ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2010.5.29 人生の楽しみ方

2010-05-29 11:31:40 | 日記
 先日、大学内のレストランでばったりN先生にお会いした。N先生は息子が小学校1年から3年の夏休みまで学童保育が終わった後の受け皿として、住んでいる団地内の集会場(我が家の隣の号棟の1階だったので、歩いて1分という好条件の教室だった。)で開かれていた学研教室の先生だ。勉強が目的というよりも、とにかく学童が終わって1人で家でお留守番をしているよりも、私が教室終了ぎりぎりの時間=学童終了時間の1時間後=に迎えに行ければ、少しでも仕事の時間稼ぎが出来るという理由からの入会だった。

 先生も息子さんと娘さんを育てていらして、母親としても大先輩だった。息子は当時週2回国語と算数を見て頂いていたが、当時から新しいことは好きだけれど、繰り返しややり直し、復習の類が大嫌いな息子は、学童帰り、母が帰宅するまでのこの時間を、プリントのやり直しを素直にこなすよりも教室に置いてあった「ドラえもん」を読んだりお昼寝をしたり(!)と実に自宅にいるかのごとくリラックスして過ごしていたようだ。

 さすがにN先生は各々の子どもたちをある程度自由にさせつつも、見るところはしっかり見ておられて、個人面談のときに「○君が行くことになる公立中学は(粒ぞろいで)激戦区です。真面目にやれる女の子と違って、提出物が出せなかったり、宿題を忘れたり、と男の子は僅差でなかなか内申が揃えられない。結果として都立の上位校に行けないとなると、学力だけで勝負できる中学受験がお勧めかもしれません。どちらにせよ、公立中学に行ったら行ったで、すぐに3年間いきなり塾通いになりますからね。」のお話があった。「そしてもし中学受験ということなら、ここに通っているのではだめで別の進学塾に行かないと・・・」と。

 私たち夫婦はずっと公立育ちだったし、それまで中学受験の「受」の字も考えていなかったので、びっくりして夫にその話をした。ただ息子の日々の様子を見ていて、確かに先生のおっしゃることに一理あるな、と思った。たまたまその後、物見遊山で3年生の6月にお試しで受けてみた大手の中学受験塾のテストのおまけ(ゲームソフト)につられて、新しい物好きの息子は進んで週1の塾通いを始めてしまった。

 結果は何度も書いたとおりだが、3年生3学期に私がかかった病気のことも、その後の再発のことも先生は全くご存知ない。そのドタバタで結局まだ先生には進学した中学校についてご報告すらしていなかったことに気づかされた。

 ちょうど席に案内される前の待っている間わずか5分くらいだったけれど、「早いもので中3になりました。受験結果が思うに任せず、今は○○中学に通っています。一時は高校でリベンジということも考えましたが、本人はすっかりゆるみきっているので、そのまま高校に進学することになりますが、どうなりますことやら・・・。今思えば、先生の教室にうかがっている頃が一番楽しかったです。」とお話した。

 先生がおっしゃるには「そんな超一流の秀才校に入ったって・・・。あの頃から○君は自分の楽しみ方を知っている感じがしましたから、大丈夫ですよ。これでいい学校に入って・・・と大学まで行ったとしても、ダブルスクールだなんだと、ずっと続きますからね。可哀想ですよ。」

 まさにおっしゃるとおり、である。「今は希望だった鉄研に入って乗り鉄、撮り鉄、食べ鉄、とだらだらやっています。」「楽しみですね。」「青春でいいですね。」とお話しているうちに、順番が来てお別れした。

 そう、誰のものでもない息子の人生だ。きちんと自分の楽しみ方を知っていると知らないのではきっと人生の醍醐味が違うのだろう。息子を見ていると、小心者の私などより実のところよっぽど人生の楽しみ方を知っているような気がしてちょっと羨ましく思う。

 などと書いていたら、試験期間中だというのに友人と喧嘩をしたそうで、担任の先生から電話がかかってきた。試験が終わってから方針が決まるそうだけれど、また校長厳重注意だったら・・・と思うと頭が痛いことである。

コメント
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