さんぽで出会う花鳥風月

ひでじいの四季の写真

エンドウ3種

2023-04-28 22:24:33 | 草花

*2023年4月24日撮影

 明日からはゴールデンウィークの連休です。
 4月に入っても妙に朝晩が寒い日が続きました。ようやく今日から、日中は暑いくらいの気温になりました。
 天気というものは人間の都合とは関わりなく、予測不能の変化をするものと、つくづく思います。

 カラスノエンドウが花盛りです。
 雑草の茂っているところには、もれなく生えているような気がします。





*2023年4月21日撮影

 エンドウの名がついているので、いわゆるエンドウマメの一種です。
 サヤエンドウのような実がつくのですが、食用のサヤエンドウよりは小さくて、熟すと種子もサヤも黒くなります。
 この黒い実がカラスにたとえられて、カラスノエンドウというわけです。
 
 別名はヤハズエンドウといい、こちらの方が植物学界では標準的な呼び名とされているようです。
 しかし、一般的にはカラスノエンドウという名のほうが普通に使われています。





*2023年4月23日撮影

 これはカラスノエンドウに似た草ですが、花が小さくて白っぽいので違いはすぐ分かります。
 白紫色の小さな花は、葉の根元から伸びた柄に、ふつう4個づつ付きます。
 花だけでなく草丈も含めて全体的に小さいので、カラスに対比してスズメというわけで、スズメノエンドウと名付けられました。
 
 ちなみに、カラスノエンドウの花は紅紫色で、葉の根元に1個から3個付きます。

 



2023年4月23日撮影

 カラスノエンドウとスズメノエンドウは、しばしば混在していて、当然のようにカラスノエンドウは目立ちますが、スズメノエンドウはよくよく見ないと目につきません。
 なのでスズメノエンドウはあまり世に知られていません。





2023年4月24日撮影

 そしてもうひとつ、カラスノエンドウに似た草がこれ。
 花はスズメノエンドウよりは大きくて、薄い紫色をしています。
 それでも、カラスノエンドウよりはずいぶん小さくて、花の色もカラスノエンドウよりは地味な色をしています。
 カラスとスズメの間だから、カスマグサだという、冗談のような名付けがされました。
 エンドウマメの仲間なのに、エンドウという名が付けられなかったのは、どういうことでしょうか。





*2023年4月24日撮影

 カスマグサはカラスノエンドウやスズメノエンドウと混在することもありますが、単独で群生することが多いようです。
 そもそもカスマグサは他の2種よりずっと少なくて、なかなか目にしない植物だと思います。

 この写真のカスマグサの花はみなつぼみです。
 これはこれで、風情があります。





*2023年4月21日撮影

 カスマグサの花は、葉の根元から伸びた柄に1個から3個付きます。
 花の付き方はカラスノエンドウと似ています。
 カラスノエンドウよりは柄が長いところが違います。





*2023年4月21日撮影

 この3種の野生のエンドウは、食用のエンドウマメと近縁種で、いずれも食べることができます。
 カラスノエンドウは3〜5cmのサヤの中に10個ほどの豆ができ、スズメノエンドウは1cmくらいのサヤの中に2個の豆、カマスグサは1.5cmくらいのサヤの中に4個の豆ができます。
 エンドウマメと同じように、まだ熟さない緑色のうちに茹でて食べるわけですが、味の方は保証の限りではありません。

 これらエンドウマメ類は、中央アジアを原産地としていて、各種の豆類の中から現在のエンドウマメにつながる種が選ばれて、栽培と品種改良が進められたと考えられます。
 カラスノエンドウなど3種は、残念ながら選ばれなかったというわけですね。

 







 

ツリフネソウ

2022-09-23 19:53:55 | 草花

*2022年9月21日撮影

 秋の彼岸です。
 朝晩や雨の日は寒いと感じることが増えました。日中は日がさせば暑いこともあるのですが、風が冷たくなりました。
 季節の変わり目は突然やってくるので、びっくりするばかりです。

