木曜の男 2019-03-27 00:17:48 | ナノライト 水曜の男は駐車場の前に立っているポケットに手を入れたままもう一方の手のスマホをのぞき込んでいる 木曜の男は誘導棒を構えまっすぐに立っている視線は車が訪れるであろう道へ向いている 働く姿勢はまるで異なっている 木曜の男はいつも家にスマホを忘れてくる
猫の勝手 2019-03-21 22:18:23 | ナノライト むしゃくしゃした時 猫は私を スパーリング相手にした 寂しい時には頼りにし 眠くなると軽くベッドにした 思い立ったら 遠慮なく踏み台にして駆け出していった そして 猫は私を孤独にした 私は猫を思い出にした
何かいいことないかな 2019-03-18 20:20:55 | ナノライト すれ違う瞬間 見知らぬ女が君に よくないねをつけていった 駅員も乗客も コンビニの店員も みんなそろって君に よくないねをつける 職場に着くと 9時から5時まで 上司が全身に絡みついて 常識が態度が心がけが とにかくよくないね 200キロ離れたところから 親友の久しぶりのメッセージ まるでよくないね たくさんのたくさんのたくさんの よくないねをもらい 今日も体が重い 「何かいいことないかな」 ベッドに横たわり 君は猫に問いかける
猫と幽霊 2019-03-15 11:37:35 | ナノライト 心地よい隙間風が吹く 空き家に幽霊は住み着いている 時々猫がやってくる 数はだいたい0か1 時々鳴きやまない猫がいる 幽霊はこっそり猫の背を撫でてしまうけど ほとんどの猫は気づかない 全身の毛を逆立てて 暴れ回る猫がいると 幽霊は少しうれしくなって 家の中で踊り出してしまう その時は窓がカタカタと音を立てて 拍手をしてくれる
gooでも教えない 2019-03-08 04:58:17 | ナノライト 高級納豆に乗って 猫はやってきた ねばねばねば♪ 「一緒に遊ぼう」 「近寄らないでくれ!」 ねばねばねば♪ 「ねえ、遊ぼうよ」 「何をして?」 ねばねばねば♪ 「いいこと!」 「それは何だ?」 ねばねばねば♪ 「遊ぶにしても何か教えてくれ!」 「教えない!」 ねばねばねば♪ 「ねばねばしてないで教えてくれ!」 「教えない!」 「教えろ!」 「絶対に教えない!」
しばらく充電します 2019-03-05 04:58:13 | ナノライト 契約は「24時間」を歌っていたが もう電気が残り少なくなっていた 帰ろうよ 帰ろうかな 帰ろうよ 遠くの空から聞こえてくる この町は鴉の方がずっと多い 駐車場を主に使うのは猫だ 21:00 店長は告知の貼り紙をすると 店の明かりを消した 「しばらく充電します」
詩情の星 2019-02-26 03:58:54 | ナノライト 広い宇宙をさまよって たまたまこの星にやって来た あなたが 私の言葉を見るのは これが最初で最後だ ああくだらない ただただつまらない やっぱりこんなものか 来るんじゃなかった ぼくこんなところで 何してるんだろう 退屈 死ぬほどに退屈だ 矢印に触れて あなたは闇の中に消える さようなら(お気をつけて) 寄り道を少し悔いながら 広い宇宙の中へ あなたが探す詩はきっとこの先にある
改行禁止地帯 2019-02-22 03:19:35 | ナノライト 「改行したいんだ」 「すればいい」 「できない」 「できない?」 「システムが間を詰めちゃう」 「親切じゃないか」 「お節介じゃないか」 「それは受け取り方の問題だ」 「僕は改行したい!」 「君がシステムを使えてないだけでは?」 「そうだろうか?」 「ありえるだろう?」 「どうすればいいんだ?」 「もう一度すれば?」 「えーっ?」 「もう一度改行してみれば?」 「僕が?」 「君がしたいんでしょ?」 「はあ?」 「違うの?」 僕は改行したいんだ! ! ! ! ! ! ! !
つづく 2019-02-13 20:19:34 | ナノライト 朝はモーニング 「おはようございます! 朝食ですか?」 いつもの顔が当たり前のように 迎えてくれる いつものドラマがちょうど始まって 朝からラーメンを作っている ラーメンはやっぱり今日もできない 主人公が難しい顔をしている 目玉焼きと小さなサラダ 熱いコーヒーを飲んだら また明日 人生は、つづく