楽しんでこそ人生!ー「たった一度の人生 ほんとうに生かさなかったら人間生まれてきた甲斐がないじゃないか」山本有三

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浄瑠璃寺(叔母との約束)

2004年01月29日 11時30分00秒 | つれづれなるままに考えること
浄瑠璃寺(叔母との約束)

96歳になるカミさんの叔母が、老人ホームで生活している。
その叔母がまだ元気で自分の家で生活している頃、
将来ぼけないように、手先と頭の体操をかねて、
ジグソウパズルを時間かけて楽しんでいた。

ドイツのお城ノイシュバンシュタインなど.
かなり大きなジグソウパズルを完成させていた。
出来上がると「差し上げます」とよくボクにくれた。
ボクも貰っても家に飾ることも出来ず、
さりとて無碍にお断りもならず、「有難う」と言って貰っていた。
記憶に残っているのが、

この「ノイシュバンシュタイン」と「浄瑠璃寺の雪景色」の二つ。

貰った時に、いつかこのジグソウパズルにある絵の
「写真を撮ってきて、差し上げましょう」と約束をしてあった。

それからもう10年にはなる。
ノイシュバンシュタインは5年前にドイツへ旅した折、
絵葉書でも送ってあげたが、
自ら写真を撮ってお土産と一緒に、もって行って喜ばれた記憶がある。

しかし、いつでも行かれると思う浄瑠璃寺はなかなか行くことが出来ず、
一昨年叔母が転倒して大腿骨を骨折した時から、
早く約束を果たさないといけないと思っていた。

昨年暮に、何の気も無くN航空会社のマイレージが,
12月31日で有効期限か切れてしまうことがわかり、
無料で行けるならと、約束の浄瑠璃寺写真を撮りに行くことにした。

お寺の場所は京都にあるが、
乗り物は奈良駅からバスに乗って30分、
一日に数本しか出ていないバスに乗った。

車窓からは郊外の田園風景が目に映り、
人影もめったになく、行き交う車も少ない道路を、
どんどん山里の中へ入っていく。

浄瑠璃寺と同じ名のバス停で降りる時、今来た順路で帰るには、
「次のバスの発車時刻は何時ですか?」と、
運転手さんに聞いて置きたくなるほど、鄙びた田舎へ来た。

バスに乗った時は、カミさんとボクの他にもう一人、
御婦人が乗っていたが、二つ目の駅で降りていったので、
バスは殆ど二人貸切り状態で来た。

お寺までは、(200メートルです)の案内看板を見て、
道路を覗くと、向こうに三門らしきものが見える。
門をくぐると、左手に鐘楼、正面に池、
右手に本堂があり、池のほとりに三人の先客があった。
きっと一時間前のバスで来たに違いない。
他には誰もいない静かな山里であった。
右手の本堂の方に歩くと、
「本堂参観できます。御希望の方はこちらへ」と、右矢印の看板があった。

旅行案内では、今の時期は国宝級の九体の仏像は、
特別拝観の時期で無いとあったのにと、
不審に思いながら本堂前に進んだ。

賽銭箱があり、その賽銭箱に仏像拝観料は300円、と書いてある。
振り返ると池の向こう側に、
三重塔がやや高い位置にそびえている。

池を回って、三重塔の方へ歩く。
池は寒さで全面結氷しており、寒さが深々と伝わってくる。
三重塔の前に、薬師如来を拝んだ後、
彼岸の極楽浄土にある阿弥陀様を拝むように書かれている。

なんだボクたちは、逆に来たんだと思ったが、
済んだことは仕方がない。
初めからやり直すことにした。

池の東側にある三重塔の薬師如来は、
過去の世界から現世に光を当て、
苦悩を越えて進むための薬を与える仏様であるという。

真ん中にある池は現世で、
お釈迦様がこの世を導いて、池の西側に、
理想の未来に(極楽に)導く阿弥陀如来が、お出でお出でのしるし、
右手の親指と人差し指でマルの形(OKの形)を作り、お迎えしていると言う。

金300円也を払って、本堂の九体の阿弥陀様を観る。
見事な金箔に覆われている。
真ん中にある大きな香炉から、
たなびく香の匂いが気持ちを浄化させる。
賽銭を入れ、入れた賽銭が千万倍になりますようにと、
それから健康で長生きできますようにと、欲張ったお祈りをして、
本堂を出ようとすると、高く積み上げられた沢山のお経に囲まれて、
一心にお祈りをする修行僧が蹲っていた。
全く人の気配も感じさせないでいた修行僧は、
たった数分のことでも、冷たさで足が痛くなるほどの場所に、
作務衣の様な着物一枚で、じっと祈る姿に心打たれた。

(これでこそ極楽往生ができる)

そう思わせる真言律宗のお寺であった。
叔母と約束した写真は、
その薬師如来が安置されている三重塔が白壁の塀の向こう側にある図柄であったが、
何処をどう観ても、そのような構図は見当たらなかった。

その昔、院展でその絵を見た記憶があるが、
絵であるから多少創作した嫌いがある。
いずれにせよ三重塔は沢山カメラに収めたから、

葉書にして送って、約束を果たしたいと思う。
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2 コメント

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九体寺(くたいじ) (iina)
2015-09-22 11:21:24
北京で見た京劇で虞美人を見たとは、貴重な観覧でした。

一方の浄瑠璃寺は、京都というより奈良に近い位置にありました。^^
浄瑠璃寺では、彼岸の日に真東の三重塔の真上から陽が昇り、真西の本堂に陽が沈む極楽浄土を構成します。

九品往生の考えから、九つの如来が生前の信仰と善行の度合い9通りで迎えあまねくすべての人を救うとされています。
信仰度合いを上品・中品・下品、それぞれを善行度合いで上生・中生・下生と分け、この組み合わせで9通りになり、
われわれが死ぬと何れかの如来が迎えます。九体の阿弥陀さまは、そのように配置されているのだそうです。
そのようなことから、九体寺(くたいじ)とも呼ばれ、日常語になっている上品、下品は、この九品から派生しました。
http://blog.goo.ne.jp/iinna/e/215dfa12183b7b8f8340957ff3cb5962

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iinaさん コメント有難うございます。 (hide-san)
2015-09-22 16:11:51
10年も前の記事を読み返しています。

結構楽しく書いていると自分でも感じます。

このころのgooブログは写真が掲載できなかった記憶です。
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