念仏の 口止めとかや クリスマス
(ねんぶつの くちどめとかや くりすます)
11152 【季語】 クリスマス 【季節】 仲冬
石蕗の 冷めた黄色の 花清し
(つわぶきの さめたきいろの はなすがし)
11153 【季語】 石蕗 【季節】 初冬
重なりし 雲を突き抜け 冬陽さす
(かさなりし くもをつきぬけ ふゆひさす)
11154 【季語】 冬陽 【季節】 三冬
枯野道 どこまで続く 我が道よ
(かれのみち どこまでつづく わがみちよ)
11155 【季語】 枯野 【季節】 三冬
死す犬の 最後の遠吠え 枯野道
(しすいぬの さいごのとおぼえ かれのみち)
11156 【季語】 枯野 【季節】 三冬
磨り立ての 墨の匂いの 冬座敷
(すりたての すみのにおいの ふゆざしき)
11157 【季語】 冬座敷 【季節】 三冬
お歳暮の ハムとゼリーに 義母心
(おせいぼの はむとぜりーに ははごころ)
11158 【季語】 歳暮 【季節】 仲冬
明日からは 冬籠りなど 致そうか
(あすからは ふゆごもりなど いたそうか)
11159 【季語】 冬籠り 【季節】 三冬
天井の 龍の眼光 冬籠り
(てんじょうの りゅうのがんこう ふゆごもり)
11160 【季語】 冬籠り 【季節】 三冬
布巾掛け ポトリと落ちし 冬の宵
(ふきんかけ ぽとりとおちし ふゆのよい)
11161 【季語】 冬の宵 【季節】 三冬
邪気の無い 妹の指差す 冬の空
(じゃきのない いものゆびさす ふゆのそら)
11162 【季語】 冬の空 【季節】 三冬
松竹梅 歳寒三友 賀状の華
(まつたけうめ さいかんさんゆうが じょうのはな)
11163 【季語】 賀状 【季節】 新年
歳寒三友=松竹梅
松風の 中に佇む 水の鳥
(まつかぜの なかにたたずむ みずのとり)
11164 【季語】 水鳥 【季節】 三冬
冬電車 マスクの人を 避け座る
(ふゆでんしゃ ますくのひとを さけすわる)
11165 【季語】 冬電車 【季節】 三冬
寒空に 見上げて捜す 新の月
(さむぞらに みあげてさがす しんのつき)
11166 【季語】 寒空 【季節】 三冬
三次会 破顔三笑 冬の宴
(さんじかい はがんさんしょう ふゆのえん)
11167 【季語】 冬の宴 【季節】 三冬
海の音 波の音にも 冬気配
(うみのおと なみのおとにも ふゆけはい)
11168 【季語】 冬 【季節】 三冬
枯れ草を 踏みてその音 確かむる
(かれくさを ふみてそのおと たしかむる)
11144 【季語】 枯れ草 【季節】 三冬
水の辺の 枯れ草の中 風通る
(みずのべの かれくさのなか かぜとおる)
11145 【季語】 枯れ草 【季節】 三冬
雨羽を 広げて川鵜 仁王立ち
(あまはねを ひろげてかわう におうだち)
11146 【季語】 川鵜 【季節】 三夏
飯事で 照れて言い初む 旦那さん
(ままごとで てれていいそむ だんなさん)
11147 【季語】 ー 【季節】 ー
ポインセチア 紙細工なる 我が聖夜
(ぽいんせちあ かみざいくなる わがせいや)
11148 【季語】 ポインセチア 【季節】 仲冬
熱燗と 韓ドラありて 冬籠り
(あつかんと かんどらありて ふゆごもり)
11149 【季語】 冬籠り 【季節】 三冬
陽の見えぬ 冬の空さえ 益しと言う
(ひのみえぬ ふゆのそらさえ ましという)
11150 【季語】 冬の空 【季節】 三冬
旦那さん 我呼ぶ妹や 冬さなか
(だんなさん われよぶいもや ふゆさなか)
11151 【季語】 冬 【季節】 三冬
神仏 無神論者も クリスマス
(かみほとけ むしんろんしゃも くりすます)
11132 【季語】 クリスマス 【季節】 仲冬
忠臣は 今の世に無き 想いかな
(ちゅうしんは いまのよになき おもいかな)
11133 【季語】 ー 【季節】 ー
我が影に 寒気を見つけ 身震いす
(わがかげに さむけをみつけ みぶるいす)
