ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2011.8.7 年相応に見えること

2011-08-07 21:14:21 | 日記
 いつから人は「お若いですね。」「とてもお歳には見えませんね。」と言われる方が嬉しくなるのだろう。特に日本では、女性は何と言っても「若いが一番!」的な部分がある。
 新聞の折り込みチラシには「これでも私は70歳!」とか、60代、50代の女性が本当に若く美しくなった云々の美容液やらサプリメントの広告が氾濫している。

 今から四半世紀以上前、就職したての頃、配属された職場では、女性では10数年ぶりの新規採用ということで、ずいぶん可愛がって頂いた。と同時に、人寄せパンダのごとくいろいろな部署から見に(?)来てくださった方たちもいらした(がっかりした方も多かったことだろう。)。
 隣の席に座っていた私の教育係(今でいえばチューター)の男性から、「若くて可愛い可愛い、ともてはやされるのは今だけ。10年、20年経ってもちゃんと齢を重ねて仕事をして、『あら、若い娘には負けないわ。』と余裕で言える大人の女性になっていないとね。」と苦言を呈された記憶がある。何やらふわふわしていたように見えたのだろう。

 私は子供の頃から丸顔でとても童顔だったので、自分の本来の齢よりも幼く見られるのが常で、それはあまり嬉しいこととは思えなかった。もともと日本人は外国に行くと、とても若く見られる。大学時代(既に21歳になっていた。)に知人を訪ねて一人パリに遊びに行った時には、「なんで君のような子供が一人でこんなツアーに参加しているのだ」という感じで驚かれたり、行く先々で「マドモアゼル」どころか「ベベ(赤ちゃん)」呼ばわりだった。

 年齢に相応しい中味がないのかな・・・とか、幼稚で落ち着きがないのかな・・・と思って、人知れず悩んだこともある。

 母は、子供の頃から結構老け顔で、2歳上の姉(私のおば)は童顔だったので、いつも姉妹逆に見られたというが、今ではちゃんと正しい順序に見える。「大人っぽい顔立ちだとずっと齢をとらないけれど、童顔の人は齢をとった時にいきなり来るのよ。」と言われたこともある。果たしてどうなのだろう。

 この齢になると、「いくつに見えますか。」などと訊いてみたところで、正直に答えてくれる人はなかなかいないだろうから(大抵お世辞で若く言ってくださるに決まっている。)訊くまでもないのだが、本当のところどうなのかな、と密かに思う。

 一方、男性は男性で年相応に見えるかどうか、かなり個人差があるように思う。私の齢の男性は頭髪も体型も人によってかなりの違いがある。
 いつだったか、同じ係だった一回りほど年上の女性に、「あの方と私は同期で同い年なんですよ。」と言ったところ、彼女は彼の方がずっと年上だと思っていたらしく「彼とあなたは苦労の度合いが違うのね。」と言われた。
 確かに彼は既に生え際が後退し、髪も白くなり、大分疲れている感じではあった。そして私はまだ白髪が一本もなかった。(一度スキンヘッドになった後、今度生えてくるのは白髪かもしれない、とかつら屋さんに言われていたのでちょっと覚悟していたけれど、細くはなったがまた黒い毛が生えてきた。)私ってそんなに苦労知らずのように見えるのかな、とこれまた傷ついた。

 いずれにせよ、私は年相応に見えるのが一番だ、と今も思う。誰にとっても1日は24時間だし、1年は365日。きちんと生きてきたのだったら、同じ時間が与えられているのだから、うんと若く見えるのもどうかと思うし、うんと老けて見られるのもそれはそれで哀しい。

 何より健康な50歳女性なら、人生まだまだこれからだ、なのだから。

 今朝はゆっくり起きて贅沢に朝からゆったり入浴。ようやく体調が復活し、気持ちよく空腹を感じ、食事が普通にとれるようになった。 海を見ながら遅い朝食をとってチェックアウト後、ホテルの目と鼻の先にある桟橋からシーバスに乗った。やはり天気が良いと海は気持ちいい。船は苦手だけれど、青い空と青い海を眺めつつの15分ほどの乗船は、気分がとても華やぎ解放感に浸れる感じだ。
 到着した公園近くのタワーは今年で開業50周年とのこと。すっかりリニューアルされており、驚いた。私と同い年だったのね、と何やら感慨無量でもあった。

 今回は、毎年泊まるホテルでなくクラシカルなホテルに泊まりたがった夫だが、フォーラムへの地の利を優先して私の希望を押し通した手前、ランチはそこでのイタリアンにした。館内はとても重厚でマッカーサー将軍が訪れたという歴史を感じる造りだ。
 すっかり味覚が元に戻り、ランチを楽しんだ。本当に美味しいものを美味しく食べられることの幸せよ、と思わずスキップしたくなる単純な私だ。食後、地下鉄に乗ってホテルまで戻り荷物を受け取って帰宅の途についた。

 丸々2日たっぷり遊んだ感じだ。自宅の最寄駅に着くと稲光と雷。これは降るね、と話していた通り、買物をしているうちに土砂降りの雨が降り出したため、タクシーで帰宅した。

 明日からまた新しい1週間が始まる。
コメント
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