故郷へ恩返し

故郷を離れて早40年。私は、故郷に何かの恩返しをしたい。

暗渠

2020-03-19 04:39:52 | プロジェクトエンジニアー

絵のタイトルは、「奥山にコトリと水落つる」です。
奥多摩の林の中にあった小さな滝を描きました。


朝起きて窓の外を眺める。
昨日と同じ風景のようで、どこかが違う。
林道は、草がぽつぽつと生えてきて、樹間から陽が漏れている。
陽と陰は、一瞬ごと変わっていく。

作業小屋の周りに霜柱が立っている。
掘った暗渠どおりに、霜柱が並んでいる。
今日のタイトルは、「暗渠」です。
田んぼなど水はけをよくするために、暗渠を掘り埋める。
暗渠に入れる腐りにくいものが、もみ殻やしの竹である。
今は、クボタ製の暗渠用パイプである。パイプにところどころ小さな穴が開いている。
余分な水は穴から抜けてパイプに貯まる。
パイプの末端に設けられた排水弁を開放し水抜きをする。

昨年の豪雨の時、林から流れてきた大量の水で作業小屋が10cm程浸水した。
それではと、今年の冬に暗渠を掘った。
一昨日降った雪と雨が、暗渠に流れ、寒い朝に蒸発した水分が霜柱になった。
4年前、山際に掘った塹壕(1.5m深x2m幅x15m長)のお陰で、
昨年の豪雨の時、林から流れてきた大量の水でも畑の表土が流されなかった。
しの竹の補給路を断つために掘った塹壕であり、その後伐った木の枝を埋めた。
塹壕が、図らずも暗渠となった。
塹壕に閉じこもり、鴨のダウン毛をむしった。ダウン毛は燃やすと臭い。
毛を季節風に飛ばされることもなく、穴に留めた。

今朝、隣のばあちゃんが大根は食べられるかいと聞いてきた。
畑で取り残した大根がある。土より上は凍みて駄目になった。
土に埋まっている部分は、食べられそうだと妻が切り取って、料理した。
そのままをかじったわけではないので、より美味くなっているのか判断できない。
晩秋に取り込んだ大根は、土に埋めて上に霜よけの板を渡し冬の間保管した。
必要に応じて掘り出し、カフェで使い続けた。
保管場所の土に水が流れ込むだろうと、ばあちゃんは心配を私に話した。
保管場所に水が入らなかったのは、私が掘った塹壕のお陰だと説明した。
旦那さんは頭がよいねと褒めてくれた。

水とのつきあいは、古来から続いている。
雪解け水を、表流水として空気に触れさせ水温をあげて田んぼに流す。
インドでは、地中深くを流れるヒマラヤからの雪解け水を木の根で吸い上げ、水路で流す。
木を植え続けたのが、日本人である。
ブナは、上に伸びている高さの分だけ、深く根が張っている。
落葉も地中水分の蒸発を防いでいる。
杉や竹は、意外と深く根を張らない。
根が深い故に、ブナ林が自然のダムと称される。
サントリーの山崎蒸留所では、地中で17年間地中濾過された水をウイスキーの原料水としている。
水がうまいかどうかは、人々が判断する。

老人が 水はやるなに 隠れ水

2020年3月19日
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 遅い朝 | トップ | 復興高速道路 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

プロジェクトエンジニアー」カテゴリの最新記事