よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

セレンディピティ、心の習慣、イノベーション、5S

2011年09月06日 | ニューパラダイム人間学

セレンディピティ(serendipity)という英単語の語源はセレンディップ国(セイロン)に由来しています。『セレンディップの3人の王子』という物語です。

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旅にでたセレンディップ(今のスリランカ)の三人の王子は、ラクダ泥棒の嫌疑をかけられた。しかし、ずばぬけた機転によってその嫌疑から逃れ、皇帝の命をも救う。皇帝の信頼をえた三人は、奪われたベーラムの宝「正義の鏡」をとりもどすため、インドへ向けてふたたび旅に向かったとさ。

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イギリスの政治家・小説家であるホレス・ウォルポール(18世紀の人)が子供のときに読んだこの物語に因んでセレンディピティ(serendipity)という言葉を創ったそうです。それがめぐりめぐって「探しても見つからない、価値ある楽しいものを見つける力」、「偶然と才気によって、探してもいなかったものを発見すること」、「ものをうまく見つけ出す能力、不思議な発見力」を意味するものとして使われるようになってきています。

とくに科学、技術、新しい画期的なアイディアを価値あるものたらしめ、大きなインパクトを世の中に期せずして与えるようなイノベーションの機序を説明するコンセプトとして注目を集めています。

高分子質量分析法(MALDI法)の発見した田中耕一氏や導電性高分子の発見した白川英樹氏らが、しばしば「セレンディピティ」に言及したこともあり、セレンディピティは俄然、イノベーション界隈に研究者によって注目されることになりました。『成功者の絶対法則 セレンディピティ』(宮永博史)という本さえあります。

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シンクロニシティ、フロー体験、スピリチュアリティ、アントレプレナーシップ、サービスといった観点からセレンディピティ(serendipity)をつらつら考えたり、しばしば強く感じたりしてきました。どうやら、「類は友をよぶ」ということでしょうか、回りにはセレンディピティに敏感だったり、そのメカニズムを積極的に活かしたり、議論することが好きな人が実に多いのです。

さて、まったく期せずして医療システムの5S-KAIZEN-TQM(Total Quality Improvement)のプロジェクトでセレンディピティの国、スリランカへ行く事になりました。実にセレンディピティ(serendipity)なんでしょう。

セレンディピティとは、意識や心のある種のreadiness(意識のなかの準備周到さ、ふとしたきっかけを感知する力)から創発するものであると考えられます。上記の5Sはproduct-cetricなシーンで応用されてきましたが、発想を変えて、意識や心を対象にすると、以下のように言い換えることもできるでしょう。

1S:整理(Sort)大切なモノゴトに集中する。捨てようとしたものの再利用を考えてみる。

2S:整頓(Set)大切なモノゴトを心の引き出しにそっと仕舞っておいて、いつでも取り出せる状態にしておく。

3S:清掃(Shine)常に気持ちをきれいにしておいて意識を軽妙、清明にしておく。

4S:清潔(Standardize)上の整理・整頓・清掃を心の習慣として自分の中で維持、標準化しておく。そしてその習慣をまわりの人々と分かち合う。

5S:躾(Sustain)以上の4Sを自立・自律、発展的に活用する。意識のなかでシステム化しておく。

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5Sはセレンディピティを創発させ、インクリメンタル、ディスラプティブを含めイノベーションの機序にreadinessを与え、創発のきっかけを意識に与える手法なのかもしれません。明後日から、バンコクを経てスリランカに行ってきますが、またいろいろな方々と議論を深めて、洞察を深堀してみたいです。

スリランカは言わずと知れた上座部仏教(Theravada Buddhism)の教法が色濃く伝え護られている国でもあり、その方面のことも調べてこようと思っています。