花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

Bunkamuraザ・ミュージアム「ルドルフ2世の驚異の世界展」サクッと感想(^^ゞ

2018-03-08 23:56:24 | 展覧会

と言うことで、Bunkamuraザ・ミュージアム「神聖ローマ皇帝ルドルフ2世の驚異の世界展」を観た感想をサクッと(^^ゞ 

ルドルフ2世がプラハ城(フラッチャニ城)に収集展示した驚異の世界を紹介する展覧会ではあるが、去年の「アルチンボルド展」の続きのような気分で観てしまった(汗)。もちろん、サーフェリーとかスプランガーとかヤン・ブリューゲル作品等にも目が惹かれたし、天文学や錬金術にまで及ぶ広大でめくるめく趣味世界の面白さも了解された。でもね、やはり私的にはアルチンボルド《ウェルトゥムヌスとしての皇帝ルドルフ2世像》が今回のハイライトだったような気がするのだ

ジュゼッペ・アルチンボルド《ウェルトゥムヌスとしての皇帝ルドルフ2世像》(1591年)スコークロステル城                                                 

画面の保存状態は決して良くはないが、アルチンボルドの秀逸な寄せ絵構成力と、個々の静物描力の見事な冴え具合を目にすると、彼の一番の傑作と言っても良いかもしれないと思う。頭を飾る葡萄や麦の質感、洋梨鼻に丸々とした林檎のほっぺ。ハプスブルグ家特有のしゃくれ顎を隠す髭の毬栗など💦。更に、野菜の胸部を飾る花々の瑞々しさなどヤン・ブリューゲルにも負けてはいない。それに、何よりもルドルフ2世に似ており、観る者にも確かにその威厳が伝わってくるのだから(・・; 

ちなみに今回の展覧会には若き日のルドルフ2世の肖像も展示されており、壮年のでっぷりした肖像(すみません💦)しか知らなかったので目新しく観てしまった。なるほど…清々しい青年時代もあったのだと…(^^;

それにしても、今回の出展元はプラハ国立美術館やハプスブルグ家と関わり深いエスターハージー財団からの出展の他に、スウェーデンのスコークロステル城からも多く出展されていたのが目を引く。1648年にスウェーデンがプラハを侵略した際、ルドルフ2世のコレクションから多くの作品が持ち去られたのだから...。《ウェルトゥムヌスとしての皇帝ルドルフ2世像》もね。


フラッチャニ城。

2018-03-07 23:40:18 | 読書

今読んでいる「ハプスブルク帝国」に興味深い引用があった。

「もしフェリーペ2世がエル・エスコリアルにおいて全ヨーロッパに及ぶ不屈のカトリシズムの擁護者であったとすれば、ルードルフ2世はフラッチャニ城においてルネサンス人文主義の世俗的、全キリスト教的世界の擁護者とみることができる」(ヒュー・トレバー・ローパー)

ルドルフ2世の時代、宗教紛争に帝国が揺れていたことを忘れてはいけないと気付かされた。


欧州寒波。

2018-03-04 20:05:21 | 西洋絵画

欧州を襲った強力な寒波は各地で被害を出しているようで大変ですね。

オランダのアムステルダムでは運河が凍り、市民たちがスケートをしているとのこと。

https://netallica.yahoo.co.jp/news/20180304-41316850-techinq 

なんだか、これってまるでブリューゲル《鳥の罠のある冬の風景》みたいじゃありません?(^^;; 

 ピンボケ写真なので下記URLをご参照あれ(^^;

ピーテル・ブリューゲル(父=1世)《鳥の罠のある冬の風景》(1565年)ベルギー王立美術館

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Pieter_Bruegel_d._%C3%84._093.jpg

ちなみに、長男ピーテル2世の模写作品が東京都美術館「ブリューゲル(一族)展」に展示されていましたね(^^;


銀河チャンネルで「カルロス-聖なる帝国の覇者」が...。

2018-03-02 23:08:26 | テレビ

銀河チャンネル-スカパーで「カルロス-聖なる帝国の覇者」が3月5日(月)から放送されるようだ。

https://www.ch-ginga.jp/feature/carlos/index.html

見たいけどスカパーに入ってないし…(涙)

スペインの連続TV番組のようで、「ファナ~狂乱のスペイン女王」もあるみたい(・・;) 

ちなみに、カルロスは初めスペイン語を殆ど話せなかったはずだが、番組の中ではきっと最初から流ちょうなスペイン語を話すのだろうなぁ(笑)

で、今読んでいるのが岩﨑周一著『ハプスブルク帝国』(講談社現代新書)。

 「ルドルフ2世の驚異の世界展」&「プラド美術館-ベラスケス展」を観る前から読み始めているのだが、最後までなかなかたどり着けない(^^;。1000年の歴史だから、かしらね??


