自由の森日記

埼玉県飯能市にある自由の森学園の日常を校長をはじめ教員たちが紹介

反発する磁石の重さは?

2004年12月01日 | 自由の森のこんなこと
 3時間目に中学3年生の学年集会があり、「高校とは何をするところか・高校でなぜ学ぶのか」という話をしました。次に教頭の名雪さんがいきなり実験を始めたのです。

 はかりの上に円筒形のラップのシンを立て、そこに平べったいドーナツ型の磁石を通してあります。磁石は2枚くっついています。重さは290グラム。

 そこで次に二枚の磁石を互いに反発させるように芯にさします。上の磁石は宙に浮いています。さて、この時の重さは290グラムより重くなるか、軽くなるか、変わらないか?

 僕はこんなことが問題として成立するものだろうかと疑問を持ちました。大多数の生徒は「変わらない」とするだろう、わずかに議論を起こしてやろうという生徒だけが、わざと「軽くなる」に手を上げるけれども、人数の分布が極端に傾いてしまうのではないかと予想しました。
 しかし、実際は僕にとっては驚きの分布になりました。「軽くなる」とする生徒が「変わらない」とする生徒の数よりも多かったのです。

 もちろん正解は「変わらない」です。名雪さんは、そこでその結論だけを覚えることは無意味で、どうしてそうなるのか、本質をつかむことが大事だと語りました。集会後、名雪さんは、この分布は高校生でも大人でも共通していると教えてくれましたが、にわかには納得できません。僕には半ば常識の類に思えるのですが、そうでもないようです。
先日、小学生の多くが太陽が地球の周りを回っていると思っているということが報道されました。後日、天体の動きについては中学の学習内容であると聞きましたが、問題は教わっていたかどうかではないと思います。

 今回の磁石の問題ではどうでしょう。磁石を互いに反発させながら押してみた経験があれば、大きな力を加えればその反作用で強く押し返されることが感覚的に理解できるのではないでしょうか。科学的な知識の欠如という問題よりもむしろ生活経験の偏りなのではないかと思いました。

 今日は夜まで理科の塩瀬さんをつかまえ、自然科学における基礎的な知識とは何かについて議論をふっかけてしまいました。

おにざわ

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