本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

世間師

2018-08-18 21:25:17 | 住職の活動日記

「世間師」!?

何か聞いたことのあるような、

そういえば

お釈迦さまのことを

十号といって十ほど名前があります

その中に、

「世間解」、「天人師」

という名前があります。

 

先日の京都新聞「凡語」の欄に

民俗学者宮本常一さんのことが

「忘れられた日本人」を

著した方です。

その中に、

船乗りや大工として各地を転々とし

さまざまな経験をした人は

「あれは世間師だ」と呼ばれ

一目置かれたという。

ことが出ていました。

 

しかし、広辞苑には

「世情に通じて巧みに

 世渡りする人。

 世なれて悪賢い人。」

とあります。

 

悪賢い人、それから

世間に通じて一目置かれる人

善悪両方の意味があるのでしょう。

 

お釈迦さまは王子様として生まれ

何の苦労もなくお育ちになった

けれども、人の世のご苦労は

人一倍感じとられ

そこから「世間解」世間の事を

知り尽くしている人

世の中の酸いも甘いも噛み分けた人

苦労人ということでしょう。

 

それから「天人師」というのは

天と人との師匠。

地獄・餓鬼・畜生などを含んだ

迷いの世界のものをすべて教え導く

というのですが

その中でも天と人とを導くことが

多いから天人師といわれています。

 

それから他にも

応供(おうぐ)という

供養を受けるに相応し者という

名前もあり、

面白いのは

「調御丈夫」(じょうごじょうぶ)

という名前もあります。

衆生をよく調伏制御して涅槃に導く

という、御者というチャリオット

荒れた馬に人を喩え

それをよく整えて涅槃へ導く

というのでしょう。

 

いずれにしても

世間解、世間師、天人師という

何も仏の世界だけではなく

人の世界のことにも精通し

しかし、

世の中のことに流されることなく

迷いの世界とさとりの世界を

両方に通じているという

世間ということを特に大切に

扱っているようです

『十地経』でも七地までは

世間のことをいっているようで

八地からが仏の修行が始まる

ようです。

 

まあ、世間師という言葉も

なにかしら興味が引かれるものです

 

 

 

 

 

コメント
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