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眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

結婚の知らせ

2014-12-10 02:13:38 | ショートピース
明日を考えるなら、歯ブラシだ。今の気持に正直になれば、お菓子だ。葛藤は、自身の内面に向かってのみ泳ぐものだった。おぼろげに夢見る未来の自分と、衝動に満ちた現在の自分の間で引かれ合う綱を、断ち切れるのも自分しかいない。一つの決意に到達した時、私は二人の結婚を知った。#twnovel

椎茸の下

2014-11-28 02:54:44 | ショートピース
椎茸の下で雨を待つ僕に大男が近づいてきた。
「椎茸が好きなの?」
「雨が嫌いなだけ」
椎茸なんか好きじゃなかった。仕方なく身を寄せていただけだった。傘を貸そうかという誘いを僕は一蹴した。
「ぼく、えらいね」
ぼく?
他人事のように、僕は大男を無視した。
#twnovel


恋を捨てる日

2014-11-23 11:38:30 | ショートピース
日曜に告白され月曜には捨てられた。短い一週間が終わった。火曜日より終末の敗戦処理に追われる。体内に残る未練を分解して地球の外に破棄した。ようやく立ち直りかけた頃には、新しい告白を受ける。日曜というだけで、拒絶することしかできなかった。「月曜は恋を捨てる日だから」 #twnovel

野菜室

2014-11-21 21:18:41 | ショートピース
冷蔵庫にあるものだけで家を作ることになった。大事な土台には豆腐がふさわしい。床にはトマト、柱に玉葱、釘にはチーズがいい。階段にキャベツ、窓にベーコン、天井には冷や飯が最適だろう。そうそう、他に大工が必要となるが、異論がなければ、マヨネーズに建ててもらいたい。 #twnovel

遺作

2014-11-15 17:56:48 | ショートピース
美しい人に魅了された。美しさが壁を作り、その向こう側を見えなくしていた。本当に美しいのは、彼女を描いた神様の筆なのかもしれない。私は背景を探ることもせず、目の前の作品だけを見つめていたのだった。どこにも行かないように。「神様はもう死んだの」恋する人は言った。 #twnovel

人間放棄

2014-11-08 11:26:35 | ショートピース
迷える羊はしあわせな毛布にくるまって、人間を数え始めた。人間が一人、人間が二人……。三人寄れば争いが、五人集まれば派閥ができた。十人を超えると、やれ野球だサッカーだと一つのボールを巡って大騒ぎ。もはや冷静に数えられたものではない。羊は迷いを断ち切って人間を捨てた。#twnovel

猫の憂鬱

2014-11-02 15:53:02 | ショートピース
ヤフートピックスに猫が居座った。あまりの長居に、毛の色も変わり始めた。「いつまでいるつもりかしら?」公園で女たちの噂話に花が咲いた。町内会の議題にもなったが結論は出なかった。9月の終わり、台風情報が頭に居座ると猫は突然動き出した。「3年は辛抱したかったけど」
#twnovel

パニック内閣

2014-10-21 03:24:50 | ショートピース

キラ星の如く人材が現れて、最強内閣を作り上げていた。目に見える成果がなければ、特に失言がなくても大臣はあっさりと更迭される。世界と戦うためには、常に最強であることが求められたからだ。
「血はいつもフレッシュでなければね」囲み取材を受ける、トカゲ総理の鼻息は荒い。 #twnovel

交番と一角獣

2014-10-17 02:15:00 | ショートピース
三角公園の側には四角い交番があった。五角形の机の上、価格破壊のテレビの中、ルカクが本格的なフェイントを入れ錯覚を誘惑していた。三角関係のもつれを追っていた六角巡査が迷子の一角獣をつれて帰ってきた。「捜索願いが出ていたかな?」一角獣はルカクを見つめ、あくびをした。 #twnovel

ベンチスタート

2014-10-14 01:49:04 | ショートピース
男はベンチにいた。鎖につながれたベンチではない。腕を組み目前の光景を観察し、機をみて手を叩いた。脳内で打開のイメージは整い、時が刻まれるに従って胸は高鳴った。既に彼を出迎えるチャントが空一面から聞こえる。さあ行こうか! 羽の生えたベンチから、戦士は飛び立った。 #twnovel

かなの拒絶

2014-10-12 05:17:50 | ショートピース
結びつき角張って複雑化されることに違和感を覚えた。あいが先頭に立って動けばみなは容易に団結して、かなとしての意思を持った。スペースキーを打たれても、翻ることを拒んだ。「あやまるくらいならかわらないほうがずっとましだよ。ぼくたちずっとこのままでいい」いしはかたい。 #twnovel

悪を置く

2014-10-11 04:21:41 | ショートピース
悪者を置いた。悪色に染まっていく理由も合わせて。非のないところからも無理なく導くことができたのは、人が生まれながらに背負っている特色を利用したから。綻びがみえ始める頃には次の悪を置いた。新種の悪でいつもトピックスは華やぎ、悪をみせることで巨悪はあせるのだった。 #twnovel

ソピの世界

2014-10-10 02:15:27 | ショートピース
雨で試合が流れた。ソリーグは雨を規制した。雨で試合は流れなくなったが、ソ界は瞬く間に干からびてしまった。ピリーグはドームを建てた。人々は雨の日でも傘をさして球場に足を運んだ。ピ界では疎まれながらも雨は降り続き、潤いが失われることはなかった。世界には知恵が必要だ。 #twnovel

猫とデモ

2014-10-07 01:41:45 | ショートピース
猫は漫画を読まなかったが、皆がどれほど好んでいるかくらいは知っていた。愛するものが愛するものを奪われるのを、黙って見過ごすことはできない。お気に入りの本棚を駆け下りると、街に飛び出した。「さあ、声を上げようか!」猫は表通りを歩き出す。魔女や海賊がその後に続いた。 #twnovel

受け子犬

2014-10-05 23:11:23 | ショートピース
札束を受け取りにきた犬を、おばあさんは強く抱きしめた。頬を寄せながら何度も祈るように。タカシをよろしくね、どうかよろしくね。警戒中の犬たちが現場を囲む。「自分のしていることがわかっているのか?」逃げ場はない。僕は人の役に立ちたかっただけさ。犬は鳴きながら訴えた。 #twnovel