ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2011.2.26 品格をもって生きる

2011-02-26 18:41:15 | 日記
 昨年12月、住んでいる市の広報で、昭和女子大学学長の坂東眞理子先生の講演会の告知を見つけて電話予約した。既に申し込み開始から10日も経っていたのでもうダメかと思ったが、先着500名ということでなんとか間に合った。

 「女性の品格」、「親の品格」などのいわゆる品格シリーズの著作は読んでいたし、「錆びない生き方」等の生き方論、「ワークライフバランス」「女性の幸福(仕事編)」等の著作も拝読した。
 1969年に総務省に入省され、私が大学で就職活動をしていた当時から、行政官としてのキャリアと2児の母としての役割を両立した経験は有名で、その当時既にお名前を存じ上げていた。そのキャリアの多くは女性政策に携わり、その立案をリードした方であるのは周知のとおりだ。

 今回は市が主催する「女と男のいきいきフォーラム」講演会の一環で、開催場所が自宅最寄駅傍のホールだった。この手のイベントがよく行われる市内で最もメジャーなホールには、バスを乗り継いで1時間くらいかかるので、なかなか参加できない。今回はラッキーである。

 今日の講演のテーマは表題のとおり「品格をもって生きる」。
 ふとわが身を振り返ると、恥ずかしながら、品格をもって生きているとはとてもいえないのだが、それでもそうして生きたい・・・と、思いもしないよりは思うだけでも良いのではないか、と自分を慰めつつの参加だった。

 さて、内容だが、このフォーラムは今年で20回目を迎えるもので、公募による市民実行委員会と市の男女共同参画センターが共同で企画運営をしているとのこと。行政側主催者挨拶の後、実行委員長の挨拶があり、講演はジャスト1時間半だった。ミーハーな私は、先生の著作を数冊とサインペンを持参し、サインを頂けるかどうか受付で確認したが、時間が許さないのでご勘弁をということで、ちょっと残念だった。

 これまでの仕事や著作、現在の大学での女性教育まで、多岐にわたる内容を90分の間淀みなくお話された。
 現在では企業戦士の男性と家を守る女性といった20世紀後半型のモデルが通用しなくなってきている。日本の社会が、従来の地縁・血縁社会から社縁社会を経て、無縁・孤独死社会に行くのか、支援社会・志の社会に行くか、現在その分かれ目にある。そこで通用する人材こそ男女共同参画社会において有用な人材なのではないか、とおっしゃった。
 そして、現在ほど高学歴な女性が100%子育てに全力投球している時代はなかったが、先回りして子どもに失敗させないようにするよりも、むしろ転んで擦りむいたくらいでレースを放棄しないこと、ゴールまで走ること、を教えるべきであるというお話はとても耳が痛かった。息子には、生物としてもっと逞しく生きていく力を鍛えていけるような訓練をしなくては・・・と思った。

 そして「品格」とはその人の生き方、考え方、働き方など心の中の問題だが、たとえ内にあるものがいくら立派であっても外に伝わらないとダメである。そして、いかに外に出して伝えるのか、つまり内面と外面のバランスが重要である。自分だけが幸せであり、便利であれば良い、自分は他人(ひと)に迷惑をかけないから、他人からも迷惑をかけてもらいたくない・・・という自立ではなく、自分の持てる力を必要とする人のために使おうという気持ち、その志を持つ人こそ「品格」がある人である、品格のコアはその気持ちを持っていることだ、と講演を締めくくられた。

 それならば、私にもその気持ちは持てるかもしれない。このブログの「どうぞのいす」も何かお役に立つことが出来るかもしれない。いつまでもその気持ちを大切にしていきたい、と思いを新たにして席を立った。
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2 コメント

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品格 (Jun)
2011-02-26 20:15:33
坂東眞理子先生の著作は品格シリーズしか読んでいませんが、
講演の内容を紹介していただけて、もう一度品格について
考える機会になりました。ありがとうございます。
聖書には8回も「あなたの隣人をあなた自身のように
愛しなさい」と書かれています。人間として大事なことは
必要とする他人のために、自分の力を使うことなのですね。
なかなか自分中心になり難しいのですが、その志を
持つ人になることが品格がある人になることなのだと納得です。
返信する
難しいことですが・・・ (ロッキングチェア)
2011-02-27 20:32:22
講演を聴くと、いろいろなことを考え直すいいきっかけになり、刺激になります。わずかでも自分の持てる力を他の人のためにも使うことが出来たら、本当に素晴らしいですよね。
でも、品格を意識した途端に、品格を失うという矛盾もありそうで、無意識のうちにそれができるようになるのは、並大抵のことではなさそうです。
返信する

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