よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

社会起業家が運営する知的障害をもつ方々のための農園

2008年02月18日 | ビジネス&社会起業
知人の横尾常夫さんは、いちよう会という独自の社会貢献活動を行っている。本業は社会保険労務士だが、本人いわく、社会貢献活動のほうの比重が増えているそうだ。

いちよう会は、船橋市立船橋特別支援学校の「おやじの会」の有志が中心になって、平成16年9月に設立された非営利組織だ。知的な障害をもつ方々のために、小規模福祉作業所の「はみんぐばあど」を開所し、職員4名で運営している。

いちよう会には現在、通所者10人以上の利用者がいる。皆で心を込めて育てたとても美味しいと評判の「菌床栽培しいたけ」と「減農薬野菜」を市内のスーパーに納品したり、自分たちの農園で直売も行っている。

ともすれば孤立しがちな障害を持つ成人の方々とその家族への積極的なケアや支援を農園やシイタケ栽培などを通して行うというのは、地域社会にとってイノベーションである。ショッピングセンターのイオンもこの活動を応援しており、いろいろな物品が無償でいちよう会に寄付している。(イオンもいいことするね)

さて、ニューパラダイムの起業論は、2つのバージョンに分かれなければならない。ひとつめは、従来型=株式会社の起業。ふたつめは、株式会社(その類も含めて)以外の非営利組織の企業。

MBAやMOTの文脈からイノベーションを構想すると、どうしても営利企業が主体となるイノベーションになる。たしかに、お金を儲けるという利潤動機は、人と組織の大きな構成要素だ。資本主義は、株式会社の活動のために、そして株式会社の営みによって成り立っている。だから、資本主義のプレーヤーたる起業家の出番がある。

米国や韓国と比べて日本は起業家の輩出がマッタリしていることは、評論家が指摘しているとうりだ。もっともっと、この国には資本主義の担い手である起業家が出てくる必要があると言われている。そのとおりだ。

株式会社という制度は、本当に使い勝手のいい道具だ。なにしろ、お金の調達、株主に対する配当、経営と資本の分離などはもちろんのこと、IPOやM&Aなどを臨機応変に活用することで、株式会社がおこなう事業を、発展させたり承継させたり、他のビジネスとシナジー効果を生む出すために合併させたりすることができる。またこのようなことをやりやすくするために、会社法も大きく改訂されてきている。

しかし、株式会社だけが起業家のフィールドではない。起業家にとって、非営利組織も立派なフィールドだ。いちよう会のように、株式会社ではなくボランティアや非営利組織を通しても社会的なイノベーションを起こすことができる。横尾さんは、社会起業家(Social Entrepreneurs)だ。