超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

ゴリ橋先生を囲む作戦

2017-04-27 06:28:01 | 昭和
小学校卒業から○十年、記念作品の木彫りを担任の「ゴリ橋先生」から預かり、知る限りのクラスメイトに直接また知人の人脈を頼んでその旨メッセージを送ってもらってから約1ヶ月、大体想像していた通りだが数名の元クラスメイトは連絡用のアドレスにメールをよこしてくれた。ぼーっとしていても仕方がないから、「一月後に作戦会議をやらないか?」と第2弾をかました。この手のことには割とシビアに考えている私は「できることなら何でも協力するよ」というメッセージは「必要以上には踏み込まないよ」という意味にも解釈し、「一月先に来ない者は、いくら先に設定しても来ないだろう」と割り切ったのである。参加を表明してくれたのは今後、この話を進めるに最も頼りになりそうなクラス最強の女子エンちゃん(仮称)と私と幼馴染のカリコ、ゴリ橋先生から木彫り受け取りの時に付き合ってくれた(会えなかったが)テーラ、ここ数年顔を合わせている業界人?のパゲ、そして40年ぶりの再会となった初登場タランくん(仮称・デスラー総統の副官ではない)である。

当日、私は木彫りの拡大写真を撮ってプリントアウトし、卒業アルバムや遠足などの写真を持って行った。その直前になってテーラから「千葉に仕事に行くので参加はキャンセル」というメッセージがきた。サーフィン協会の仕事もしている彼は「ホントに仕事?千葉に波乗りしに行ったんじゃないの?」と冷やかしの陰口を叩かれていた。私はふと思いついて、別クラスの幹事を立派に努め奇跡的ともいえる人数を集めたプチエさんにダメ元で「オフィシャルアドバイザーとして来てくれないか」と声をかけた。他クラスとは言え、小中似たような顔ぶれだから知らないわけではないと思ったのだが、我ながらこの閃きは羽生選手の4回転ジャンプ並みのプレーだったのである。急なお誘いをしてメンバには言っていなかったから、「何で彼女がいるねん?」ということにならないように、事前に待ち合わせてお店に向かったのである。

約40年ぶりの再会となった「タランくん」以外は年に数回は集う面々だが、やはり小学校時代の話となると思い出話ばかりが先行して盛り上がってしまう。私は酒が進む前にとっとと事務的な話を始めた。まず卒業作品の木彫りを預かるようになった経緯、ゴリ橋先生とのコンタクトと再会及び先生の近況を手短に説明し、卒業アルバムと名簿、何枚か家で見つけてもらった写真を取り出した。まず名簿と集合写真などを見比べて「どの写真が誰?」から始まり「そもそも我がクラスにはどんなヤツがいたのか?」そして何となくクラスメイトのイメージが蘇ってくると、次は数々のエピソードである。修学旅行で泊まった宿の名前、買ったお土産、他校とのケンカに走ったヤツ、社会見学で東京を歩き回った話、その時の失敗談・・・タイミングを見て私は木彫りの拡大写真と持参した「たぶん持ち主が分かるサンプル」を取り出して見せた。昔話で盛り上がるだけではここに集まってもらった意味がないのである。



「ここにイニシャルがあるだろ。だからこれとこれは○川さんと●村さん、また今日来れなかったんだが、□山さん情報だとこのパンダが笹に登ってるヤツは△田さんの木彫りだそうだ。そして同じ□山さん談では『丸い大きな口だった』のがエンちゃんの木彫りということなんだ。持ってきたんだが見覚えねえか?手渡し第一号になるんだが」我がクラスで最も活発で勉強も運動も何でもクラス一できたエンちゃんは木彫りを手に取って眺めていたが「うーん、鼻がでかかったような気がするんだけど・・・思い出せないなー」重たい木彫りを6体も持ってきて一つでも配って帰りたい私は「これ、心なしかエンちゃんに似てねえか?結構上手にできてんじゃんか。持ってけよ」「うーん・・・」迷っている彼女の横からカリコが「ねー、これ△野くんに似てない?髪の毛斜めに流してるしさ」さらにプチエさんも「あー、たぶんそうだよ。」「(ったく、コイツら、余計なこと言いやがって・・・)」私はダメ元で写真を撮り返事もよこさない△野くんにメールで「これ違う?」と聞いたが、その場の手渡しは諦めた。



