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【将棋ウォーズ自戦記】弾丸的戦術 ~筋違い角の強襲

2022-04-18 01:08:00 | 将棋ウォーズ自戦記
 立ち上がり早々に筋違い角を打たれた。とりあえず角を成られないように。角の退路をみて銀でも押し上げて。こちら側に用意されているビジョンと言えばせいぜいその程度のレベルだ。一口に筋違い角と言っても、角を打った後の引き方、飛車の使い方、玉を囲う方向など、様々なバリエーションがあり、その辺りを見極めて対応を練るのが本筋だが、時間がない中ではいきなり迷子である。それに対して相手の指し手の速いことと言ったら!

  1秒でも遅くはないが、0.3秒だと圧倒的に「速い」と感じられる。そのスピード感に慣れていないとまさにそれだけで「圧倒」されてしまいそうになる。そのスピードの源は「経験」だ。ちょっとマニアックな戦法の使い手は、だいたいその道のエキスパートで、圧倒的な経験を武器にした「超早指し」であることが多い。

 僕はふらふらと二枚銀を中央に繰り出して筋違い角の頭に狙いをつけた。しかし、そこは銀が守っているし角の下は四間飛車となっていて憂いは少ない。こちらが中途半端な矢倉に囲う間に相手はしっかりと美濃に組んでいる。

 これというビジョンもないままに、右辺から激しい戦いになって、さばけているのはどうみても筋違い角の陣だった。圧倒的な「スピード」の前に振り切られて、瞬く間に投了もやむなしとなった。足りなかったのはそれなりの対策と陣、超早指しについていくメンタルではないだろうか。



 ~弾丸的戦術

 本格的な持久戦となると中盤の駒組みで時間を奪われる。例えば角がにらみ合って手出しが難しいような状況。(相振り飛車など)千日手模様になったり、仕掛けのタイミングをはかって駆け引きするような状況は厳しいものがある。下手をすると中盤辺りで時間が切れそうになり、それはまずいとみて少し無理でも仕掛けていくという将棋になることも多い。

「だったら最初から仕掛けていこうよ!」

 ということもあってか、3分切れ負けではわかりやすい攻撃的な戦法(時に奇襲)に割と人気が集まっているように思える。棒銀、右四間飛車、右玉、原始中飛車、筋違い角……。
 多くの棋士にとって、将棋は攻めた方が楽しいものだ。
 相手より経験値が高くて攻めていれば、時間だって飛ばせる。短い時間だからこそ、自分のペースで戦えることは何より重要なことかもしれない。








~10分で言い訳はできない

 忙しい現代人にとって僅か6分で一局が消化できる「3分切れ負け将棋」はとてもありがたい形だ。6分以内と言っても実際にはもっと早く終わってしまう場合も少なくない。相手のスピードによっても大きく変わってくる。終局するとは言え、必ず詰みまでいくというわけではなく、あまり考えすぎてしまうと中盤に入るところで時間切れになったりもする。

 必勝の形を築きながら、王手ラッシュをあびて無念の時間切れという経験は誰にでもあるだろう。(僕の場合はだいたい半分以上は時間切れで負けているかもしれない)詰む詰まないまで進むということは、それだけでもわるくないことだ。

 ちゃんと将棋で終わらないというところは、不満に感じる人も多く、不完全燃焼では許せなければ、他のルール(10秒将棋や10分切れ負け)の方を選ぶべきだろう。3分切れ負けのサクサク進むリズム(駆け抜ける感じ)はくせになるところがあり、時間に余裕があるという状況でさえも気がつくとこちらを選んでしまうことがある。一局にかかる時間が短いということは、ある意味では気持ちも軽い。負けてもそんなに疲れがないのだ。

 たまにはもっと内容のある将棋を指したい。
 3分切れ負けばかり指しているとその反動からか、そういうことを考える日がある。たまにはちゃんと腰を据えて、お茶でも飲みながら「読み」を伴う将棋も指した方がよいのではないか。
 10分の将棋は3分に比べると急に重くなった気がする。20分互いにフルに使い切って終わる戦いばかりではないが、だんだんと削られていく時間をみているとハラハラする。そうした状況の中で苦しみながら「考える」という経験こそが、将棋の上達には大切なことではないだろうか。

 しっかりと「悩んだ時間」があるからこそ、終わってからの反省や納得するものもぐっと深まるものがあり、将棋の理解として身につくのではないか。少しは考えて指した手(結論)が冴えないものなら、それは実力として受け止めねばならない。
 3分で広く経験値を上げ、10分で力を深めていく。そうした使い分けはいかがだろうか。


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