ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

天国から見てて

2017-10-05 | ~ 育児 ~
3日夜、21歳と半年余り、
愛猫は静かに逝った。
次の日、
タルトを天国に送った。
「タルちゃん、天国に行ったの?」
娘は動かなくなったタルトを見て、
こう言った。
死…
を理解しているのか?
「うん、逝ったね…よく頑張ったね。
タルちゃん」
紗花はタルトの似顔絵を描いて、
柩の中に入れてくれた。
「ありがとね。さぁちゃん、上手だよ」
タルトも喜ぶだろう?
愛猫の葬儀が終わり、
「さぁちゃん、準備しようか?」
次の日私は入院する事になっていた。
陣痛が来ないので、強制陣痛促進剤投与だ。
娘を義母に預ける為、
支度をさせるのだが、
なかなか支度しない。
実家で私の帰りを待つと言った娘、
分かったよ、って私も約束した。
しかし、
出産時、付き添いがいるとのことで、
実母が私の付き添い、従って、
「ごめんね、義母様のところで待ってて」
と言い聞かせて義母のところに送り出したのだ。
母に送られる車中、娘は、
「タオル頂戴」と言い、
目頭を押さえていたそうだ。
泣いてるのかな?
その時、
「ほら、お空見てごらん」ばばが言う。
ふっと見ると、
タルト(猫型)の瑞雲がふぅと現れ、
さっと消えたそうだ。
優しい猫だよ。
あんなに蹴られていたのに…。
なんて律儀な猫だ。
逝き時も私に「バイ、バイ…」
別れを告げたし…。
あまりにも突然で、
あまりにも穏やかな死だった。
前日までピンピンしていたのに。
老衰…大往生…
死期を分かっていたのか?
母が娘を送って帰って来た。
「おかえり」
その夜は十五夜、
美しい月だった。
夕食も静かだった。
ただ一人だけ騒々しい。
お腹の子がグニョグニョ動く。
しかも睡魔が襲って来た。
珍しい。
「おやすみぃ」
早めに床に着く。
十二時、尿意を催し、
トイレへ。
「ゲッ、出た」
陣痛開始の合図、おしるしが出た。
個人差はあるが、私のは鮮血流血。
あぁ〜来る来る。
来た!
陣痛ぅぅ!
「ふ〜、ふ〜」
呼吸法で耐える。
本を読んで耐え凌ぐ。
3時、父が用を足しに来た。
「ん?どうしたんよ」
「陣痛、来た」
「行っか?」
「いや、あと1時間大丈夫」
3時45分、もうあかん。
病院に連絡、
母が起きて来た。
メンバーは揃った。
病院にGO!
4時10分着、
4時半分娩室入室、
分娩準備、
その間、陣痛の波が押し寄せる。
「(呼吸法)上手、やっぱヨガのおかげ?」
陣痛を逃すのが上手!と
ずいぶん助産婦看護師に持ち上げられた。
「そうですか〜。あはは…」
褒められて、図に乗っている場合じゃないッ!
うぅ〜〜ん。
「オンギャ、オンギャ」

5時07分、3090g出産。
「おめでとう」
今回叫ばんかったぜ、って、
母が入って来た。
ええ、今回は静かに命を産んださ。
陣痛もしっかりきた。
薬を飲む暇なく出産した。
生まれる日を選んだか、
倖花よ。

死期を悟るも命、
生まれる日を定めるも命かな。

失った命があった。
お疲れ様。

授かった命が産まれた。
ありがとう。

見ててね、タルト。
天国から。