最近は5年に一度開いてきている中学校の同窓会があった。少し前の同窓会までは、あの頃はああだったこうだったと話し合って懐かしがったりしたものだったが、そんな時代からかなり隔たってしまったのか、それぞれの今がたいそう重いものなのか、それとも皆が未来指向なのか、今を乗り越えてこれから先をどう生きるか、に力点を置いた話題が多かった。
私達が中学生だった頃は、まだ「みんな同じ」という感覚が大人にも子供にもあったように思うが、今は生活様式も好みも千差万別、それぞれに異なる個性を尊重しあう多様性の時代に入っている。同窓会で話していると、自然と新しい感覚の中で自分を活性化している人と、明らかに「みんな同じ」という古い感覚を引きずっている人がいることに気がついた。ちょうど海と陸の間にある渚のようなアイデンティティのはっきりしない世代なのである。
「みんな同じ」と考える世代の良さは、考え方がすっきりしていてぶれが無い。みんなそんな風に考えるのだと決めてかかる強さを持っている。ところが、当然ながらそうでない考え方の人もいて、細かな人数調査でもすれば多様な考え方を持っている人の数のほうが実は圧倒的に多いだろうと思うが、多様性を受け入れて認めてしまう勢力は大きな声で自己主張したいという気持ちが強くない。「みんな同じ」では無いと思いながら、そう考える人もいるだろうと受け入れてしまう。
私達よりもっと若い皆さんには、この絶対的なものが不在である感覚はもっと進んでいるのだろう。しかし、多様な意見の存在を認めることと相手を尊重することとは必ずしも一致しないようだ。多様性を認めても自分と異なる考え方をする人を評価しなかったり無視したりする傾向があるように思える。同窓会という小さな集まりの中でも、よく観察してみるとそんな光景が見られた。
そんな中でキラリと光るのは、それこそ古いと言われそうだが、どんな人に対しても礼儀正しくしっかり挨拶をすることができ、どんな相手も尊重する態度で接することができる人たちだ。学ぶべき姿だと強く感じると同時に、なぜか先日亡くなった高倉健さんのことを思い出していた。
撮影の現場で出会った人や旅先で立ち寄った名産品店の店主などに、その場しのぎでない心のこもった手紙を送っていたエピソードを追悼特集番組で知った。それぞれに異なる考え方があることを十分に認めて尊重し、その上で自分の考え方を的確に伝えようと言葉を選んだ手紙だった。
「じゃあまた」と手を振って別れた友人たちと次の同窓会で再会するのは東京オリンピックの前年である。日本も世界も大きく変わっているだろう。皆がどんなふうに変わって行くのか楽しみだ。その時、彼らの前でキラリと光ることができる自分でいられたら嬉しい。(三)
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製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業
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「みんな同じ」と考える世代の良さは、考え方がすっきりしていてぶれが無い。みんなそんな風に考えるのだと決めてかかる強さを持っている。ところが、当然ながらそうでない考え方の人もいて、細かな人数調査でもすれば多様な考え方を持っている人の数のほうが実は圧倒的に多いだろうと思うが、多様性を受け入れて認めてしまう勢力は大きな声で自己主張したいという気持ちが強くない。「みんな同じ」では無いと思いながら、そう考える人もいるだろうと受け入れてしまう。
私達よりもっと若い皆さんには、この絶対的なものが不在である感覚はもっと進んでいるのだろう。しかし、多様な意見の存在を認めることと相手を尊重することとは必ずしも一致しないようだ。多様性を認めても自分と異なる考え方をする人を評価しなかったり無視したりする傾向があるように思える。同窓会という小さな集まりの中でも、よく観察してみるとそんな光景が見られた。
そんな中でキラリと光るのは、それこそ古いと言われそうだが、どんな人に対しても礼儀正しくしっかり挨拶をすることができ、どんな相手も尊重する態度で接することができる人たちだ。学ぶべき姿だと強く感じると同時に、なぜか先日亡くなった高倉健さんのことを思い出していた。
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「じゃあまた」と手を振って別れた友人たちと次の同窓会で再会するのは東京オリンピックの前年である。日本も世界も大きく変わっているだろう。皆がどんなふうに変わって行くのか楽しみだ。その時、彼らの前でキラリと光ることができる自分でいられたら嬉しい。(三)
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