東京都美術館へ『奇想の系譜展』をみに行きました。
折しも桜が満開!で、上野のお山はいつもの10倍位の大賑わいでした。
『奇想の系譜展』のサブタイトルは「江戸絵画ミラクルワールド」。
美術史家の辻惟雄氏が1970年に著した『奇想の系譜』で取り上げた6名の画家(伊藤若冲、曽我蕭白、長沢芦雪、岩佐又兵衛、狩野山雪、歌川国芳)のほかに
白隠慧鶴、鈴木其一を加えた8名の傑作の数々、見応え充分の展覧会でした。
伊藤若冲は色鮮やかで精緻な鶏の画が知られていますが、「象と鯨図屏風」には度肝を抜かれました。
陸の王者と海の王者を両端に配した、ダイナミックな構図の墨画。
白と黒との対比が素晴らしかった。
3年前京都の錦市場を訪ねたとき、若冲がここにあった青物問屋の長男として生まれたことを知りました。
この年が丁度生誕300年にあたり、折しも若冲ブームが起こった頃。
あちこちにそれを祝う幟が翻っていたのを想い出します。
曽我蕭白で忘れられないのは、数年前のボストン美術館展のこと。
ボストンから里帰りして初公開となった、蕭白の「雲龍図」をみた時、ド迫力の龍に圧倒されましたが、その目がまん丸でどこか愛嬌がありました。
以来曽我蕭白の名前は常に記憶にあり、若冲の名はど忘れすることもあるのですが、蕭白という難しい名はすっと出てくるのです。
代表作とされる「群仙図屏風」は蝦蟇仙人や怪しげな仙人たち、唐子などが描かれた奇想天外な作品、その奇才ぶりが伺えました。
この二人に歌川国芳の画はこれまで何度かみたことはありましたが、長沢芦雪は初めてでした。
特に気をひかれたのは「白象黒牛図屏風」、屏風からはみだすくらいに大きい象にカラスが2羽ちょこんと乗っています。
左側にはこれまた大きい黒牛に白い仔犬が寄り添っています。
こんなに大胆な一双の屏風初めて見ました。
芦雪は円山応挙の弟子だったそうですが、「群猿図襖」も猿たちの表情や動作がいきいきとしていて癒されました。
「なめくじ図」は小さな作品で、なめくじが這ったあとが一筆描きで描かれその先っぽにナメクジがいるというユーモラスな画。
名前の前に「京のエンターテイナー」とありましたがその通り、みるものを楽しませようとする気持ちに溢れているようです。
すっかりファンになりました。
江戸の画家たちの自由で斬新な発想、想像力、江戸時代って面白いですね。
曇天で桜の色もどこか儚げでしたが、外国人はポーズをとっての撮影で桜並木はラッシュ並み。
冬のような寒さの中で花見の場所とり、寝袋にくるまっている男性も。
いやはや花見狂騒曲、みなさんのエネルギーに感服します。
桜並木を抜けると、寛永寺清水観音堂の月の松が見えました。
明治の台風で消失したものを6年前に復活させたのだとか。
幹がくるりと円を描き見事です。
この技ができる造園職人は少ないそうですよ。
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