マスコミが絶対に伝えない 「原発ゼロ」の真実 (TAC出版) | |
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先日、九州電力などいくつかの電力会社が、自然エネルギーの電力買取拒否の行動に出た。私の感想は、もう来たか!というところ。電力の需要と発電(ガスの場合、製造)のバランスは、実に難しい。
私は、都市ガスの需要と製造のバランスを専門にしていたため、このバランス感覚は身についているつもりだ。朝のガス需要の立ち上がりに合わせて、工場でガスを作るんだが、少しタイミングが遅れれば、危険な状態になる。緊張する瞬間を今でも覚えている。しかしガスの場合は、ガスホルダー(街中にあるいわゆるガスタンク)がクッションとなるが、電力には、この機能が全くない。需要分だけ、発電所で作るのである。そして需要がなくなったら、その瞬間に発電所を停止する。これは大変だろう。
そしてもう一つ課題がある。作ったガスや電力を末端需要家まで、きちんと送り届ける、供給網(電力では送電網)を管理しないといけない。こちらは最大能力を管理することになる。今回、幾つかの電力会社が受け入れを断ったのは、この送電網の能力を超える危険性が出てきたからだという。
もともと自然エネルギーの買い取り価格は、非常に高い。そのためこれを商機とみて、国内はおろか、中国資本までが参入している。これが中止となり、小規模発電の業者は怒っているらしいが、もともとむちゃくちゃの価格で売れたんだから、そのくらいのリスクはわかっていたはずだ。
ある企業さんから、自然エネルギーの発電事業をやってみたい、という話があったが、あれは政府の統制価格で、市場価格で勝負するもんじゃないから、やめた方がいいですよ。すぐ安くなるから、と言っておいた。もうその時期が来てしまった。この利益を、レントシーキングというらしいが、こんな利益はすぐに飛んでしまう。ソフトバンクの孫さん、わかってますよね!