11134 【季語】 寒い 【季節】 三冬
冬薔薇 棘は有りても 色映えて
(ふゆそうび とげはありても いろはえて)
11135 【季語】 冬薔薇 【季節】 三冬
震えても 風に耐えてる 冬鴉
(ふるえても かぜにたえてる ふゆからす)
11136 【季語】 冬鴉 【季節】 三冬
賀状書く 余日段々 無くなりし
(がじょうかく よじつだんだん なくなりし)
11137 【季語】 賀状書く 【季節】 仲冬
敷松葉 少し顔出す 苔の色
(しきまつば すこしかおだす こけのいろ)
11138 【季語】 敷松葉 【季節】 初冬
年の瀬に 床屋行く日を 逆算す
(としのせに とこやゆくひを ぎゃくさんす)
11139 【季語】 年の瀬 【季節】 仲冬
夢も失せ サンタも遠き クリスマス
(ゆめもうせ さんたもとおき くりすます)
11140 【季語】 クリスマス 【季節】 仲冬
虚空なる 夜空に浮かぶ 冬銀河
(こくうなる よぞらにうかぶ ふゆぎんが)
11141 【季語】 冬銀河 【季節】 三冬
届きたる 歳暮の数の 浮き沈み
(とどきたる せいぼのかずの うきしずみ)
11142 【季語】 歳暮 【季節】 仲冬
水洟や 青洟の子の 見当たらず
(みずばなや あおばなのこの みあたらず)
11143 【季語】 水洟 【季節】 三冬
冬帽子 餅つきの日に 贈られし
(ふゆぼうし もちつきのひに おくられし)
11120 【季語】 冬帽子 【季節】 三冬
冬帽子 妹との揃い 渡せずに
(ふゆぼうし いもとのそろい わたせずに)
11121 【季語】 冬帽子 【季節】 三冬
忘年会 新人の笑み 冴えわたり
(ぼうねんかい しんじんのえみ さえわたり)
11122 【季語】 忘年会 【季節】 仲冬
忘年会 本音出で来る 三次会
(ぼうねんかい ほんねいでくる さんじかい)
11123 【季語】 忘年会 【季節】 仲冬
メタボ症 腹摩られて 冬の宵
(めたぼしょう はらさすられて ふゆのよい)
11124 【季語】 冬の宵 【季節】 三冬
天仰ぎ ベンチでゴロ寝 冬旱
(てんあおぎ べんちでごろね ふゆひでり)
11125 【季語】 冬旱 【季節】 三冬
ビル街で 木枯し暴れ 虎落笛
(びるがいで こがらしあばれ もがりぶえ)
11126 【季語】 木枯し 【季節】 初冬
黄色なる 銀杏落葉の 道続く
(きいろなる いちょうおちばの みちつづく)
11127 【季語】 銀杏落葉 【季節】 初冬
赤い服 白い付け髯 クリスマス
(あかいふく しろいつけひげ くりすます)
11128 【季語】 クリスマス 【季節】 仲冬
忘年会 一つ目過ぎて 二つ目来る
(ぼうねんかい ひとつめすぎて ふたつめくる)
11129 【季語】 忘年会 【季節】 仲冬
南北に 帰省先あり 身は一つ
(なんぼくに きせいさきあり みはひとつ)
11130 【季語】 帰省 【季節】 晩夏
雪吊を 見れども降らぬ 雪恋し
(ゆきつりを みれどもふらぬ ゆきこいし)
11131 【季語】 雪吊 【季節】 仲冬
老いけらし 落葉の色の うらおもて
(おいけらし おちばのいろの うらおもて)
11105 【季語】 落葉 【季節】 三冬
韓ドラに 井の中の冬蛙 映りけり
(はんどらに いのなかのかわず うつりけり)
11106 【季語】 冬蛙 【季節】 三冬
夢の中 枯野を駆けし 我独り
(ゆめのなか かれのをかけし われひとり)
11107 【季語】 枯野 【季節】 三冬
澄みわたる 師走の空の 青深き
(すみわたる しわすのそらの あおふかき)
11108 【季語】 師走 【季節】 晩冬
冬草の 風に靡きて お辞儀する
(ふゆくさの かぜになびきて おじぎする)
11109 【季語】 冬草 【季節】 三冬
冬日差す 地蔵の足の 苔むして
(ふゆひさす じぞうのあしの こけむして)
11110 【季語】 冬日 【季節】 三冬
漫才師と 会えり師走の 終電車
