奥方様の形見の黒髪だったのだ。
“たとえ天下を取ったとしても、妾は持たぬ”
明智様の愛妻家は有名だった。先妻 照子(てるこ)様は皆に優しく、配慮ある女性で、
蘭丸「…」今でも、愛していらっしゃる、と分かった。
ジーン、と鉄扇で打つ俺の手が鳴って、心まで響いて痛かった。
もちろん、これは、明智様のお心にも響いただろう。プライドの高い方でもある。
この事件がきっかけ…なのか、土岐氏族分家 明智光秀とその側近 斎藤利三(娘 斎藤 福は、後に春日局となり、家光の乳母になります)の策略で、
1582年 六月二一日、本能寺の変が起きた。起きるべきして、起きた事変で、
御屋形様の夢、天下布武(武により天下支配を終わらせ、泰平をもたらす)の道が、絶たれた。
本能寺を囲む、
蘭丸「明智の手のものです」
織田「是非に及ばず(仕方ない)」
蘭丸「…俺の、せいです」
織田「誰のせいでもない。逝くぞ」
蘭丸「はい」でも、俺は気付いて欲しかった。御屋形様の思いを…「無念です」
織田「お前が気付いた、それでいい」怪我をされた御屋形様は、本堂に向かわれ、俺は、
蘭丸「先に、逝きます」刀を抜いて「うぁぁ」走った。
泰平 平和のため、共に戦おうと約束したのに…悔しいです。
御屋形様が美濃を取り返されて、こう言われたんです。
織田「どうだ、蘭丸?」城の天守から城下町を眺め「これが、土岐さんの城で、」
土岐様が守護していた美濃の地…土岐(とき)様の故郷だからと、岐と阜(小郷)で、
「岐阜(ぎふ)城だ」御屋形様がそう名づけられた。
蘭丸「はい」城下町からの心地よい風を受けて「素晴らしい城からの眺めです」
岐阜…御屋形様が、明智様の先代御一族様を敬って付けた名…でも、御屋形様の思いは届かなかった。
ここから天下布武が始まったこと…気付いてもらえなかった。だから、
「御屋形様…先に逝って」ゴミ拾いして、きれいにして…「待ってます」
千歳の祈り空しく、白鶴の小姓 蘭丸「池…田様、気を、つけて…」ザッ、
俺は、弟二人と共に討ち取られた。
本名 森 成利(なりとし)享年17、ここで散る。
“たとえ天下を取ったとしても、妾は持たぬ”
明智様の愛妻家は有名だった。先妻 照子(てるこ)様は皆に優しく、配慮ある女性で、
蘭丸「…」今でも、愛していらっしゃる、と分かった。
ジーン、と鉄扇で打つ俺の手が鳴って、心まで響いて痛かった。
もちろん、これは、明智様のお心にも響いただろう。プライドの高い方でもある。
この事件がきっかけ…なのか、土岐氏族分家 明智光秀とその側近 斎藤利三(娘 斎藤 福は、後に春日局となり、家光の乳母になります)の策略で、
1582年 六月二一日、本能寺の変が起きた。起きるべきして、起きた事変で、
御屋形様の夢、天下布武(武により天下支配を終わらせ、泰平をもたらす)の道が、絶たれた。
本能寺を囲む、
蘭丸「明智の手のものです」
織田「是非に及ばず(仕方ない)」
蘭丸「…俺の、せいです」
織田「誰のせいでもない。逝くぞ」
蘭丸「はい」でも、俺は気付いて欲しかった。御屋形様の思いを…「無念です」
織田「お前が気付いた、それでいい」怪我をされた御屋形様は、本堂に向かわれ、俺は、
蘭丸「先に、逝きます」刀を抜いて「うぁぁ」走った。
泰平 平和のため、共に戦おうと約束したのに…悔しいです。
御屋形様が美濃を取り返されて、こう言われたんです。
織田「どうだ、蘭丸?」城の天守から城下町を眺め「これが、土岐さんの城で、」
土岐様が守護していた美濃の地…土岐(とき)様の故郷だからと、岐と阜(小郷)で、
「岐阜(ぎふ)城だ」御屋形様がそう名づけられた。
蘭丸「はい」城下町からの心地よい風を受けて「素晴らしい城からの眺めです」
岐阜…御屋形様が、明智様の先代御一族様を敬って付けた名…でも、御屋形様の思いは届かなかった。
ここから天下布武が始まったこと…気付いてもらえなかった。だから、
「御屋形様…先に逝って」ゴミ拾いして、きれいにして…「待ってます」
千歳の祈り空しく、白鶴の小姓 蘭丸「池…田様、気を、つけて…」ザッ、
俺は、弟二人と共に討ち取られた。
本名 森 成利(なりとし)享年17、ここで散る。