自由の森日記

埼玉県飯能市にある自由の森学園の日常を校長をはじめ教員たちが紹介

校長室へのプレゼント

2004年12月09日 | 自由の森のこんなこと
昼休み、校長室に選択講座「ガーデニング」の生徒からのプレゼントが届けられました。
 最近は胃が痛くなるような話が多く届けられていたこともあって感激です。
 「どこに置きますか?」「そりゃ、真ん中だよ」

 推薦入試に向かって睡眠時間を削って努力していたY君がちょっと落ち込んでいます。
 何回か小論文を見てあげたことがあります。これまで書きためた論文と調べたメモで分厚くなったノートが印象的でした。
 志望の学部は不合格でしたが、別の学部には合格しました。今日がその手続き日。親御さんはとにかく合格した学部の入学手続きをして、一般試験で再度挑戦することを勧めています。しかし彼はどうしても落ちた学部の方に入りたい。浪人は厳しいとも考えていますから、きつい選択を迫られています。こういう場合って、うまいアドバイスがなかなかできないものです。でも、志を貫こうとして悩んでいる姿には思いっきりエールを送りたいと思いました。


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久々に社会科の「授業」

2004年12月07日 | 自由の森のこんなこと
各学年とも補習授業が行われています。火曜日の放課後は学年会、僕は学年に属していないので、社会科の補習授業を担当することにしました。今日はその第一回目。


 社会科は年間の授業内容を不登校の生徒でも自宅学習できるように、サブテキストを作っています。そうはいっても自分一人で100ページものテキストを仕上げていくのは簡単なことではありません。補習の役割は、わからないことの質問を受けたり、ヒントを出しながら書き込みを進めたり、できればちょっとでも仲間と一緒に学ぶ楽しさを知ってもらいたい、そういう多目的な企画です。
 開始時点では2人、その後次々に増えていきます。

 「おじいちゃん(おばあちゃん)、イラク戦争のとき高校生だったんだよねえ。あの戦争はどうして始まったの?と60年後に孫から聞かれたら、何と答えますか?」
 「 ・・・・・・・ 」
 「おじいちゃんの時代はテレビや新聞あったんでしょ?」
 「大量破壊兵器があるからって言う理由から始まったはずだけど・・・・」
 「でも本当は石油が欲しかったからって聞いたよ」
 
 補習のテーマは日本の近現代、12月は15年戦争の内容です。今のやり取りはそのオープニング。15年戦争はどうして始められたのか、どのような戦争だったのかを学びます。戦争の経過をおさえ、元日本兵の手記を読んだりしました。放課後なのだけれど、いい緊張感です。いつの間にか開いていたはずの後ろのドアが閉められていました。

 「そういえば明日12月8日は何の日だか知ってる?」
 僕が一年間の中で必ず生徒に問いかける日です。8月15日、8月6日はよく知られていますが、この日はクラスで数人です。9月18日(15年戦争開始の日)に至ってはもちろん誰も知りません。
 「負けた(終わった)日も大事だけれど、始めた日も大事だよ」
 
 「太平洋戦争が始まった日でしょ、授業で聞いたもん。」

おにざわ

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牛乳の味の違いがわかりますか?

2004年12月04日 | 自由の森のこんなこと
高校3年の理科は「自然」というテーマで学んでいます。金曜日の職員室。松本さんが牛乳を2本持ってきて味の違いが分かるか、教員を相手に実験を始めました・・・


・・・片方は市販のもの。もう一本は、近所の牧場で今朝買ってきた牛乳です。(車で数分の所に自然の餌を取り入れた牧場があります。しょっちゅう鶏が道に出ていて有名です)高3のクラスで試したところ、2種類の牛乳を当てた生徒と間違った生徒が半々だったとか。

 僕は、一部の教職員の中では「味オンチ」で知られていて、食べ物にこだわらないので、半信半疑で飲んでみました。 うん、なるほど明らかに違う。片方はサラッとしていてもう一方には味がある。コクというのでしょうか。教頭の名雪さんも正解、他の教員も飲み分けていました。

 はたして、このご近所牛乳、なんでこのように味が違ってくるのでしょう。

おにざわ

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反発する磁石の重さは?

2004年12月01日 | 自由の森のこんなこと
 3時間目に中学3年生の学年集会があり、「高校とは何をするところか・高校でなぜ学ぶのか」という話をしました。次に教頭の名雪さんがいきなり実験を始めたのです。

 はかりの上に円筒形のラップのシンを立て、そこに平べったいドーナツ型の磁石を通してあります。磁石は2枚くっついています。重さは290グラム。

 そこで次に二枚の磁石を互いに反発させるように芯にさします。上の磁石は宙に浮いています。さて、この時の重さは290グラムより重くなるか、軽くなるか、変わらないか?

 僕はこんなことが問題として成立するものだろうかと疑問を持ちました。大多数の生徒は「変わらない」とするだろう、わずかに議論を起こしてやろうという生徒だけが、わざと「軽くなる」に手を上げるけれども、人数の分布が極端に傾いてしまうのではないかと予想しました。
 しかし、実際は僕にとっては驚きの分布になりました。「軽くなる」とする生徒が「変わらない」とする生徒の数よりも多かったのです。

 もちろん正解は「変わらない」です。名雪さんは、そこでその結論だけを覚えることは無意味で、どうしてそうなるのか、本質をつかむことが大事だと語りました。集会後、名雪さんは、この分布は高校生でも大人でも共通していると教えてくれましたが、にわかには納得できません。僕には半ば常識の類に思えるのですが、そうでもないようです。
先日、小学生の多くが太陽が地球の周りを回っていると思っているということが報道されました。後日、天体の動きについては中学の学習内容であると聞きましたが、問題は教わっていたかどうかではないと思います。

 今回の磁石の問題ではどうでしょう。磁石を互いに反発させながら押してみた経験があれば、大きな力を加えればその反作用で強く押し返されることが感覚的に理解できるのではないでしょうか。科学的な知識の欠如という問題よりもむしろ生活経験の偏りなのではないかと思いました。

 今日は夜まで理科の塩瀬さんをつかまえ、自然科学における基礎的な知識とは何かについて議論をふっかけてしまいました。

おにざわ

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