「Curious George」シリーズの1冊。1966年の著作権表示があるので、この年に出版されたのだろう。この本も英語絵本の電子書籍版で読んだ。シリーズの第7作で、H.A.REY の生前における最後の作品である。「Read-Aloud ebook」として、ナレーションが入っている。
タイトルにある通り、ジョージが病院に入院する羽目になり、病院では彼の好奇心が災いして、大きな騒動を引き起こすというお話。だが、その騒動で、今まで笑わなかった入院患者の女の子が大きな声で笑うというプラスの効果があった。その笑いが騒動の場の人々に伝搬していき、大きな笑いの幸せが生まれジョージは情状酌量というハッピーエンドに。最後に、もう一つのオチがある。
ジョージの友達、黄色帽子の男の机の上に、大きな箱が置かれていた。好奇心旺盛なジョージは、箱の蓋を開けて中身を見る。様々な色と形の小片が入っていた。キャンディーのように見えたので、ジョージはその小片の一つをつかみ呑み込んでしまった。
家に戻って来た黄色帽子の男は、その大きな箱の中身はジグソーパズルだよ、と言ってジグソーパズルに取りかかる。ほぼ完成まで行くが、一片が足りない。
探しても見つからない。探しあぐねて黄色帽子の男が言ったのが。”It can't be helped." である。辞書を引くと、そのまま成句として載っている。「仕方がないよ。どうしょうもないよ」という意味と説明が付いている。
子供時代に絵本を通じて、自然にこんな表現を身につけるんだなとまず思った。この文を読んだとき、意味合いは想像できたが、辞書に載る説明文がすぐには思い浮かばない。つまり、この成句を身近な表現として知らなかったのだ。
絵本に記されている文は比較的やさしい構文なので、読み進めるのにさほど抵抗がない。だが、やさしい文であっても、知らない/使ったことがない単語が散見される。子供達が絵本から学ぶ単語を、今まで知らずに来たということ。子供読む絵本だからといって、非英語圏の人間には絵本をバカにできないと思う。子供達がどんな単語を自然に学んで行くかがわかる。非英語圏の大人にとっても役立つ教材になる。
余談だが、私が初めて知った単語を列挙してみよう。tummy(おなか)、stethoscope(聴診器)、ward(病棟、病室)、transfusion(輸血)。この単語は、blood transfusion として文に出て来て、絵にも描かれているので、意味は察したが単語を知らなかった。tuck(<人を>を[毛布などで]包み込む)、ramp(傾斜路、スロープ)。また、corridor という言葉を辞書で学んで知っているものの、逆に日常で使われている単語 hallway(廊下)を学ぶことになった。
病院の話なので、admitting office という語句が当たり前のように出てくる。admit とい動詞の一側面の意味を理解していても、この語句のような使い方には無知だった。アメリカで生活していれば自然に知る言葉なのだろうけど。
この絵本では、黄色帽子の男が、痛みを訴えるジョージをまずかかりつけの医者に連れていく。診断をしても原因不明ということで、病院に行きX線の診断を受けるように助言される。医者は病院に連絡を入れてくれた。その結果、ジョージは病院でバリウムを呑まされて検査を受ける。異物が発見された。黄色帽子の男は画像を見て、ジグソーパズルの小片と気づく。ジョージは手術を受けるために入院することに。そこでまず行くように指示されたのが、admitting office である。入院手続き受け付け窓口である。admit を入院させるという意味で使うなんて、意識したことがなかった。
ジョージは、病院の児童病棟に入院する。手術を受ける事前プロセスとして看護婦さんによる血圧測定、体温測定など病院での一連の手続きが描写される。
One nurse was taking his temperature; one was taking his blood temperature; one was giving him a pill ("To make you sleepy, George," she said), and one was getting ready to give him a shot.
なんと、実に簡単な単語で表現できるんだろう。そんなことに気づくしまつ・・・・。
手術後に好奇心旺盛なジョージがいろんなことをしでかす場面が続く。それらがおもしろおかしく描かれて行く。
ギブスをはめた子が車椅子に乗っている。その子がギブスを外して歩行を試みることになる。空になった車椅子にジョージは乗ってみたくなる。それが騒動を引き起こす。
この車椅子、なんと go-cart という言葉で表されている。ああ、こんな風にも使えるんだ!
