毎年この時期にNMCギャラリーで開かれる山本萠(もえぎ)さんの個展に行ってきました。
今年も来年のカレンダーの原画や個性を放つ書がギャラリー内にしっとりとした雰囲気を醸していました。
萠さんは所沢在住の書家・詩人で、古い借家に猫と暮らし、携帯ももちろんパソコンもファクスも使わず(固定電話だけ)、手紙を書く。
クーラーもテレビもなくラジオだけ。好きな骨董の器に囲まれて、自然や生き物の命をいとおしみながら暮らしていらっしゃいます。
私はこういう方に会うと、自分が恥ずかしくなると同時に、たとえようもない憧れを抱いてしまいます。
利便さばかりを追求し、それに振り回され、何か大切なものを見失っているような現代。
私の子ども時代までは萠さんと同様の暮らしをしていました。
あ~ぁ 昭和の時代が懐かしい。
ギャラリー中央には「蝶の星」と題する5月の原画に秋の設え、ホトトギスや野の花は萠さんが摘んで活けたもの。
「おとは しぐれか」(山頭火句)
「けふも いちにち 風をあるいてきた」(山頭火句)
丸山薫詩 「汽車に乗って」
石垣りん詩 「契」
「海よ云ふてはなりませぬ 空もだまってゐますゆえ
あなたが誰で わたしが何か 誰もまことは知りませぬ」
石垣りんの詩、いいですねぇ。
それに表装が渋くて小粋で、おしゃれでしょう?
萠さんが集めた古布の中から、書に合うものを選びに選んで組み合わせたもの。
掛け軸はプロに頼み、額装は自分でやるそうです。
詩人、エッセイスト、モノクロームの写真家でもある萠さんのこれまでの著書。
この前にNMCギャラリーで個展をし、先月のブログでも紹介した佐久間良一さんもいらしていて、
プロの写真家でもある佐久間さんが「モノクロの写真が素晴らしい」とおっしゃっていました。
素人の私からみても、骨董の器のひびや静物がつくる光と影、その静謐さと品性に心打たれます。
来年のカレンダーを求めて帰りました。
今回は表紙をはじめ猫の画が3枚もあってうれしい。
カレンダーというより萠さんが精魂込めた書画集です。
■山本萠 書とカレンダー原画展 11月6日(火)まで
NMCギャラリー&スタジオ
小平市小川西町4-14-27
042-346-7300
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