(まんざいしと あえりしわすの しゅうでんしゃ)
11111 【季語】 師走 【季節】 晩冬
葉牡丹や くすみし色に 覆われて
(はぼたんや くすみしいろに おおわれて)
11112 【季語】 葉牡丹 【季節】 (晩冬)
我に似し おでんの鍋の 残りもの
(われににし おでんのなべの のこりもの)
11113 【季語】 おでん 【季節】 三冬
終電車 この世の芥 冬の塵
(しゅうでんしゃ このよのあくた ふゆのちり)
11114 【季語】 冬の塵 【季節】 三冬
冬枯れや 日本全国 隙間なし
(ふゆがれや にほんぜんこく すきまなし)
11115 【季語】 冬枯れ 【季節】 三冬
落ち際の 枯葉の裏の 朽ちし色
(おちぎわの かれはのうらの くちしいろ)
11116 【季語】 枯葉 【季節】 三冬
丞相は 今年も二人 冬の暮
(じょうそうは ことしもふたり ふゆのくれ)
11117 【季語】 冬の暮 【季節】 三冬
熱燗の その一杯に 憂さ籠めて
(あつかんの そのいっぱいに うさこめて)
11118 【季語】 熱燗 【季節】 三冬
洗いたる 硯の海に 湧きし墨
(あらいたる すずりのうみに わきしすみ)
11119 【季語】 ー 【季節】 ー
冬ざるる 流れる雲に 吹く風に
(ふゆざるる ながれるくもに ふくかぜに)
11092 【季語】 冬ざるる 【季節】 三冬
冬ざるる 明日香の里の 石舞台
(ふゆざるる あすかのさとの いしぶたい)
11093 【季語】 冬ざるる 【季節】 三冬
冬ざれや レールの軋み 事故の跡
(ふゆざれや れーるのきしみ じこのあと)
11094 【季語】 冬ざるる 【季節】 三冬
冬ざれや 濃淡ありし 墨の跡
(ふゆざれや のうたんありし すみのあと)
11095 【季語】 冬ざるる 【季節】 三冬
冬ざれの 街にそぼ降る にわか雨
(ふゆざれの まちにそぼふる にわかあめ)
11096 【季語】 冬ざるる 【季節】 三冬
生誕日 年が迫れば 忘られて
(せいたんび としがせまれば わすられて)
11097 【季語】 (歳末) 【季節】 仲冬
干し柿の 粉を払いて 一口め
(ほしがきの こなをはらいて ひとくちめ)
11098 【季語】 干し柿 【季節】 晩秋
冬菊や ひかり集めて 咲きにけり
(とうぎくや ひかりあつめて さきにけり)
11099 【季語】 冬菊 【季節】 三冬
山茶花や 無口の人も 饒舌に
(さざんかや むくちのひとも じょうぜつに)
11100 【季語】 山茶花 【季節】 初冬
山茶花は 散りて大地に 花咲かす
(さざんかは ちりてだいちに はなさかす)
11101 【季語】 山茶花 【季節】 初冬
数え日は 生くる年減る せわしなさ
(かぞえびは いくるとしへる せわしなさ)
11102 【季語】 数え日 【季節】 仲冬
メモ帳も 最後のページや 冬旱
(めもちょうも さいごのぺーじや ふゆひでり)
11103 【季語】 冬旱 【季節】 三冬
年暮れて 引っ越し予定の 朋も居て
(としくれて ひっこしよていの とももいて)
11104 【季語】 年暮る 【季節】 仲冬
枯れきりし 百日紅にも 青い実の
(かれきりし さるすべりにも あおいみの)
11073 【季語】 枯れる 【季節】 三冬
冬の雨 鵜急ぎ帰る 北の空
(ふゆのあめ ういそぎかえる きたのそら)
11074 【季語】 冬の雨 【季節】 三冬
飛び来る 冬の青鷺 煤まみれ
(とびきたる ふゆのあおさぎ すすまみれ)
11075 【季語】 冬 【季節】 三冬
踏まれても 生きる図太さ 冬の草
(ふまれても いきるずぶとさ ふゆのくさ)
11076 【季語】 冬の草 【季節】 三冬
冬草に 寝そべりて見る 風の筋
(ふゆくさに ねそべりてみる かぜのすじ)
11077 【季語】 冬草 【季節】 三冬
寒月や 肝の悪きは 親ゆずり
(かんげつや かんのわるきは おやゆずり)
