よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

クリニカルラダーというオープン・コンテンツ

2006年06月18日 | 健康医療サービスイノベーション
クライアントの倉敷中央病院にクリニカルラダーの作成にかかわるノウハウをコンサルティングを通して提供してきた。その成果物のクリニカルラダーそのものと、クリニカルラダーの開発手法を2年前に、倉敷中央病院の看護部長、副看護部長の方々と共著して出版した。

Publicにすることがpublishなわけなので、出版した以上著作権は僕個人にあるとはいえ、クリニカルラダーとその開発手法はパブィック・ドメインにある。とくに、公共性がつよい医療福祉分野の経営管理手法は、閉じられたものであるよりも、オープンなものであるほうが理にかなっている。そもそも、組織の運営や経営手法といったものは、クローズドである必要はなく、より多くの関係者に公開することよって、改変や改造が加えられどんどん発展してゆく可能性があるからだ。

オープンコンテンツ運動はオープンソースをヒントにして生まれた考え方だ。テキスト、画像、音楽などの知的創作物などを一般化・共有した状態に置くことを目ざす。ただし、無秩序の共有ではなく、法律的に保護され、裏づけられた共有とみなされる。また、複製、配布や改変などについての制約がかけられていないことを指したり、またはそのような状態にある創作物を指す。

オープンコンテンツは一般的に、改変するためのソースデータが同時に公開される。 これは、結果を単に共有するだけでなく、創造の過程や、更新の過程も共有される。オープンコンテントは著作権の保護下に置かれ、ライセンスにより共有する形態が定義されているのが一般的だ。

しかし、オープンソース・ムーブメントに比べ、いささかオープンコンテンツ運動には勢いがあまり感じられないのだが。紙の上であれ、ネットの上であれ、オープンコンテンツは、オープンソースソフトウェアと比べ、やはりその浸透力、展開力、進化力の点で及ばない部分がある。なぜか?その答えは、オープンにされるモノの性質、もう少し詳しく言うと、オープンにされるモノの機能と構造にある。かつて堺他屋太一が言った「好縁社会」のオープンソースソフトウェア・コミュニティでは、ソースコードという構造物そのものが、ソフトウェアの機能に直結する。しかし、オープンコンテンツでは、いくらコミュニティが存在するとしても、テキストという構造を人が読んで、理解して、解釈して、ある種の行動に移して初めて機能するというまだるっこしいステップを踏まざるをえないからだ。

OSSならばコミュニティベースで、アドオン、機能拡張、デババックなどが自在なのだが。しかし、オープンコンテンツは、読者による改変、応用、事例作成などの拡張がブラックボックスに入ってしまいがちなだ。

いぜれにせよ、こんなことができたらオモシロイか。

1)クリニカルラダー版楽市楽座のようなコミュニティを立ち上げる。
2)クリニカルラダーとその開発手法をサイトに公表しダウンロードできるようにする。
3)ダウンロードして改変、拡張を加えた場合、その改変、拡張版を寄贈してもらう。
4)コミュニティの中で、改変、拡張版のクリニカルラダーをどんどん共有し、研究してさらなる共有化をはかる。

SugarCRMのコミュニティを運営してきたノウハウを活用すれば、けっしてムリではないと思うのだが、やはり時間をあまりさけそうにないか。だれか一緒にやってくれる人がいればよいのだが、さて。

医療経営や看護経営に関するHuman Resources DevelopmentやOrganizational Behavior、ネットコミュニティの自己組織性を研究している研究者や暇がある人いませんかね?