ちょうど、オバマ大統領が国賓として
来日されていたころ、東京にいました。
東京といっても、まだ田舎の香りのする
田園の広がるところでお手伝いをしていました。
そこで、気になる木に出会ったのです。
交通量の激しい道路に面して、大木が聳え立っています。
普通であれば、当然切り倒されても
おかしくないような位置です。
見上げれば、6,7階建てのビルに匹敵するほど
見事に成長しています。
その下には小さな一軒家が、
ちょっとこの木とは不釣り合いな気もしますが、
またアンバランスも引き付ける魅力を醸し出しています。
近づいて見ると、立派な由来の表札が、
それによると、
大正末期のころ、この地の財産家 「 朝倉重威の妻ミヤ 」
という方の前に白蛇が現れた。
これはきっと神の使いに違いないと、
大切にお祀りし、そこに祠を立て、「 ケヤキ ・ 欅 」 を
植樹したのが始まりで、その後手厚く保護されて、
現在のように大きく成長したということです。
今では、小金井街道のランドマークとして、
市民に親しまれている。
というようなことが書かれています。
「 白龍さん 」 といえば、
松下電器の守り神さまとして、
松下幸之助さんのころより代々信仰されていて、
当院でも、祖父の代より毎月、その御分身である
九州の白龍さまにはお参りに寄せていただいておりました。
また、弘法大師を守ってこられたのは
「 善女竜王 」 という方で、
東寺にもそのお社があり、お参りしてました。
何かしら、「 竜神さま 」 つながりでしょうか ??
この欅の大木にも心惹かれるものがあったのです。
またまた、当院の護摩壇も 「 総ケヤキ作り 」 で
天板は桜の一枚板で出来ています。
欅の木目の美しさを出して、磨いたらよかったのですが
お堂も暗いこともあって、バランスを考えて
今は朱色に塗ってしまいました。
次の修理の時には、その朱色を落とし、
欅の木目を出せばまた美しい護摩壇になると思います。
ま~、東京というところビルが乱立していると思っていましたが
結構、緑も多く、それを大切に守っておられる、
意外な一面を発見しました。
そして、余談ですが、
その斜め向かいには、修道院がありました。
そこも、こんもりとした緑に包まれて、
世間を遮断するように、緑が修道する人たちを
守っているようにも見受けられました。
「 聖霊修道院マリア館 」 という表札が上がっています。
『 修道 』 という言葉にもひられるものがあります。
「 菩薩 」 といっても現代の言葉でいえば
「 修道的人間 」 といえるのでは、
人間というあり方が本来修道的なのです。
死ぬまで、修行の道程にある、
一服するのではなく、修道的に生きていく
そこが人間の本来の在り方のようです。
この森の中で、自分に厳しく心を修め
道を修めておられるのでしょう。
東京といっても、意外なところで、
じっとして手伝っておりました。