11078 【季語】 寒月 【季節】 三冬
木枯しは 雲の切れ間から 吹くものか
(こがらしは くものきれまから ふくものか)
11079 【季語】 木枯し 【季節】 初冬
木枯しや 耳朶切れる 如く吹く
(こがらしや みみたぶきれる ごとくふく)
11080 【季語】 木枯し 【季節】 初冬
木枯しや 風の音こそ 恐ろしき
(こがらしや かぜのおとこそ おそろしき)
11081 【季語】 木枯し 【季節】 初冬
居酒屋に 掘炬燵ある 安心感
(いざかやに ほりごたつある あんしんかん)
11082 【季語】 掘炬燵 【季節】 三冬
健診の 結果に一憂 夕時雨
(けんしんの けっかにいちゆう ゆうしぐれ)
11083 【季語】 夕時雨 【季節】 初冬
健診の データで説諭 冬の酒
(けんしんの でーたでせつゆ ふゆのさけ)
11084 【季語】 冬の酒 【季節】 三冬
ボーナス日 今更捜すか 三億円
(ぼーなすび いまさらさがすか さんおくえん)
11085 【季語】 ボーナス 【季節】 仲冬
ボーナスや 今もなりたや 公務員
(ぼーなすや いまもなりたや こうむいん)
11086 【季語】 ボーナス 【季節】 仲冬
先達の 歳暮に歴史 涙あり
(せんだつの せいぼにれきし なみだあり)
11087 【季語】 歳暮 【季節】 仲冬
焚き火せし 煤けし漢 凛として
(たきびせし すすけしおとこ りんとして)
11088 【季語】 焚き火 【季節】 三冬
清しきは シクラメンと 他人は言う
(すがしきは しくらめんと ひとはいう)
11089 【季語】 シクラメン 【季節】 晩春
シクラメン 赤き嫉妬の 誕生花
(しくらめん あかきしっとの たんじょうか)
11090 【季語】 シクラメン 【季節】 晩春
青丹よし 奈良の時雨は 人を見る
(あおによし ならのしぐれは ひとをみる)
11091 【季語】 時雨 【季節】 初冬
居酒屋に 掘炬燵ある 安心感
(いざかやに ほりごたつある あんしんかん)
11082 【季語】 掘炬燵 【季節】 三冬
寒椿 蕊の黄色の 冴えわたり
(かんつばき しべのきいろの さえわたり)
11057 【季語】 寒椿 【季節】 晩冬
落葉道 人それぞれの 色のあり
(おちばみち ひとそれぞれの いろのあり)
11058 【季語】 落葉 【季節】 三冬
悠山人さんの短歌より新しい視点をいただきました。
http://blog.goo.ne.jp/goo2049
http://blog.goo.ne.jp/goo2049
風邪ひとつ 引いては彼岸 近くなり
(かぜひとつ ひいてはひがん ちかくなり)
11059 【季語】 風邪 【季節】 三冬
改札を 出れば冬晴れ 日本晴れ
(かいさつを でればふゆばれ にほんばれ)
11060 【季語】 冬晴れ 【季節】 三冬
冬木立 視線の先に 昼の月
(ふゆこだち しせんのさきに ひるのつき)
11061 【季語】 冬木立 【季節】 三冬
木枯しや 下弦の月は 昼の月
(こがらしや かげんのつきは ひるのつき)
11062 【季語】 木枯し 【季節】 初冬
物捨つる 金の要る世や 冬旱
(ものすつる かねのいるよや ふゆひでり)
11063 【季語】 冬旱 【季節】 三冬
こがらしは 風の中の木や 古き木や
(こがらしは かぜのなかのきや ふるききや)
11064 【季語】 木枯し 【季節】 初冬
こがらし=凩=木枯らし
句にすれば 卓に並びし 冬料理
(くにすれば たくにならびし ふゆりょうり)
11065 【季語】 冬料理 【季節】 三冬
生きている 証に食べん 河豚料理
(いきている あかしにたべん ふぐりょうり)
11066 【季語】 河豚 【季節】 三冬
お歳暮や 住所を聞きし 電話あり
(おせいぼや じゅうしょをききし でんわあり)
11067 【季語】 歳暮 【季節】 仲冬
十二月 物の区切りや 十二月
(じゅうにがつ もののくぎりや じゅうにがつ)
