今まではエネルギー消費を減らすことに重点を置いて業務を行って参りました。それは化石燃料等の資源枯渇を先送りすることに貢献できると考えたからにほかなりません。しかしながら今般の電力不足を考えると、エネルギーを作り出すことの重要性も認識せざるを得ません。電力を作るのは電力会社に任せておけば良い。それは大規模・集約化した方が効率的であろうと考えておりました。少なくとも化石燃料の場合には、現在でもその方が合理的であるでしょう。しかし、原発問題でも明らかなように集中化は避けなければならないものと考えます。多様な供給源があった方が足腰が強くなることは疑う余地はないものと思われます。
そこで、私が取組みたいと考えているのは、マイクロ水力発電とバイオマスです。マイクロ水力発電は、省エネに取組むようになった原点でもあります。水力発電所の設置に関しては、河川法や水利権などに絡む多くの規制が存在します。これらの規制緩和が求められるでしょう。そしてまた行政書士としての業務としても、これら諸問題に専門性を活かして取組む意義があると思っております。また、身近なことで言えば、農業用水路の維持管理問題は、近い将来切実な問題になるであろうと推測されます。農業用水路に水力発電設備を設置し売電すれば、水路の維持管理費用の一部でも捻出可能かと考えます。
更に、バイオマスに関しては、直接には発電が考えられますが、廃熱の利用が困難なことが多いと思われますので、エネルギー効率の向上が望めません。そこで木質ペレットにしたものを直接燃料とする方が、電力に変換するよりエネルギー効率を高くすることが可能です。化石燃料を消費する代わりに木質ペレットを燃すようにします。このためには、ボイラーやストーブなどの設備更新が必要となりますが、これは補助金が活用できます。
木質ペレットの活用に関しては、林業の再生や地場産業の振興にも寄与します。また、コンパネなどの建築廃材を木質ペレット化する技術も確立しているようです。これなども産業廃棄物の再利用を促進することにつながります。
水力発電もバイオマスも何も新しい技術ではありません。むしろ、薪ストーブなど古くからあるものです。非効率、不便などの理由で廃れていったものです。しかしながら、大規模化・集約化・効率化などなどの経済合理主義の成れの果てが現在の状況を作ったのかも知れません。私は経済合理主義を全て否定するものではありませんが、経済合理主義一色に染まってしまうのには疑問を呈します。そういった意味で従来技術を現代的視点から見直すことも重要なことではなかろうかと考えているところです。
それに太陽光発電や風力発電は、経済合理主義の延長線上にあります。それこそ皆さんが挙って参入されていることでしょうから、へそ曲がりの私の預かり知らないところです。私は身の回りのことから発想し、こそこそと地道に努力をしていきたいと考えております。
<参考> 「農業用水路はいつまで維持できるか?」 「農業用水路の維持」