お父さんのマリポタ日記。
マリノスのこと、ポタリングのこと。最近忘れっぽくなってきたので、書いておかないと・・・
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※伊東潤(1960年神奈川県生まれ。早稲田大学卒業。「巨鯨の海」で第4回山田風太郎賞と第1回高校生直木賞、「峠越え」で第20回中山義秀文学賞を受賞)



●臨場感あふれる遭難場面 もうひと工夫あれば

 明治35年1月に199人の犠牲者を出した八甲田雪中行軍遭難事件。歴史雑誌の編集者が取材で現地を訪れると、実は犠牲者は200人であった可能性を知る。「その1人」は誰でどうなったのか。そして雪中行軍には公にできない秘密があった。

 今年5月にブルベ「十和田クラシック」で八甲田山へ行っていたこともあり、読みたくなった。新田次郎の「八甲田山死の彷徨」は読んでおらず、高倉健の映画「八甲田山」を見た程度の知識しかなく、県道40号の銅像茶屋の先にある第一露営地と第二露営地があまりにも近くにあるのが不思議だったが、これで氷解した。

 雪山ミステリーとしては非常に面白いし、八甲田雪中行軍遭難事件ついての描写も臨場感あふれ、筆致も分かりやすくほぼ一気に読めた。

 ただ、現代パートの描写は先をある程度予想することができ、意表をつく展開もない(最後は流石に驚いたけど、テーマからするとそうなるのが必然?)。主な登場人物に「その1人」がすでに表記されてプロローグから登場しており、謎解きもちょっと巧くいきすぎる感がないでもない。現代パートの人物設定にもうひと工夫ほしかった。着想は良かっただけに、ちょっと残念。

 来年、また「十和田クラシック」に参加するようなら、コースを外れて後藤伍長発見の地までは行ってみたいな。

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