眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

モモに会いに

2019-09-06 07:41:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
畦道に
踊り疲れた
亀を置き
ケンタッキーに
進む野ウサギ

(折句「アオカケス」短歌)
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ホームゲーム

2019-09-06 04:54:07 | ワンゴール

「敵もなかなかやりますね」

「敵も同じように思っているかもしれないがね」

「とても勝てない相手には思えません」

「我々のホームに来たチームにしては、今のところよくやっている」

「本来の力を出せれば、一蹴できるでしょう」

「早く力を出してもらいたいものだよ」

「そこがホームなのか、アウェイなのか、僕はだいたい最初にそれを肌で感じます」

「あの大声援が聞こえないのか? ここは紛れもないホームだ」

「例えばそれは扉を開けた瞬間の部屋の空気でわかります」

「私はスタジアムに一歩足を踏み入れた瞬間にわかったね」

「例えば初めて座る椅子に腰掛けた瞬間、どうにも心地の良くない椅子というのがある。それが本当に自分に合っていないのか、以前自分が身を置いた場所との違和が不安にさせるのか、よくわからない時があるんです」

「私はずっとベンチに座っていられない。すぐに熱くなってしまうからね」

「もう少し時間が経って自分の身体に馴染んできた時、それは正に自分のために作られた椅子であるように思える」

「まあ、そういうこともあるだろうな」

「それは遅れてやってきたホームなんです」

「君もここがホームだとはわかっているんだろう?」

「けれども、その他の物についてはどうか。不安は消えたわけではありません。テーブルについてはどうか、壁については、照明については、カーテンについてはどうか。椅子がホームだからといって、すべてのホームを保証するものではないと僕は気づいてしまった」

「完全なホームを求めるのは幻想ではないかね?」

「監督、その通りなんです。完全なホームなんて、どこにもない幻想なんです。僕らはある部分的な何かを指して、あるいは数の理論だけに沿ってホームを決定していただけです」

「心ない者もいる。それはどこにいても仕方のないことだ」

「それでどうしても揺れてしまう」

「自分を信じるんだ」

「ちょっとしたところで、変わってしまうと気づきました」

「その発見がゴールにつながるなら、喜ばしいことだ」

「本当に、ちょっとしたことで……」

「時間が進んでないんじゃないか?」

「僕はずっと考えているんです」

「いったいここの時計はどうなっているんだ」

「僕は考えるストライカーなんです。考える間というものは、時間は止まるものでしょう?」

「おかしいじゃないか。審判が考える時間まで考慮するのか。おい、審判! ちゃんとしろよ!」

「監督、落ち着いてください。大事なことは、時間が止まっている間は、スコアも動かないということです」

「やっぱり止まっているのか。全く、何を考えているんだ」

「ゴールについてのすべてです。すべてについてのゴールです」

「それでいつになったら、ゴールは生まれるんだ?」

「色んなことを考え、考えすぎながら動いていたのです」

「だろうな。あまり効率的な動きには見えない。周りとの連携もはまっていない」

「いつも先に疲れるのは頭の方です。僕は少し頭と身体のバランスを崩しかけています」

「戦えない選手なら、私も考えることになるだろう」

「遠く離れた町に僕はいました。誰もかれもが敵に思える。靴下を揃えた者たちが囲んでくる。味方なんて誰もいない。大柄な選手に体をぶつけられて僕はよろめく。もうおしまいだ。奪われてしまうんだとあきらめかけていた時に、どこかから声が聞こえる。そんなはずはないのに、とても近くに感じられる声」

(頑張れ!)

「熱心なサポーターが来てくれていたんだな」

「その瞬間、僕の中で朽ちかけていた力が目覚めました」

「一つの声で選手は変われるものだ。さあ、自分を取り戻せ」

「自分と同じ色の靴下を履いた存在に気づきました」

「味方がフォローに来たんだろう」

「どこにもスペースのなかったところから僕は反転したのです」

「新しいターンを見つけたんだな。それを思い出せれば、ここでできないことは何もないはずだ。さあ、早く戻って来い!」

「ここはホームなんですね」

「ようやく時計が動き始めたようだ」

「ホームの風が味方してくれるんですね」

「そうとも。ここが世界一の我々のホームさ!」

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アーモンドチョコレート

2019-09-06 04:20:35 | 自分探しの迷子
 アーモンドとチョコレートを口の中で融合させて、僕はアーモンドチョコレートを作り出した。アーモンドはアーモンド、チョコレートはチョコレート。僕の口の中でそれは紛れもないアーモンドチョコレートになった。アーモンドが欲しい時、僕はアーモンドを食べる。チョコレートが欲しい時、僕はチョコレートを食べる。別々にやってきたアーモンドとチョコレートが私の口の中で出会い、私の歯によって噛み砕かれる時、アーモンドチョコレートが生まれました。素晴らしいハーモニーが、生まれながら溶け合いながら、私の中に消えていきました。
 
 甘い気分でない時は、僕はアーモンドを食べる。チョコレートには目もくれず、アーモンドばかりを食べる。甘い気分に浸りたい時、私は純粋にチョコレートに手を伸ばします。アーモンドは置いといて、なめらかなチョコレートだけに溺れていくことができます。俺にあるのはアーモンドチョコレート。出会いも融合も必要ない。それは既に誰かがやったこと。他人の経験に興味はない。
 
