絵のタイトルは、「奥山にコトリと水落つる」です。
奥多摩の林の中にあった小さな滝を描きました。
朝起きて窓の外を眺める。
昨日と同じ風景のようで、どこかが違う。
林道は、草がぽつぽつと生えてきて、樹間から陽が漏れている。
陽と陰は、一瞬ごと変わっていく。
作業小屋の周りに霜柱が立っている。
掘った暗渠どおりに、霜柱が並んでいる。
今日のタイトルは、「暗渠」です。
田んぼなど水はけをよくするために、暗渠を掘り埋める。
暗渠に入れる腐りにくいものが、もみ殻やしの竹である。
今は、クボタ製の暗渠用パイプである。パイプにところどころ小さな穴が開いている。
余分な水は穴から抜けてパイプに貯まる。
パイプの末端に設けられた排水弁を開放し水抜きをする。
昨年の豪雨の時、林から流れてきた大量の水で作業小屋が10cm程浸水した。
それではと、今年の冬に暗渠を掘った。
一昨日降った雪と雨が、暗渠に流れ、寒い朝に蒸発した水分が霜柱になった。
4年前、山際に掘った塹壕(1.5m深x2m幅x15m長)のお陰で、
昨年の豪雨の時、林から流れてきた大量の水でも畑の表土が流されなかった。
しの竹の補給路を断つために掘った塹壕であり、その後伐った木の枝を埋めた。
塹壕が、図らずも暗渠となった。
塹壕に閉じこもり、鴨のダウン毛をむしった。ダウン毛は燃やすと臭い。
毛を季節風に飛ばされることもなく、穴に留めた。
今朝、隣のばあちゃんが大根は食べられるかいと聞いてきた。
畑で取り残した大根がある。土より上は凍みて駄目になった。
土に埋まっている部分は、食べられそうだと妻が切り取って、料理した。
そのままをかじったわけではないので、より美味くなっているのか判断できない。
晩秋に取り込んだ大根は、土に埋めて上に霜よけの板を渡し冬の間保管した。
必要に応じて掘り出し、カフェで使い続けた。
保管場所の土に水が流れ込むだろうと、ばあちゃんは心配を私に話した。
保管場所に水が入らなかったのは、私が掘った塹壕のお陰だと説明した。
旦那さんは頭がよいねと褒めてくれた。
水とのつきあいは、古来から続いている。
雪解け水を、表流水として空気に触れさせ水温をあげて田んぼに流す。
インドでは、地中深くを流れるヒマラヤからの雪解け水を木の根で吸い上げ、水路で流す。
木を植え続けたのが、日本人である。
ブナは、上に伸びている高さの分だけ、深く根が張っている。
落葉も地中水分の蒸発を防いでいる。
杉や竹は、意外と深く根を張らない。
根が深い故に、ブナ林が自然のダムと称される。
サントリーの山崎蒸留所では、地中で17年間地中濾過された水をウイスキーの原料水としている。
水がうまいかどうかは、人々が判断する。
老人が 水はやるなに 隠れ水
2020年3月19日
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