですが、そこで戦前の彼らのことを読んでみても、当時の日本人の使命感や思想、命や人生をかけるそのかけ方が、今とはやはり大きく違うと思わざるを得ません。国民がいろいろな意味で、まだ何者かを強く信じる力があった、みんな己の活動の原動力となる信念があったのだ、と思わせられます。若い人にも、きちんと思想があったのだ、と。そもそもこういったことをわざわざ書いている時点で、自分が生ぬるいことを思い知らされ、どの思想にどう踏み込めばどのように行動していることになるのか、その判断がついていない無知な自分なのだということを感じて沈黙してしまいます。また、自分の職業上、たとえば思想をもったり思想に関わるということの重さの意味を個人として考えるだけでなく、教育者としても配慮する必要があるために、余計気持ちが暗くなります。

広島・長崎の原爆投下については、しろねこが育った東北でも勿論ひととおり義務教育で学習はしたものの、どちらかといえば終戦直前の空襲のことのほうが扱われる比重は大きい感があります。ただ、母が東北人より広島・長崎に物理的距離が近い関西人であったこともあり、原爆投下について問題意識を持つよう促される機会は、より多かったかもしれません。かつての教育テレビで番組「日曜美術館」が「原爆の図」を解説しているときなど、母と言葉を交わしながら見ていた記憶はわりと鮮明です。
あとひとつ、被爆体験についてのことで今でも時折思い返すのは、レイモンド・ブリッグズ氏の『風が吹くとき』という絵本です(アニメーションでも出ていますがしろねこは絵本でのみ)。
ブリッグズ氏は、日本では絵本『さむがりやのサンタ』『サンタのたのしいなつやすみ』『スノーマン』が有名で、しろねこはサンタの2冊を、(ほかの夥しい絵本とともに)繰り返し読んで育ちました。それだけその作風に馴染んでいた(つまり、サンタのあまりに人間らしいのどやかな人間的生活の幸せというものを、ブリッグズ氏の描いた絵本の世界から享受していた)あまり、その同じ絵で凄惨な被爆体験を読ませられたときの衝撃。一人の人が一方向の表現活動だけをしているわけではないんだ、人はいくつもの表現方法をもっていて、それを余すところなく表出することがその人の役目であることもあるんだ、ということを小学生の高学年なりに感じました。そして大人になって読み返してみると、また幼少期とは異なった感じ方で恐ろしく思うのでした。

というわけで、日々厳しい受験指導に追われまくっているわけですが(追われるのは生徒であって先生は助けるしかできないことは重々承知ながら)、あらゆる事柄について残されている時間が、それぞれいつ何で断ち切られてもおかしくないという一抹の不安よりも、今できる限りのことを怖がらずにやる、ということに専念して、頑張っていきます。
最後に、最近のお気に入りの音楽はsiaです。「Snowman」(←アニメーションもとっても素敵)と「Bird Set Free」がおすすめです。癒やされ戦う気になれます。

円満字さんの文章が高校国語の教科書に・・・!!

2021-06-16 18:28:04 | 日記
検定前に、まったく別の話題なのですが、私にとってはとてもうれしいことで、こちらに一言触れておきます。
東京書籍の高校国語の新しい教科書に、円満字二郎さんの文章が載っています。
新カリキュラムに向けて、高校の先生方は教科書選定に忙しい時期だと思います。
しろねこのところでもそれは変わらず、これまで採択していた出版社さんにするかどうかも含めて、悩ましいところです。
東京書籍の方とはしろねこが日本語検定を推進していることもあり、自分のことをお話しする機会もあって、
円満字さんのファンであることを伝えていたため、
販売で来校された方に「円満字さんの文章が載っているんですよ」と教えていただきました!!
丸善出版『学鐙』2016春号に掲載の、「同訓異字の似て非なる世界」というタイトルのまま、
東京書籍『現代の国語』(デジタルパンフレットはこちら)の「付録1 教材編」に収録されています。
視点・論点「漢字の使い分けと日本語」(NHKテレビ、2016.4.8)に出演された折のことや、
毎日新聞社「記者報告会・漢字の使い分けを考える」(毎日メディアカフェ、2016.7.20)でゲスト講演された折のことなどが思い出されます。
教科書見本のページを拝見して、なんだか感無量でした。
というのも、出版社にお勤めの頃の、教科書検定のことなどを、ブログなど折に触れて書いていらっしゃったのを記憶していたからです。
教科書の作り手だった円満字さんが、今では書き手として教科書にその文章が掲載されている・・・
思わずふわふわしてしまったのでした。
以上、お知らせです。


