戦国武将が発給する文書に本人である証として、花押が書かれていることは有名だ。
花押は現代にも引き継がれていて、閣議書に閣僚の意思を表す花押を毛筆で書くことになっている。
しかし、現実問題として領地内で多くの文書を発行するにあたり、いちいち花押を書くのも手間がかかる。
戦国大名の中では、後北条氏がいち早く花押の代わりに判子を押印した印判状を活用していた。
北条氏は領域国家内部の統制をどのように行ったのか。
そのための具体的な方法として、判子が押印された印判状を村に直接配布されたり、
その内容に代官や頭が従わない時には訴えることができる目安制を導入したりと、数々の手段を用いている。
北条氏は戦国大名のなかで唯一、内訌(家督争い)が起きなかった。
禄(財産)と寿(生命)、まさに穏やかなるべし。
戦乱の世に「禄寿応穏(ろくじゅおうおん)」をスローガンに掲げ、五代100年にわたって統治を実現した戦国北条家。
判子文化、納税や裁判の制度、公共工事など、現代の統治システムの礎をどのように築き、
そしてどのように運用していたか、本書はわかりやすく七章にわけて説明している。
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