 いま、ツリフネソウが花盛りです。
 河原というよりは川の中に生えています。
 どちらかといえば日陰の方が好きなようで、ヨシの茂みのなかに隠れるように咲いています。





2022年9月21日撮影

 赤い花という印象ですが、赤紫というのが正しいようです。

 とても変わった姿形をした花です。
 大口を開けた魚が吊り下げられている、ように私には見えました。
 尻尾のところがくるりと巻いている姿などは、思わず笑ってしまいます。

 ツリフネソウという名は、帆掛船を逆さに吊った姿から名付けられたという説や、「釣船」という花器の名に由来するという説などがあるようです。
 「釣船」というのは船の形を模した花を生けるための器で、茶湯の席で飾りとして吊り下げられたのだそうです。





*2022年9月21日撮影

 花の大部分はくるりと巻いたしっぽ(きょ「距」という)を含め、袋状の萼(がく)が占めていて、このなかに蜜があるようです。
 蜜に誘われてマルハナバチなどがやってきます。
 萼の先端に、下を向いた大きな2枚の花びらと、上に小さめの花びらがあって、3枚の花弁があるわけです。
 不思議な形をした美しい花です。





*2022年9月15日撮影

 この写真は、左側の花が大きく口を開けた中が見えています。
 口の中の、上の方に白い突起がありますが、これが雄しべです。雄しべは中に雌しべを包み込んでいて、やがて雌しべが成長してくると脱落してしまいます。
 つまりツリフネソウの花は、雄花である時期と雌花である時期とがあって、時期が分かれることで同じ花での受粉を避けているということのようです。





*2022年9月15日撮影

 群生しているツリフネソウ。
 たくさん咲いている景色もなかなか見事です。

メマツヨイグサ

2022-08-29 21:25:27 | 草花

*2022年8月29日撮影

 まだ8月ですが急に寒くなりました。夏は終わったのかな、と思います。

 マツヨイグサが咲いています。
 おなじみの黄色い花ですが、ツキミソウだと思っている人の方が多いようです。
 ツキミソウという名は間違いが広まってしまったのですが、これはマツヨイグサが正しい呼び名です。

 マツヨイグサにもいろいろあって、この写真の花はメマツヨイグサといいます。





*2022年8月29日撮影

 マツヨイグサの仲間はすべて外来種です。
 基本種ともいうべき本来のマツヨイグサはいまやほとんど見られなくなってしまいました。
 どこにでもはびこっていたオオマツヨイグサも、なぜかあまり見かけなくなりました。
 いまや散歩中に出会うのはメマツヨイグサばかり。





*2022年8月19日撮影

 マツヨイグサは「待宵草」と書き、宵になるのを待って花を咲かせるところから名付けられています。
 メマツヨイグサのメは「雌」で、花が小さいことに由来しているようです。

 夕方に咲いた花は翌朝にしぼんでしまうのですが、しぼんだ花が赤くなるのが本来のマツヨイグサで、他の種類のマツヨイグサはオレンジ色に近い色になります。





*2022年8月23日撮影

 夏の暑いうちは、朝になるとはっきり花が閉じて、やがてしぼんでしおれていきます。
 秋が近づいて気温が下がってくると、朝になっても咲いている花が増えてきます。
 この写真は先週の撮影ですが、朝の10時頃でも咲いている花がすこしあります。





*2022年8月21日撮影

 この写真のころはまだ暑くて、朝になったら花はみなぴしゃっと潰したように閉じています。
 やがて色が変わってしおれていくのだと思います。
 花はみな一夜限りで、次の夜は別の花が咲きます。なので茎にはつぼみがたくさんついています。





*2022年8月29日撮影

 最後のおまけは、アレチマツヨイグサと思われる花の写真です。
 メマツヨイグサとアレチマツヨイグサは酷似していてほとんど区別ができない、しかし別種であるとされています。
 わずかな手がかりのひとつが、花弁の間に隙間があるのがアレチマツヨイグサだという見方です。
 この写真の花は、明らかに花弁と花弁の間があいています。なのでアレチマツヨイグサである可能性が高いわけです。
 正しく判定することは難しいと思うので、とりあえず珍しいアレチマツヨイグサに出会えたと信じて喜ぶのが、シロウトの特権でしょう。

