先日(9月2日)NHKのBS3で「盗まれた長安」を見た。ちょうど「沙門空海…」から「長安の春」もパラパラ再読したところだったので、とても興味深く見てしまった。
「いま西安は発掘ラッシュ。かつて世界最大のメトロポリスだった唐の都・長安があった街だが、昔の栄華をしのぶよすがは今、ほとんど残されていない。ところが最近の経済発展に伴う開発工事で、遺構が次々と見つかり、幻の都・長安の国際性や文化の多様性が次第に明らかになってきた。中でも今回盗掘された皇后の「石槨(せっかく)」という至宝は宮廷の華やぎを伝える極めて貴重なもの。果たしてお宝を取り戻すことはできるのか」(NHKのHPより)
面白かったのは中国の考古学者の上を行く凄い墓泥棒の存在で、何と武恵妃の墳墓(貞順皇后石槨)を発見・盗掘してしまった。それも、重さ何トンもする石槨自体をさらに分解し、香港経由で米国のコレクターに売ってしまったというから驚きだ(@_@)
警察と考古学者がタッグを組み捜査し、無事石槨も中国に返還されたのだが、墓泥棒はPCに盗掘画像を几帳面に保存していたので、なんと隠していた宰相韓休の墳墓壁画の盗掘まで発覚してしまった(;''∀'')。犯人は結構愛嬌のあるオタクっぽい泥棒さんで、考古学者よりも凄腕だと思った(笑)
番組で紹介されたそのPC画像には、貞順皇后の石槨も、宰相韓休の墳墓壁画も、発見当初の色鮮やかな姿で収められたいた。やはり時間が経過すると(空気に触れることにより)退色してしまうのがわかる。唐時代の墳墓は壁画の酸化を防ぐため、職人が最後に蝋燭を灯して封印したという。当時の職人たちの知恵も素晴らしいよね。
で、今回の番組で私的に非常に興味深かったのは、宰相韓休の墳墓壁画に風景画が描かれていたことで、中国の学者さんが「山水画の誕生」としていた。この発見で山水画の起源は宋代とされていたものが唐代とみなされるようになったようだ。
以前、ミラノ「MITO E NATURA」展の感想文でも、ヴェルギナ(マケドニア)のフィリッポ2世(アレキサンダー大王の父)墳墓の風景画を紹介したことがあるが、時代も所も違えども、風景画の起源はやはり墳墓画にあるのではないのか???などと、美術ど素人は勝手に妄想してしまったのだった(^^;;;
上記で触れた「MITO E NATURA」展《狩りの風景》画像は、ポンペイ遺跡の壁画だったようで(汗)、画像は削除しました。(ご指摘ありがとうございました!!>山科さん)
ヴェルギナのフィリッポ2世の墳墓《狩の風景》↓ も風景画風なのでご参照あれ。
参考:ヴェルギナ(英:Vergina , Greek: Βεργίνα)のフィリッポ2世の墳墓
https://en.wikipedia.org/wiki/Vergina#/media/File:Facade_of_Philip_II_tomb_Vergina_Greece.jpg