AKB48の旅

AKB48の旅

組織の「見える化」

2012年09月12日 | AKB
AKBの組織論は見えにくいというのは以前書いた。AKBという「物語の海」の飲み込まれていく中、まさかこんなんになってるとはと、驚きの連続だった。そんな驚愕の旅の内容はあらかた書いてしまったけど、気がついてみたら、ずいぶんとぼっちな立ち位置に来てしまってるようにも思う。まあ気にせずに、自身の感性に正直に行こうかと。

高橋みなみさんが総監督に任命されたけど、肩書きは単なる後付けに過ぎない、それどころか西武ドーム時点ではもちろんのこと、さらに遡って「1ミリ先の未来」で描かれているように、横浜アリーナ時点で、既にその萌芽は見えてると思うんだけど、そういう論調は残念ながら、私が気付ける限りでは見当たらない。そんな特別なことを言ってるつもりはないんだけどね。チームAキャプテンも後付けだったし、これは秋元康も明言してたと思う。あれと基本、変わらない。

けれども今回、大きなそして決定的な違いが一つある。それは秋元康総合プロデューサー命による、上下関係の明瞭化。誰が見ても分かり易い組織図が明示されたこと。チームAの新キャプテンが篠田さん、チームKが大島優子さん。知名度が高く総選挙順位も高く年長メンバーであり、前田さんが卒業した後は間違いなくAKBを代表する2人がキャプテンを命じられ、しかも高橋さんの下に置かれたと言うこと。←ココ重要。

ローコンテクストサイドの人がAKBを見る目は、当然のようにこの組織図をなぞることになる。なぜいつも高橋さんが代表して話してるのか、ブサイク(失礼、真意ではありません)なのに「優遇」されてるのか、総選挙順位が高いのか、ヲタさん(つまりはハイコンテクストサイド)からの敬意を集めているのかについての、分かり易い説明が与えられたことになる。

そうした上で、人気も年齢も上の2人がなぜ従ってるのかとか、そんな偉い人のはずなのに、他のメンバーにいじられ、一見馬鹿にされてるようなトークとか、これってどういうこと?な関心を引かれることがあれば、そこからAKBという「物語の海」までは、もうほんの1ミリ先ということになるかもしれない。

何事につけ「見える化」の重要性についてはよく指摘されてるけど、AKBはこれまではその内部構造についての「見える化」を、少なくとも積極的にはしてこなかったように思う。少しの関心を持って調べるなら、その仕組みと仕掛け、つまりは階層構造とチーム制や、ほぼ年中行事化してきた選抜総選挙とかじゃんけん選抜とかは、比較的容易に理解できるように思うけど、なぜそれで回るのか、結束が固いのかは謎になるし、関心を引かれやすいであろう内部の人間関係とかは、人数が多いこともあり容易にはアクセスできない。

とりあえずそんなのは必要ない、絶対的エースの前田敦子をセンターに立て、選抜メンバーが脇を固める、それがAKB48なんだというスタンスでこれまではやって来たけど、その前田敦子という大看板が抜けた、ローコンテクストサイド的には手がかりを失った、まさにそんなタイミングだからこそ、分かり易いAKBの内部構造、トップが高橋みなみなんだよ、その配下に篠田麻里子、大島優子がいるんだよ、2人(実際は3人だけど)がチームのキャプテンで、以下のメンバーが従うんだよという、事実なのかどうかに関わらず、実に単純で分かり易い「組織図」が提示されたことになる。

こうして内部構造に目が行くようになれば、これまで以上に個別のメンバーに関心が向かう可能性があるし、誰と誰が仲が良くて、誰と誰が仲が悪いとか、ありがちな下世話な興味が沸きやすくなるだろう。それは決して避けるべきことではなく、むしろ積極的に利用していくことになるだろう。秋元康はそこまで読んでると思うし、戦略としてきわめて真っ当だと思う。

このように考えてみると、チームBキャプテンの梅田さんの異質性に、いやでも気づかされることになる。知名度は圧倒的に低い。梅田彩佳、誰?になるはず。もしそれが狙いだとすれば、梅田さんにとってはおいしいワケだし、そうではない事情があるのだとしても、そこを敢えて掘り返すこともないでしょ。