 アーモンドチョコレート。それは完成品。俺は美味しいとこだけいただくとする。完成された水戸の一行よりも、僕はどこからか集まってくる侍の方に惹かれていく。アーモンドはアーモンドとして弾けていく。チョコレートはチョコレートらしく熱に弱い。それでも縁があれば二つは僕を通じてアーモンドチョコレートになることがある。それくらいの緩さでちょうどいい。アーモンドチョコレートがそこにあれば、いつだって最良のバランスをつかむことができます。
 
 けれども、私は鈍くなった。いつからか、ハッピーエンドは私を幸福にしなくなった。あるいは、私はもっともっと欲張りになったのです。荒削りにすぎるアーモンドと素朴なだけのチョコレートを持ち寄って、私の中で変えてみたくなったのです。私の中でアーモンドチョコレートになっていく時間こそが、どんな完成にも勝る喜びだったのです。くだらない過程はいらない。俺には一粒のアーモンドチョコレートがあればいい。欲しい時に一つ、もっと欲しい時にもう一つ。それだけあったらそれでいい。
 アーモンドチョコレート。そこに理屈をつけることはない。完成されたものの果てはいつだってかなしい。僕はまだアーモンドと一緒に転がっている方がいい。混じりけのない道ほど先は長そうだ。
 
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人情

2019-09-06 03:52:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
数人の男が決める国政に声を上げたい僕らは人だ
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昨日の日記をまだ書いています

2019-09-06 03:26:00 | 【創作note】
日記というのは何よりもまず
「毎日つける」ということに
意味があるのではないか

「その日のことをその日の内に」

一日の終わりに習慣のように
一日を記録する一日を記憶する
ささやかでも決まりのように
一日を「書く」で終えることによって
日々にリズムを与えることができる

「毎日つける」
(簡単なようで難しい)

それを実現するためには
書き方や書くことを
できる限りシンプルにしてしまうことだ
毎回新しい気持ちで考えていては率がわるい

一日の終わりにササッと書く
それにはスピードが勝負になるだろう

その日のことをその日の内に書けなければ
だんだん日記ではなくなっていく
その内に「うそ」になるだろう
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何も起きない話

2019-09-06 03:04:00 | 【創作note】
 子供の頃、何も起きない話が苦手だった。
 そろそろかな。そう思いながら読み進めるが、いつになっても期待していた劇的なことが起こらない。もう少し、もう少し……。せっかくだから(ここまできたから)という思いで読み進める。期待をつなぐのは(大切なのは)何かが起きることではなく、何かが起きそうな予感かもしれなかった。裏切り続けられてお話は終盤。もうあきらめかけていると最後の方で少しだけ何かが起きて僕はうれしくなった。少しだまされたような気分もしたけれど。
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規制の銃

2019-09-06 02:15:56 | リトル・メルヘン
 秋の選挙が始まって朝から晩まで身を乗り出して鈴木鈴木と叫ぶ声が疎ましいので規制の銃をぶっ放してリフレインを規制した。鈴木は鈴木ばかりを繰り返すことができなくなって、スタッフの名を順に叫んでいる。デモ隊の列に規制の銃をぶっ放して、旗揚げを規制した。彼らは着ていたTシャツにメッセージを書いて、裸になって行進した。なかなかしぶとい連中だ。
 顔を合わせる度に上から説教してくるので、規制の銃をぶっ放してお説教を規制した。「人生の先輩としてのアドバイスだよ」言葉を差し替えて逃れようとする。「経験が足りないね」規制の銃をぶっ放す。「歳を取ればわかるよ」経験を、歳を規制する。「将来のことを考えないと」将来を規制する。「君のためを思って言ってるんだよ」もうたくさんだ。1つ1つ潰してもきりがない。規制の銃をぶっ放してコピペを規制した。これでもう何も言えないね。

 ドラマを見ているとハラハラするので、規制の銃をぶっ放して神の手オペを規制した。医師は無難なオペを確実に行うようになった。犯人がなかなか捕まらないので、規制の銃をぶっ放して捜査に規律を与えた。刑事をあだ名で呼ぶことを規制して、ちゃんと上の名で呼ぶようにした。聞き込み、尾行、張り込み、ありきたりな手法はすべて規制してやった。犯人の想像の上を行かなければ、お縄はちょうだいできないからだ。頭が痛くなるので、科学的な班はすべて解体させた。技術に頼らない人間ドラマを、心して待った。

 そこにもここにもアホがいるので、規制の銃をぶっ放してアホを規制した。一旦落ち着いて賢い人ばかりになったが、しばらく経つとその中の一部からアホが出現して悪さをするようになった。私はまた規制の銃をぶっ放した。そうして安らげる時間はいつもひと時の間にすぎなかった。規制の銃はいつまでも手放せない。「アホと言う奴がアホだ!」アホが捨て台詞を投げていった。アホは私の中にも存在するのかもしれない。私は自分を守るため、私に向かって規制の銃をぶっ放した。
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