11068 【季語】 十二月 【季節】 仲冬
柿二つ 喰えばお腹が 鳴るばかり
(かきふたつ くえばおなかが なるばかり)
11069 【季語】 柿 【季節】 晩秋
我が影の お腹を見てる 冬日向
(わがかげの おなかをみてる ふゆひなた)
11070 【季語】 冬日向 【季節】 三冬
真珠湾 あっと過ぎけり 開戦日
(しんじゅわん あっとすぎけり かいせんび)
11071 【季語】 (開戦日) 【季節】 仲冬
柔かき 冬陽を浴びし 鬼瓦
(やわらかき ふゆびをあびし おにがわら)
11072 【季語】 冬陽 【季節】 三冬
冬木立 枯葉なくとも まあいいか
(ふゆこだち かれはなくとも まあいいか)
11044 【季語】 冬木立 【季節】 三冬
冬木立 一人が似合う 佇まい
(ふゆこだち ひとりがにあう たたずまい)
11045 【季語】 冬木立 【季節】 三冬
言うことを 聞かない妹や 冬鴎
(いうことを きかないいもや ふゆかもめ)
11046 【季語】 冬鴎 【季節】 三冬
小春日や 川鵜飛び交う 蒼き空
(こはるびや かわうとびかう あおきそら)
11047 【季語】 小春日 【季節】 初冬
西空へ Vの字飛行 冬川鵜
(にしぞらへ ブイのじひこう ふゆかわう)
11048 【季語】 冬川鵜 【季節】 三冬
寒鰤は 最後の晩餐 約束す
(かんぶりは さいごのばんさん やくそくす)
11049 【季語】 寒鰤 【季節】 晩冬
寒鰤捌く 親父も死して 三十年
(ぶりさばく おやじもしして さんじゅうねん)
11050 【季語】 寒鰤 【季節】 晩冬
寒鰤は 刺身が一番 二番なし
(かんぶりは さしみがいちばん にばんなし)
11051 【季語】 寒鰤 【季節】 晩冬
鰤大根 旨味の判る 年となり
(ぶりだいこん うまみのわかる としとなり)
11052 【季語】 鰤大根 【季節】 三冬
朝時雨 布団の中から 期待する
(あさしぐれ ふとんのなかから きたいする)
11053 【季語】 朝時雨 【季節】 初冬
時雨来て 枯葉に落つる 一雫
(しぐれきて かれはにおつる ひとしずく)
11054 【季語】 時雨 【季節】 初冬
時雨るるや 並足速足 急ぎ足
(しぐるるや なみあしはやあし いそぎあし)
11055 【季語】 時雨るる 【季節】 初冬
枇杷の花 白い産毛が 悲しげに
(びわのはな しろいうぶげが かなしげに)
11056 【季語】 枇杷の花 【季節】 仲冬
小春の日 法師の顔に 陽の光
(こはるのひ ほうしのかおに ひのひかり)
11028 【季語】 小春日 【季節】 初冬
小春日や 白紙に一筋 墨の跡
(こはるびや はくしにひとすじ すみのあと)
11029 【季語】 小春日 【季節】 初冬
陽は西に 下弦は東 冬の昼
(ひはにしに かげんはひがし ふゆのひる)
11030 【季語】 冬の昼 【季節】 三冬
大雪と 聞きても疎き 二三年
(おおゆきと ききてもうとき にさんねん)
11031 【季語】 雪 【季節】 晩冬
小春日に ベンチで昼寝の 夢があり
(こはるびに べんちでひるねの ゆめがあり)
11032 【季語】 小春日 【季節】 初冬
この頃は よく物言うと 小春空
(このごろは よくものいうと こはるぞら)
11033 【季語】 小春空 【季節】 初冬
物忘れ 段々酷き 小春空
(ものわすれ だんだんひどき こはるぞら)
11034 【季語】 小春空 【季節】 初冬
小春日に セミナー受けて 舟を漕ぎ
(こはるびに せみなーうけて ふねをこぎ)
11035 【季語】 小春日 【季節】 初冬
小春日や 塔の上には 金の鉾
(こはるびや とうのうえには きんのほこ)
11036 【季語】 小春日 【季節】 初冬
冬波や 外海内海 志賀の島
(ふゆなみや そとうみうちうみ しかのしま)
11037 【季語】 冬波 【季節】 三冬
玄海の 荒波怒涛 冬の波
