AKB48の旅

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僕らの音楽 9月28日

2012年09月30日 | AKB
谷村新司さんと秋元康の対談だったんだけど、もしかしてレアなものを見たのかもしれない。もちろんテレビで放送されてるってそれだけで、一歩引いて見ないといけないんだけど、それでも、ちょっと刮目する内容だった。

まず先に書いておくべきなのは、谷村さんが終始、素晴らしいことを語っていたこと。この人凄いや。そして、気のせいではないと思うけど、秋元康が珍しくも、リスペクトの姿勢を示していたこと。谷村さんのファンなのか、それとも私の与り知らぬ過去があるのか、秋元康にして、ここは誇張表現だけど、珍しくも低姿勢に、さらに言うなら萎縮してすら見えた。

そして白眉は、AKBに関する以下のやりとり。谷村さんが"Show must go on"を見た感想を背景とした上での対話。なるべく正確に文字おこししてみる。

谷村新司「その、たとえば急な発表を秋元さんがするじゃないですか。誰々が移籍するとか、やめるとか。それぞれのファンの男の子達を敵に回すっていう。」

秋元康「やっぱり、僕は、野球なりサッカーでいうと監督なので、やっぱりそこで動かさないといけないと。その動かすことに気を遣ってたら、たぶんチームは強くならないですね。ただいろんな人から、こう指摘されるように、でもそうはいってもまだ若い女の子達なんで、実はあれ、何人もの、そのー臨床心理士とか、スクールカウンセラーとか、もう大人がケアしながら、その、ここまでは大丈夫、ここまでは大丈夫ってことを手探りしながら、チームになってメンタルを、鍛えてるんですよ。たとえばおまえは、今度はこっち移籍とか、こうだとかって言うだけではなくて、やっぱそのことで何かを超えられるとか、何かを超えられるという、あのー確信があった時しか実はやってないんですね。」

谷村さんが遠回しのやんわりだけど、AKBのプロデュース方針に対して、直接的には東京ドームの初日を、間接的には西武ドームの二日目を背景としての「批判」をした形になるんだけど、そこで驚くべきことに、秋元康の「反論」にほころびが。こんな秋元康を目にしたのは初めてかも。

文字起こしした文面を見ても気づかれにくいかもしれない。確かに表面上は東京ドームでの「移籍」話なんで、これでOKのように見えるんだけど、この対話は同時に"Show must go on"を背景に語られてもいるので、「臨床心理士とか、スクールカウンセラー」の件が、少なくとも今年になってから、西武ドームの反省をもとに対策されたらしいことを、やすすぐぐたすを証拠に指摘できるんで、ここに微妙に「嘘」が紛れ込んでいることになる。

もちろん、それ以前からやってたとは言い張ることはできるんだけど、西武ドームに対しての反省を語った上での対策だった以上、ここでの秋元康の物言いは、グレーゾーンよりは黒に近いと言い得ると思う。これはほんとにレアケースじゃないか。例によってポーカーになぞらえれば、谷村さんに手の内を読まれてしまってると思い込んで、焦って必要以上の情報を漏らしてしまってる状態じゃないか。

さらに言うと、上記文字起こしの最後の方は、それだけ見ると「言い訳」にしか思えない。「何かを超えられる確信」なんて誰も持ち得ないことは自明だろうし、これまでの秋元康のやり方は、ここでリスクを取ってきてた。そこでのリスクとリターンの案配が抜群だったのが秋元康メソッドであり、結実がAKBの現状だろうと思う

というわけで、谷村さんの「批判」に対して「守り」に入ってる、もうちょっと強弁するなら劣勢に回ってる。やはり水面下で西武ドームに対する批判が少なからずあったのか、秋元康自身がそれなりに堪えてるのか、後悔があるのか。そんな引け目を尊敬する谷村さんに突かれて焦った、そういう姿と理解しておこうかな。