大江戸散策徒然噺 Introducing Japanese culture and history

豊かな歴史に彩られた日本の文化と歴史を紹介

隅田川を望む東京海洋大学構内に日本最古の鉄船「明治丸」を訪ねる【江東越中島】

2010年12月06日 18時35分37秒 | 江東区・歴史散策
隅田川水辺ラインの水上ボートが越中島船着場に到着するときに、必ず見えるのが黄色い2本のマスト。船内放送で明治天皇の行幸の折に使われた日本最古の鉄船「明治丸」と説明があるのだが、見えるのはマストだけ。かねてより船の全景を見たいと思って、早速行ってみました。

今日は船ではなく、自宅からもそれほど遠くないので得意のマウンテンバイクを走らせました。門前仲町の交差点を月島方面へ走ること数分で東京海洋大学のキャンパスに到着です。

東京海洋大学正門

歴史を感じる正門から真正面に見える1号館はレンガ造りの重厚な建物です。この1号館は昭和5年(1930)に建てられたもので、登録有形文化財に指定されています。

一号館(船橋を模した建物)

この大学の沿革を見ると、なんとあの岩崎弥太郎の郵便汽船三菱会社が大久保利通の命令で私立三菱商船学校として明治8年(1875)に開校した歴史を持っていたんですね。明治政府からの命令ということですが、商売人の弥太郎はこの開校の交換条件として政府からの助成を引き出しています。さすが商売人です。
その後、当校は官立となり名称も変わり今に至っているのですが、隅田川のゆったりとした流れに面したキャンパスには江戸湾から吹き寄せる心地よい潮風が似合う素晴らしい大学です。

さて、正門を入りすぐ左手にこれまた歴史を感じる建造物が2つ並んでいます。煉瓦造りの趣のある建物ですが、一つは明治36年(1903)に竣工した旧天体観測所(第一観測台)です。屋根の半円形ドームは手動により360度回転でき、内部には東洋一といわれた7吋天体望遠鏡(Theodolite)を備えていました。

第一観測台

この第一観測台の後ろに第二観測台が建っています。この第二観測台も 明治36年(1903)に竣工したもので内部には子午儀(Transit)を備え、子午線方向にだけ動く望遠鏡が置かれていました。

第二観測台

一号館から右方向へ進んでいくと前方に芝生の広場が広がっています。この広場の一番奥に日本最古の鉄船「明治丸」が係留?されています。広い芝生を歩きながら徐々に近づいてくる船体に「わくわく」するような感動を覚えます。実は正門の守衛の方に聞いたところ、通常は船内の見学もできるとのことですが、現在修復中のため船内に入る事ができないとのこと。非常~に、残念!



それでも間近に見る事ができるだけでも十分。
明治丸は明治6年(1873)に英国に建造を発注し、明治7年(1874)竣工して翌8年(1875)2月に横浜に回航されてきました。維新からわずか8年しか経っていない日本にとっては、欧米列強との競争に追われる中で、最新鋭の船は日本の国益を守るための諸活動を行っていましたが、この明治丸も例外なくさまざまな活動を行っていました。
そんな活動の合間に、明治9年(1876)に日朝修好条規締結を促す示威行動を支援するため、日本艦船の基地であった対馬への石炭急送の任務についています。そして同年、明治天皇は東北・北海道御巡幸に際し、7月16日青森から函館まで明治丸に御乗船になりました。18日に明治天皇は再び明治丸に御乗船になって函館を出港し帰郷の途につかれ、7月20日横浜港に帰着されました。



その後、明治29年に退役し当時の商船学校へ譲渡され、同31年、3檣シップ型帆船に改装され、以後係留練習帆船となりました。現在、明治丸は重要文化財として保存されています。

明治丸船首から 
明治丸船尾から

現在、復元修理中ということで、本来の姿とはほど遠いものですが、完成後にもう一度会いに行きたいと考えています。





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