(げんかいの あらなみどとう ふゆのなみ)
11038 【季語】 冬の波 【季節】 三冬
揃いたる 櫻紅葉の 枯葉かな
(そろいたる さくらもみじの かれはかな)
11039 【季語】 枯葉 【季節】 三冬
露天風呂 風情を醸す 村時雨
(ろてんぶろ ふぜいをかもす むらしぐれ)
11040 【季語】 村時雨 【季節】 初冬
生垣に 枯葉の活花 冬の晴れ
(いけがきに かれはのいけばな ふゆのはれ)
11041 【季語】 冬の晴れ 【季節】 三冬
朝毎に 銀杏落葉を 掃きし女
(あさごとに いちょうおちばを はきしひと)
11042 【季語】 銀杏落葉 【季節】 初冬
柿紅葉 手に取る一葉 無限色
(かきもみじ てにとるひとは むげんしょく)
11043 【季語】 柿紅葉 【季節】 晩秋
無限色、無原色、夢幻色、無間色
冬の宵 何を食べたか 記憶なし
(ふゆのよい なにをたべたか きおくなし)
11026 【季語】 冬の宵 【季節】 三冬
緑濃き 葉に守られし 寒椿
(みどりこき はにまもられし かんつばき)
11027 【季語】 寒椿 【季節】 晩冬
時雨るるや 印刷済みし 年賀状
(しぐるるや いんさつすみし ねんがじょう)
11013 【季語】 時雨るる 【季節】 初冬
傘もなく 家路遠のく 時雨かな
(かさもなく いえじとおのく しぐれかな)
11014 【季語】 時雨 【季節】 初冬
招提寺 黄昏迫り 紅葉増す
(しょうだいじ たそがれせまり もみじます)
11015 【季語】 紅葉 【季節】 晩秋
時雨来て 現世に泪か 鬼瓦
(しぐれきて げんせになみだか おにがわら)
11016 【季語】 時雨 【季節】 初冬
薬師寺を 出れば小春の 風が舞う
(やくしじを でればこはるの かぜがまう)
11017 【季語】 小春 【季節】 初冬
置時計 止まりし儘の 十二月
(おきどけい とまりしままの じゅうにがつ)
11018 【季語】 十二月 【季節】 仲冬
十二月 毎度おなじみ 忠臣蔵
(じゅうにがつ まいどおなじみ ちゅうしんぐら)
11019 【季語】 十二月 【季節】 仲冬
短日や 塀で昼寝の 昔あり
(たんじつや へいでひるねの むかしあり)
11020 【季語】 短日 【季節】 三冬
ポインセチア 一途の紅に 真あり
(ぽいんせちあ いちずのべにに まことあり)
11021 【季語】 ポインセチア 【季節】 仲冬
冬日向 懐寒くも 背は温し
(ふゆひなた ふところさむくも せはぬくし)
11022 【季語】 冬日向 【季節】 三冬
熱燗や 忘れた筈の 酒の味
(あつかんや わすれたはずの さけのあじ)
11023 【季語】 熱燗 【季節】 三冬
河豚食って 今年の無事を 確かむる
(ふぐくって ことしのぶじを たしかむる)
11024 【季語】 河豚 【季節】 三冬
忙しき ムダの多きが 師走かな
(いそがしき むだのおおきが しわすかな)
11025 【季語】 師走 【季節】 晩冬
降り降らぬ 予報の効かぬ 時雨かな
(ふりふらぬ よほうのきかぬ しぐれかな)
11002 【季語】 時雨 【季節】 初冬
帰り支度 すれば止みぬる 時雨かな
(かえりじたく すればやみぬる しぐれかな)
11003 【季語】 時雨 【季節】 初冬
行き支度 すれば降り初む 時雨かな
(いきじたく すればふりはじむ しぐれかな)
11004 【季語】 時雨 【季節】 初冬
時雨れては 台車の足も 折れにけり
(しぐれては だいしゃのあしも おれにけり)
11005 【季語】 時雨 【季節】 初冬
傘持たぬ 時だに降りぬ 小夜時雨
(かさもたぬ ときだにふりぬ さよしぐれ)
11006 【季語】 小夜時雨 【季節】 初冬
村時雨 過ぐれば天気 生駒山
(むらしぐれ すぐればてんき いこまやま)
11007 【季語】 村時雨 【季節】 初冬
時雨るるや 画伯の訃報 不東なり
(しぐるるや がはくのふほう ふとうなり)