ノアザミ

2022-07-16 21:21:42 | 草花

*2022年7月14日撮影

 梅雨が明けたと思ったら、今度は雨の日が続いています。
 異常な大雨の被害にあっている方々もいて、胸が痛みます。1日も早く平常の日々を取り戻せますように。

 7月の初めからアザミの花が咲いています。
 アザミ類は秋の花と決まっていますが、唯一春に咲くアザミがあって、ノアザミと言います。
 7月はもう春とは言えないですが、少し咲き遅れたのだと思います。

 美しいノアザミの写真です。





*2022年7月11日撮影

 このノアザミは、咲き始めて約2週間で、もう終わりを迎えようとしています。
 短い間、楽しませてもらいました。





*2022年7月10日撮影

 ノアザミは日本在来種です。
 他にもノハラアザミなども在来種です。ノハラアザミは秋に咲くアザミです。
 
 例によってアザミの世界にも外来種がはびこっています。
 アメリカオニアザミだの、セイヨウトゲアザミだの、名前までおそろしい。
 これらは開花時期が早く、7月ごろに咲くものも珍しくないのですが、姿形が在来種と大きく違うものが多いようです。




*2022年7月9日撮影

 アザミは葉にトゲがあるので、うっかりさわれませんが、花はとても美しいのが特徴です。

 美しい花のみならず、ノアザミは食用としても優れた存在で、葉の天ぷらなどは絶品です。
 ノアザミ自体が最近はあまり見かけなくなってきたので、採取して食べようとは言いにくいのですが。





*2022年7月8日撮影

 ノアザミの写真、今回は似たような雰囲気のものばかりになりました。

 さて、アザミとは別の話。
 会津の鶴ヶ城公園に、今年はクロイトトンボが出現しません。
 昨年までたくさん飛び交っていたのに、どうしたのか、と不思議に思っています。
 クロイトトンボは、いわゆるイトトンボ類の中で最も個体数の多いトンボだと思っていたので、ここ鶴ヶ城公園で今年1頭も見ないのは異常なことだと思います。

タンポポの綿毛(セイヨウタンポポ)

2022-05-14 21:14:07 | 草花


*2022年5月12日撮影

 セイヨウタンポポの丸い綿毛が広場を埋め尽くしています。
 見事な光景なので、思わず撮影しました。

 これは2日前のことです。
 きのう行ってみたら、ほとんどすべての綿毛が散ってしまっていました。夜、雨が降ったせいかもしれません。

 そういうわけで、こんな風景もほんのいっときのこと。
 おそらく数日間だけ見られたのではないかと思います。





*2022年5月12日撮影

 この姿を見れば、セイヨウタンポポが元気いっぱいで勢力を拡大していることも納得です。
 
 ここ会津の鶴ヶ城公園には、在来種のタンポポも生きていて、毎年花を咲かせているのを見てはほっとしています。
 たぶんエゾタンポポではないかと思われる、在来タンポポが存在しています。
 ただ、しだいに減っているような気もするので心配です。





*2022年5月12日撮影

 在来種のタンポポは、生まれ育った土の上でしか生きられません。
 したがって、土を入れ替えてしまうような土木工事が行われると、そこからは消滅してしまいます。
 外来のセイヨウタンポポは土の質にかかわらず生きられるので、こうして「タンポポ戦争」はセイヨウタンポポの圧勝なのです。

 鶴ヶ城公園は、古い環境と共に「古い土」が残っているので、在来のタンポポが生き残っています。
 しかしそれでも、観光環境の整備のための工事は続きます。できるだけ古い土と環境が残るようにと祈っています。





*2022年4月28日撮影

 4月の末、花盛りの頃のセイヨウタンポポ。
 なぜか、見れば元気をもらえる花です。
 元気いっぱいの美しい花。けっしてセイヨウタンポポが悪者であるわけではありません。
 在来のタンポポを守ろうと言う意志が、人の側に足りないのだと思います。