ジョージが退院する最後の場面で、病院の窓から子供たちがジョージに手を振って別れの挨拶を送ってくれる。 waving goodbye と記されている。wave ⇒名詞:波、動詞:揺れる、波動する、なんて覚えていた私には、頭にガツン。「手を振って合図する、あいさつする」という意味があったんだ・・・・と。
ますます、絵本の効用を知ることに・・・・。
大人にとっても、絵本はおもしろい。英語学習、英語リハビリ学習の友にもなる。
ご一読ありがとうございます。
こちらもお読みいただけるとうれしいです。
『Curious George Learns the Alphabet』 H.A.REY Houghton Mifflin Harcourt
『Curious George and the Birthday Surprise』 MARGRET & H.A.REY Houghton Mifflin Company
『Curious George Goes to a Movie』 MARGRET & H.A.REY Houghton Mifflin Company
「Cinderella」 Retold by Casey Malarcher illustrated by Necder Yilmaz Compass Publishing
THE LION KING Adapted by Kathryn Collins Disney PRESS
タイトルにある通り、ジョージが病院に入院する羽目になり、病院では彼の好奇心が災いして、大きな騒動を引き起こすというお話。だが、その騒動で、今まで笑わなかった入院患者の女の子が大きな声で笑うというプラスの効果があった。その笑いが騒動の場の人々に伝搬していき、大きな笑いの幸せが生まれジョージは情状酌量というハッピーエンドに。最後に、もう一つのオチがある。
ジョージの友達、黄色帽子の男の机の上に、大きな箱が置かれていた。好奇心旺盛なジョージは、箱の蓋を開けて中身を見る。様々な色と形の小片が入っていた。キャンディーのように見えたので、ジョージはその小片の一つをつかみ呑み込んでしまった。
家に戻って来た黄色帽子の男は、その大きな箱の中身はジグソーパズルだよ、と言ってジグソーパズルに取りかかる。ほぼ完成まで行くが、一片が足りない。
探しても見つからない。探しあぐねて黄色帽子の男が言ったのが。”It can't be helped." である。辞書を引くと、そのまま成句として載っている。「仕方がないよ。どうしょうもないよ」という意味と説明が付いている。
子供時代に絵本を通じて、自然にこんな表現を身につけるんだなとまず思った。この文を読んだとき、意味合いは想像できたが、辞書に載る説明文がすぐには思い浮かばない。つまり、この成句を身近な表現として知らなかったのだ。
絵本に記されている文は比較的やさしい構文なので、読み進めるのにさほど抵抗がない。だが、やさしい文であっても、知らない/使ったことがない単語が散見される。子供達が絵本から学ぶ単語を、今まで知らずに来たということ。子供読む絵本だからといって、非英語圏の人間には絵本をバカにできないと思う。子供達がどんな単語を自然に学んで行くかがわかる。非英語圏の大人にとっても役立つ教材になる。
余談だが、私が初めて知った単語を列挙してみよう。tummy(おなか)、stethoscope(聴診器)、ward(病棟、病室)、transfusion(輸血)。この単語は、blood transfusion として文に出て来て、絵にも描かれているので、意味は察したが単語を知らなかった。tuck(<人を>を[毛布などで]包み込む)、ramp(傾斜路、スロープ)。また、corridor という言葉を辞書で学んで知っているものの、逆に日常で使われている単語 hallway(廊下)を学ぶことになった。
病院の話なので、admitting office という語句が当たり前のように出てくる。admit とい動詞の一側面の意味を理解していても、この語句のような使い方には無知だった。アメリカで生活していれば自然に知る言葉なのだろうけど。
この絵本では、黄色帽子の男が、痛みを訴えるジョージをまずかかりつけの医者に連れていく。診断をしても原因不明ということで、病院に行きX線の診断を受けるように助言される。医者は病院に連絡を入れてくれた。その結果、ジョージは病院でバリウムを呑まされて検査を受ける。異物が発見された。黄色帽子の男は画像を見て、ジグソーパズルの小片と気づく。ジョージは手術を受けるために入院することに。そこでまず行くように指示されたのが、admitting office である。入院手続き受け付け窓口である。admit を入院させるという意味で使うなんて、意識したことがなかった。
ジョージは、病院の児童病棟に入院する。手術を受ける事前プロセスとして看護婦さんによる血圧測定、体温測定など病院での一連の手続きが描写される。
One nurse was taking his temperature; one was taking his blood temperature; one was giving him a pill ("To make you sleepy, George," she said), and one was getting ready to give him a shot.
なんと、実に簡単な単語で表現できるんだろう。そんなことに気づくしまつ・・・・。
手術後に好奇心旺盛なジョージがいろんなことをしでかす場面が続く。それらがおもしろおかしく描かれて行く。
ギブスをはめた子が車椅子に乗っている。その子がギブスを外して歩行を試みることになる。空になった車椅子にジョージは乗ってみたくなる。それが騒動を引き起こす。
この車椅子、なんと go-cart という言葉で表されている。ああ、こんな風にも使えるんだ!
ジョージが退院する最後の場面で、病院の窓から子供たちがジョージに手を振って別れの挨拶を送ってくれる。 waving goodbye と記されている。wave ⇒名詞:波、動詞:揺れる、波動する、なんて覚えていた私には、頭にガツン。「手を振って合図する、あいさつする」という意味があったんだ・・・・と。
ますます、絵本の効用を知ることに・・・・。
大人にとっても、絵本はおもしろい。英語学習、英語リハビリ学習の友にもなる。
ご一読ありがとうございます。
こちらもお読みいただけるとうれしいです。
『Curious George Learns the Alphabet』 H.A.REY Houghton Mifflin Harcourt
『Curious George and the Birthday Surprise』 MARGRET & H.A.REY Houghton Mifflin Company
『Curious George Goes to a Movie』 MARGRET & H.A.REY Houghton Mifflin Company
「Cinderella」 Retold by Casey Malarcher illustrated by Necder Yilmaz Compass Publishing
THE LION KING Adapted by Kathryn Collins Disney PRESS