11008 【季語】 時雨るる 【季節】 初冬
不東(ふとう) =三蔵法師・玄奘(げんじょう)の、インドへ達せずば東へ戻らず、という気概を示した言葉。
時雨傘 差すも差さぬも 気分なり
(しぐれがさ さすもささぬも きぶんなり)
11009 【季語】 時雨傘 【季節】 初冬
川下り 時雨るるほども 気にならず
(かわくだり しぐるるほども きにならず)
11010 【季語】 時雨るる 【季節】 初冬
時雨雲 あっと言う間に 消えにけり
(しぐれぐも あっというまに きえにけり)
11011 【季語】 時雨雲 【季節】 初冬
焦げている 生駒の山肌 冬の色
(こげている いこまのやまはだ ふゆのいろ)
11012 【季語】 冬の色 【季節】 三冬
妹話 毎夜途切れず この冬も
(いもばなし まいよとぎれず このふゆも)
10990 【季語】 冬 【季節】 三冬
春を待つ 真に綾なる 娘あり
(はるをまつ しんにあやなる むすめあり)
10991 【季語】 春を待つ 【季節】 仲冬
薄紅葉 これから色付く 七変化
(うすもみじ これからいろづく しちへんげ)
10992 【季語】 薄紅葉 【季節】 仲秋
膝が泣く 痛みで判る 冬の雨
(ひざがなく いたみでわかる ふゆのあめ)
10993 【季語】 冬の雨 【季節】 三冬
落葉とは 小枝が木の葉 離すこと
(おちばとは こえだがこのは はなすこと)
10994 【季語】 落葉 【季節】 三冬
数え日や 忘年会に 余日あり
(かぞえびや ぼうねんかいに よじつあり)
10995 【季語】 忘年会 【季節】 仲冬
冬の宵 ほろ酔いセット 五百円
(ふゆのよい ほろよいせっと ごひゃくえん)
10996 【季語】 冬の宵 【季節】 三冬
紅葉狩り 疲れて眠る 娘の重さ
(もみじがり つかれてねむる このおもさ)
10997 【季語】 紅葉狩り 【季節】 晩秋
忘年会 間違えられし 靴二足
(ぼうねんか いまちがえられし くつにそく)
10998 【季語】 忘年会 【季節】 仲冬
ルミナリエ 雨を喜ぶ 女も居て
(るみなりえ あめをよろこぶ ひともいて)
10999 【季語】 ー 【季節】 ー
忘年会 帰る手段無き 三次会
(ぼうねんかい かえるつてなき さんじかい)
11000 【季語】 忘年会 【季節】 仲冬
窓映る 己が姿や 冬の旅
(まどうつる おのがすがたや ふゆのたび)
11001 【季語】 冬の旅 【季節】 三冬
金なんぞ 増えるわけなし 冬日向
(かねなんぞ ふえるわけなし ふゆひなた)
10980 【季語】 冬日向 【季節】 三冬
ストーブを 買い替えおれば 冬温し
(すとーぶを かいかえおれば ふゆぬくし)
10981 【季語】 冬温し 【季節】 三冬
熱燗や 友と飲む酒 手酌酒
(あつかんや ともとのむさけ てじゃくざけ)
10982 【季語】 熱燗 【季節】 三冬
熱燗の さじ加減 妹覚えしや
(あつかんの さじかげん いもおぼえしや)
10983 【季語】 熱燗 【季節】 三冬
韓の冬 鮑雑炊 烏賊キムチ
(かんのふゆ あわびぞうすい いかきむち)
10984 【季語】 冬 【季節】 三冬
居酒屋は 半身で詰めて おしくらよ
(いざかやは はんみでつめて おしくらよ)
10985 【季語】 おしくら 【季節】 三冬
おしくら=押競饅頭(おしくらまんじゅう)
気がつけば 我の後追う 寒鴉
(きがつけば われのあとおう かんからす)
10986 【季語】 寒鴉 【季節】 晩冬
あの温さ 電気こたつに 潜りし日
(あのぬくさ でんきこたつに もぐりしひ)
10987 【季語】 電気こたつ 【季節】 三冬
山茶花は 散り際の花 多くあり
(さざんかは ちりぎわのはな おおくあり)
10988 【季語】 山茶花 【季節】 初冬
帰り際 オーバー忘れる 友もいて
(かえりぎわ おーばーわすれる とももいて)
10989 【季語】 オーバー 【季節】 三冬