「山」旅の途中

40代後半になって始めた山歩き。自分はどこから来てどこに行くのか。光、空気、花々の記憶を留めたい。

紅葉の東大雪 十石峠から音更山へ(3)

2009-09-22 09:48:07 | 東大雪
                   (写真: 最終アプローチは250mの急登)

ブヨ沼のコルから、小高いピークを登り返す。残念ながら、目前の音更山は流れる雲に覆われてきた。

いったん緩やかに下った後、高度差250mの斜面を一気に登る。ハイマツやミヤマハンノキが濃くて、少々難儀だ。

登り切ったら、稜線は礫の多い台地になっていて、幾筋かの踏み跡が続いている。

降りてきた若い女性にこのコースで良いのかと尋ねると、「あと少しです。行ってらしゃい」と励まされる。「行ってらっしゃい」という響きが新鮮だった。



(写真: 山頂まで続く緩やかな台地)


雲の中なので、慎重に目印を確認しながら登ると、10分ほどで山頂に。先行者2人が休んでいた。登山口から3時間40分。

残念ながら眺望はまったく得られず。目の前に大きく構えているであろう石狩岳や表大雪の大展望を想像する。07年9月24日 石狩岳

「またおいで」ということなのだろう。山は逃げない。

こういう時は山頂で出会った人たちの談義に花が咲く。小樽から来た男性は3年前に定年退職。若いころに登った山々を40年ぶりに再訪しているという。

帯広から来た男性は、きのうはウペペサンケ山。帰宅して、きょうは音更山と二日連続の東大雪歩き。帯広から2時間という距離がうらやましい。08年9月15日のウペペサンケ山① ②

小樽の男性によると、先ほどの若い女性は十石峠からの尾根歩きではなく、近道となる涸れ沢を登ってきたという。なかなか先鋭的だなと感心する。

日差しは戻らず、体も冷えてきた。30分ほど、歓談して下山することに。次は季節を変えて来ようと思う。




(写真: 山頂は雲の中)

帰路、雲の下に出ると、相変わらず黄葉の素晴らしいこと。下りながら俯瞰すると、その大きさをいっそう実感する。

自分がこの中を歩いてきたのだ。

涸れ沢を登ってきたという例の女性が立ったまま微動だもせずに、遠くを見つめていた。

広大な空間で、人は点となり、時も止まるかのよう。

心が鎮まり、己が無になる。彼女が見つめていたのは自分自身なのか。



(写真: 遠くを見つめる女性。 中央と右のピークの中間がブヨ沼) 

■登山記録
06時40分: ユニ石狩岳の由仁石狩川コースから入山  06年9月23日 ユニ石狩岳
07時20分: 岩石が崩落した「大崩」
08時10分: 十石峠
09時00分: ブヨ沼
10時20分: 音更山 山頂(登山口から3時間40分)

10時55分: 下山開始
14時15分: 登山口に戻る(3時間20分) 右膝が少々痛み、ペースを落とす

 層雲峡のコンビニにあった割引券を持って大型ホテルへ。しかし、この日は日帰り入浴をしていないという。連休で宿泊客が多いからだろう。
気を鎮めて、いつもの日帰り温泉「黒岳の湯」に。こちらも連休の行楽客と登山者で、芋の子を洗うような大盛況だった。

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2 コメント

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ロマンチック! (木の葉)
2009-10-10 14:12:57
>遠くを見つめる女性
紅葉した山に抱かれてるようね。
まるで、映画のワンシーンのよう。
山を見つめる女性を見つめるikuniさんの姿を想像しました。素敵!
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印象が強くて… (ikuni)
2009-10-10 15:33:12
木の葉さんへ
北海道は秋から冬へ駆け足です。
この女性は背が高くて、目のきれいな方でした。たった一人で、しかも涸れ沢を登って。
印象が強かったですね。
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