イニシヤル入りの持ち主が分かっているのは全部女子のモノだったが、残念ながら最近コンタクトがあるという人は誰もおらず、手を真っ黒にして段ボールから取り出して並ばせ、拡大写真を何枚もとって、現物も持ってきたのに1個も売れなかった。プチエさんは小学時代に△野くんのことがお気に入りだったと聞いたので「そんなに好きならお前が持って行け」と半ば自棄になったものである。(むろん却下された)それからしばらくゴリ橋先生の思い出話となった。昼休み時間など一緒にグランドでドッジボールもやってくれた先生である。そんな時も一番活躍していたのはエンちゃんで「オレ、エンちゃんの球、速くて見えなかった」「まともに取ろうとして怪我したヤツがいた」「地面スレスレのボールは、土煙が上がっていた・・・」無茶苦茶に言われていた。結構怪力自慢だった私もエンちゃんに腕相撲で勝てたことはただの一度もなかった。繰り返すがエンちゃんは「女性」である。

今会うと結構イケメンだったように思えるタランくんはかなり大人しい子供だった。「オレ、1学期の通信簿に『ちょっと暗い』と書かれちゃったんだけど、2学期には『少し明るくなりましたね』と書いてあった」体育館もプールもなかった我が校は青空卒業式のつもりでリハーサルしていたのに当日は何と土砂降りの雨で各組自分の教室で担任の先生から卒業証書を受け取った。最後にゴリ橋先生が「惜別の歌」を歌い、感極まって涙を流したのを女性軍はよーく覚えていて、懐かしそうに話していたが、当時の我々おバカな男子たちは、そもそも「セキベツ」の意味からして分からなかったのである。少し酒が進みいい気分になってきた私はスパークモードに入る前にもう一つ大事な用件を持ち出した。「この先、どうするか?」である。プチエさんらの活躍により、私が以前「木彫りを預かっている」と発したメッセージは10数名のクラスメイトに届いていると推定される。そのうち伝えたアドレスに連絡をくれたのは、このテーブルにいる人も含め6人だけだ。また彼女は他のクラスがどうしているかもその場で紹介してくれた。

この6人全てに木彫りの拡大写真を見てもらったが、誰も自分又は他人のものを判別できなかった。たぶん大半が持ち主不明となるのは間違いない。先生は奇遇にも我が家の近くの学校にいる時があるが、先生に会うのはともかく、自分のモノか分からない木彫りを受け取るためにわざわざ来るか?名簿はあると言っても数十年前だから実家があったとしても個人の連絡先を知り、案内をだすのは困難を極め中には嫌な思いをすることもあるという。私は木彫りについては任せてもらえば家で預かることに当分問題はない。頃合を見計らってウッドデッキのインテリアにしてしまう、海辺でバーベキューするときの木材に使用するなど案を出した。(キャンプファイヤーなどは禁止らしい)「先生に会いに学校まで行って、焼却炉で焼いてしまうというのはどう?」カリコが「皆で拝んで成仏させる」案を主張した。私はこれをヒントに「神社に人形を納めるように、御炊上げをしてもらう」ことを思いついたが黙っていた。