偶然の出来事

2021-06-13 19:31:51 | 日記
6月も半ばになり、夏至が近づいて暑い日が多くなってきました。
昨年の今頃は、6月から対面授業が始まり、「今からでもできることをするのみ」と前向きな気持ちで授業に臨んでいましたが、
今年6月になってみると、やはり4・5月の2か月は大きいな・・・と当然のことなのですが思ってしまいます。
というか、4・5月があっても生徒の実力アップには全然足りない。とはいえ、長く演習すればよいというものでもない部分もあるので、与えられた条件で頑張るのみなのですが。
年度当初は心配だった、2年ブランクのあった生徒たちとの関係は思ったより安定していて、高校から入学してきた生徒たちとも気心が知れてきて、年度末までとにかく支えるイメージはついてきました。

先日、とある模試の古文の問題で『源平盛衰記』と『今鏡』の文章が出題され、その解説を日曜に自習登校していた生徒から求められたときのこと。
本文の内容は、藤原多子が二条天皇に再入内した際に、近衛天皇に入内していた当時目にしていた紫宸殿の皇居の内装を再び見る場面なのですが、予習・解説していてふと、
――『讃岐内侍日記』の回想シーンを同時に解説できたら面白いのになあ
という考えが浮かんできました。『讃岐内侍日記』にも帝に仕える立場は違えど、類似の読解パターンとなる回想場面があるのです。
出仕していた堀川天皇崩御の後、作者は一度里下がりしたものの、今度は鳥羽天皇に仕えることになり、やはり建物が同じで昔を思い出すという展開なのでした。
さて、その生徒への解説が終わり、次に予約の入っていた生徒に解説する予習のために、指定された別の模試の過去問を開いたところ、
――なんという偶然!! 問題文が『讃岐内侍日記』ではありませんか!!
生憎抜粋部分は回想シーンそのものではなく、再出仕する経緯の場面ではありましたが、でもこんなことはなかなかないものです。
こちらの生徒も、先ほどの藤原多子登場の模試を解いた生徒だったので、双方の回想パターンの共通点を解説しておきました。
なんだかこういう巡り合わせは、晴れやかな気分になります。

気がつけば漢検1週間前。正直、勉強そのものからは2月の頃より遠のいてしまっていますが、無事受けてきたいと思います。





「好きな四字熟語アンケート」結果発表②~④ 座談会の記事と NHKカルチャーラジオ「四字熟語の不思議な魅力」聞き逃し配信

2021-05-30 19:29:28 | 日記
3月31日の記事で、漢検協会による「好きな四字熟語アンケート」についてのkanjicafeの記事をご紹介しておりましたが、
結果発表④!座談会後編(こちらのページから中編・前編にも行けます。)が5月24日にアップされ、完結となりました。
まだの皆さんは是非ご一読ください。
殊更に円満字さんのご登場が嬉しかったわけですが、
中編で、好きな四字熟語がないと仰りながらも、強いて挙げるならばと太宰治の用いた四字熟語を挙げていらっしゃるところなどは、いかにも円満字さんらしいと感じました。
それと前編で、四字熟語に二種類あるということを円満字さんが仰っているのですが、
しろねこはスローガン的なものよりも、「物事を描写するために文章の中で使うもの」のほうを気に入ることが多いのかも、とアンケートに答えたときに感じていたので、改めてそのお話に頷いておりました。

6月漢検が過ぎてからでは話題にするのは遅すぎるので、今日アップした次第です。

あと、円満字さんのNHKカルチャーラジオ聞き逃し配信「四字熟語の不思議な魅力(1)」の配信が本日21時で終了です。本当にギリギリですみません。
そして次の日曜日に(2)、その次の日曜日に(3)・・・と順に配信終了になります。
こちらもまだの皆さんは(2)からでも、こちらから是非お聞きになってみてください。ちょっとスクロールすると下のほうから(1)(2)・・・と表示されてあります。

明日で5月が終わります。早い~~~。
だんだん暑くなってまいりますので、マスクによる熱中症の虞を避けながら、皆さまくれぐれもご自愛ください。