よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

内閣府の社会イノベーション研究会

2008年10月29日 | ビジネス&社会起業


昼すぎから、委員を仰せつかっている内閣府経済社会総合研究所の社会イノベーション研究会の社会起業研究ワーキンググループに参加。熱く濃い集まりだ。

慶応義塾大学の井上英之専任講師から、慶応でのソーシャルイノベーション研究についてのプレゼンテーションを聞いてからディスカッションに花が咲く。

写真掲載の許諾をいただきましてありがとうございます 笑)

ざっと紹介すると左から:

大川新人さん(明治学院大学経済学部)、百合本安彦さん(グローバル・ブレイン社長)、渡辺孝さん(座長・芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科長)、井上英之さん(慶応義塾大学総合政策学部社会起業/ソーシャルベンチャー研究室)、奥田有紀さん(慶応SFC研究所)、不肖松下、服部篤子さん(社会起業家ネットワークCAC代表)、露木真也子さん(東工大大学院国際社会企業家養成プログラム)。

MOTでもイノベーションは重要なテーマだが、その力点は市場原理の中で行動する企業ベースのイノベーションに置かれる。資本、市場、そして競争原理はイノベーションの一大源泉であり、イノベーションの主体者としての営利企業の存在は大きい。でも営利企業のみがイノベーションの推進者ではない。

ソーシャルイノベーションとは、Bottom of Pyramid的市場経済や、既存の市場主義、競争原理からともすれば疎外されやすい財やサービスを成功裏に提供することによってもたらされる。必然的にビジネスのノウハウが活かされることになる。

米国では営利企業もソーシャルイノベーションの担い手である、という見解が主流だが、欧州では事情が異なる。営利性を排除、あるいは制限した組織によって推進されるチェンジがソーシャルイノベーションであるべき、という見方が強い。

いずれにせよ、ソーシャルイノベーションを巻き起こす起爆人材が社会に投入されなければ、ソーシャルイノベーションの成功確率は高まらない。よって社会起業家をどうように育成すべきか、という議論になる。

・では社会起業家をどのように発掘・開発すべきなのか?
・ソーシャルイノベーションを支援する政策的なインプリケーションは?
・ビジネススクール、公共政策大学院、あるいはどのような形態の大学院で社会起業家を養成すべきか?
・営利セクター企業のCSRがらみでの支援取り付けは?
・ファンドレイジングは?
・ハンズオン支援の具体的な姿は?

従来型の営利ビジネスは、競争原理による理性軸が強い左脳系が中心だったが、社会起業家にはデザイン感性、アート感覚による右脳型創造・共感教育が必要とのこと。このあたりのダニエル・ピンクの議論を下敷きにしたmodelはよくわかる。

詳細については井上さんのワーキングペーパーがわかりやすい。

社会起業家の活躍の場=プラットフォームを生態的に見ることが必要。営利ビジネスサイドに居る人々の共感を得て、お金のみならず時間、専門的能力、励ましなどのソーシャルキャピタルを、社会起業家のビジネスモデル=Theory of Changeにレバレッジをかけて提供する循環的なエコシステムをプラットフォーム化しよう、という井上さんの話。なるほど。

話はつきない。あっという間の2時間。