エンちゃんは私の持っていった住所録を眺めていたが、突然スマホを取り出して電話をかけ始めた。私が持ってきたパンダ彫りの持ち主、△田さんの番号にかけているらしいのである。(誰が使っているか分からないのに恐るべき行動力だ)「お父さんが出たよ。今、仕事でいないけど、帰ってきたら連絡くれるってさ」すごい!あっという間に一歩前進した「木彫りはともかく、いい先生だったから、集まって会いたいよねー」私は(その場のノリもあっただろうが)彼女の勇気に敬意を表し、その場でスマホを取り出してゴリ橋先生の番号にかけてみたのである。「あ、ゴリ橋先生ですか?●小6−Xの磯辺太郎です。今、クラスメイトが何人か集まってるんですけど、お話してもよろしいですか?」「うん、何か周りが賑やかだねえ。女傑の○×さん?もちろん、よく覚えてるよ」エンちゃんから始まって、皆少しの時間だったが先生とお話しできた。突然の思いつきだったが皆懐かしそうにしていた。そして最後にエンちゃんにもう一度代わり、約半年後にともかくも先生を囲んで集まろうということになったのである。



翌日、来れなかったメンバにはそのことを伝え、前夜の写真などを送った。また夜遅くエンちゃんにはパンダ彫り女子から連絡があったようだった。以前、プライベートで色々あって音信不通になっていたようだが、エンちゃんはまずはLINEつながりを持ち、本人の了解で私にも連絡先を教えてくれた。実は彼女は妻とともに私の母校キャンパスで何度かテニスをしたことがある間柄だったので、ちょっと遠慮がちに挨拶メールとゴリ橋先生との2ショット写真、パンダ彫り、前夜の様子などを送っておいた。ものすごく久しぶりであまり人と会いたくないならスルーされるかとも思ったが「写真ありがとう。ところで先生の左側の男性はどなたですか?」と返してくれたのは嬉しかった。ただ少し変だな。先生の左側?私は写真に向かって左側に写っているので、先生から見ると右側に立っているのである。「先生の隣?段ボール持ってる男?あんまり変わらんと言われるんだけどね。ボクですよ。

ガンさんらと一緒に結構仲良く遊んだのに顔を忘れちゃったのか?!ちょっとがっかりしたが、ホントに色々あったようだ。すると再び驚愕の返信がやってきて、「段ボールを持ってる男性がゴリ橋先生かと思ったの。失礼、左が太郎ね」アイツ・・・今年、72歳になる先生とオレを間違えてたのか?ボケるにもほどがあるぞ!約40年前の先生は背の小さな私たちから見たらスラッと背が高いイメージがあるのは分かるが。。。自他共に認める根に持つタイプの私は、いつか会う機会があったら絶対イジメてやることにしたのだった。その後エンちゃんは名簿で連絡先不明となっている全てのクラスメイトに電話をかけまくって10名以上の音信を獲得するという八面六臂の活躍、△野くんからは相変わらずそっけない内容で「いいえ、違います。私のは・・・です」彼は自分の木彫りを覚えていたのだ。そんなんこんなんでこの先、少しずつ進展していくような気がしているのである。


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6 コメント

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Unknown (月美)
2017-04-29 08:00:40
「ゴリ橋先生を囲む会」実現に向かって かなり躍進しましたね。何もないところから始め 木彫りを受け取り ご友人が集まり そこから少しずつ 当時の同級生の連絡先が判明し、きっとそんなに遠くない将来 ゴリ橋先生を囲む会が開催されることになるのでしょうね。その様子は「水の輪」のようですね。何もない水面に 一滴の雫が落ちると あっという間に その周りに綺麗な水の輪が大きく広がっていく…。そんな気がしました。しかし ご友人とのいろんな会話を覚えてらっしゃることに いつも感心してしまいます。まるでメモを取っているかのごとく…。その会話がまた味を出していて面白いブログになるのですが(笑)太郎さんはもしかしたら あまりお酒を召し上がらないのでしょうか?もしや実はずっと烏龍茶だとか…。素朴な質問です。お酒を飲んで記憶が無くなることはないのでしょうか?(笑)
Unknown (磯辺太郎)
2017-04-29 15:20:31
月美さま