東京国立博物館「仁和寺と御室派のみほとけ」サクッと感想。

2018-03-01 01:16:25 | 展覧会

東京国立博物館「仁和寺展」を観た。仁和寺・御室と言えば、私的にはその門前に窯を構えていた仁清を想起してしまうという、恥ずかしながら殆ど予備知識無しで展覧会を観てしまった  

故に、真言密教系で、宇多天皇を始め(888年)とする門跡寺院であることも初めて知ったし、解説に「阿闍梨」がでてきて、あれっ?昔読んだ「とはずがたり」に出てきた阿闍梨って仁和寺だったのだ!と、これも今更ながら気が付くほど(汗)。なので、初めて尽くしで本当に面白く観ることができたのだった。その中でも特に興味深かったものをピックアップしてみたい。 

まずは、仏像!!

観音堂を展示室に再現したのには驚きでしたわ(笑)。このコーナーだけは撮影可(^^)v 

それ以外の画像は下記↓東京国立博物館の公式サイトをご参照あれ。

http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1868#top

もちろん見応え有りだったのは葛井寺蔵《千手観音菩薩坐像》!!本当に手(腕)の数が凄い。横から背後から、その構造を見ると、観音様は千手を背後に括り付けていらっしゃるのだ。観音菩薩様の手は当時の人々の願い事の多さを物語っているように思えるし、菩薩様はその願いを背負っているのだろうなぁ、きっと。今の私たちだって困ったときの神頼み(仏さま頼み)してしまうし(^^;; 

で、私的一押しは道明寺《十一面観音菩薩立像》(8~9世紀)である。しみじみ見惚れてしまった!!菩薩様の纏う天衣の流れのなんと美しいことか!!!定朝の雅な平安仏以前に、このような見事な仏像が彫られていたのかと想うと驚きに堪えない。

http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1868#5

実は、近場にあった仏像も展示されていた…。仙台の龍寶寺が御室派のお寺さんだと初めて知った(^^ゞ。大崎八幡神社の裏にあるのだけど訪れたことはなくて、今回その堂々とした秘仏《釈迦如来立像》を拝見できたのは幸いだったと思う。春にはぜひ御室桜のクローン桜を見に行きたいな。

http://ryuhouji.org/property.html 

で、書!!(私には書はよくわかりませんがね)

まずは、空海(ほか)の「三十帖冊子」から、空海筆のページが展示されていた。細かな字で必死に写していることが偲ばれる。この冊子を収めた《宝相華迦陵頻伽蒔絵冊子箱》も蒔絵好きとしては目の果報だった。 

http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1868#1

で、私的に一番驚いたのは、後京極良経筆《般若理趣品》だった。丸っぽい四角文字の筆跡が藤原定家に似ているのだもの!! もちろん、御子左家は九条家に仕えていたから、両者の影響関係ってあるとは思うけど、良経って名筆で有名じゃありません?? って、私は今までその名筆跡を見る機会が無かったのだけれど、定家の「明月記」の筆跡(ド素人目には上手いとは思えない(^^;)は見て知っている。もちろん、和歌用の筆跡と、お経用の筆跡って用途は違うとは思うけど、塚本邦雄が(和歌を)絶賛していた良経だからこそ、私的には今回展示の筆跡にちょっとがっかりしたのだ(汗)。できれば、これぞ良経!という筆跡を見てみたいものだ。 

ということで、まだまだ見どころは多く、質も量も満足させてもらえた展覧会なのだが、長くなってしまったので、気が向いたら続きを書きたい。なにしろ、サクッと感想なもので(^^ゞ