ひょんなことから深みにハマってしまいそうですが、古い友人の輪が広がっていくのは悪い気はしないですねえ。「囲む会」の成否は文中に登場するキーウーマン「エンちゃん」の活躍にかかっているような気がします。
それにしても「水の輪」とは月美さんは詩人なんですねえ。波紋というより爽やかな感じがします。
会話のメモですか・・・確かに面白く印象に残った話題は違う記憶領域に残るような気がします。恐らく記録をとるとその何倍も「おバカ」な話をしてることでしょう。
基本、どういうシーンでも飲み方は(むろんお酒ですよ)変わらないのですが、心を許したメンバーだとリミッターを外してしまうので、大体記憶がなくなります(笑)。
とおっしゃるところを見ると月美さんはよく記憶をなくすんでしょうか?(意地悪笑)。
Unknown (月美)
2017-04-29 18:57:56
いえいえ すっかり記憶が飛んでしまうコトはないのですが 所々は覚えていても どの道を歩いてきたのか、とか どうやって その状況になったのか とか、抜けている所があったりします〜^_^ 歳と共に すぐ酔ってしまいやすくなった気がします。先日 少々酔った時は 眠りにつくまで 笑い上戸になったようで、意味もなく ベッドで1人で声を出して笑ってしまった自分は さすがにコワかったですね(笑)気の許せる友人と飲むのは 楽しいですね。利害関係も上下関係もなく 言いたいコトを言って 笑い合えるなんて 同級生飲み会ならでは、ですよね。
Unknown (磯辺太郎)
2017-04-29 22:26:14
月美さま

どの道を歩いてきたか、どういう状況か抜け落ちてる?ふふふふ、それを記憶が飛ぶというのですよ。
私もそうですが、年齢とともに酔いやすく、長時間持たなくなってきましたね。
へへーえ、意味もなくベッドで声出して笑い・・・全然ありですよ。ボク、一人で漫談したことありますから。(しかも記憶ゼロ)
私はどちらかというとどこで誰と飲んでも気を許してしまう方なんですが、結果だけ見ると同級生と飲むと驚くほど長時間同じ時間を過ごしています。飲み放題コースなんて延長の連続ですしねー。
Unknown (小夏)
2017-04-30 18:43:58
GW入りーですねー!元気よく海に入ってらっしゃいますかー!?

わぁ、進展しましたねー!
それに半年後の設定まで!、すごいですっww
考えてみればさかのぼる年月は想像以上の数字ですよねぇ、をぉイヤイヤ^^
しか~し、とても味わい深く昨日のことのように思い出されることもありますね。それに全く覚えていないこともあったり、じわじわ来るのもあったり、、
小中学校のお友達は一味違います。
怪力エンちゃん、すごいですねー、今はどうかしら!半年後に勝負するのはどうでしょう^^
そうそう、こちらにこそっと書きますが、先日参加した小さな会で「一人オカマになって女性言葉で電話が・・・。」と聞きました。一瞬笑っちゃいましたが、それ以上に激しそうな世界に生きる彼の今が心配になってしまいました。

「できることなら何でも・・」というメッセージは「必要以上には踏み込まないよ」という意味、あはは、ほんとそうですね!理路整然と進んでいかれるところ、さすがでいらっしゃいますww
Unknown (磯辺太郎)
2017-04-30 22:12:11
小夏さま

GW楽しんでらっしゃいますか~?今日は江ノ島にプチ焼肉に行きましたが、焼けましたねー。
半年後というのはその場のノリでしたが、それなりに進展はありました。ホント、●十年という年月ですからねえ。
私は「根に持つ」タイプなので、小中のこともよく覚えている方なんですよ。じわじわくるものもありますね~。
むろん女子は苗字呼捨て方式です。。。
怪力エンちゃんのこの後の活躍が進み方に大きく影響がありそうです。他組でも「同級会の企画が進んでいる」という投稿を見かけました。
なるほど~オカマ言葉をね。色々とあるもんですよね。「懐かしいけど家庭の事情で今はパス」というクラスメイトもいました。
遡る年月が大きいだけに、面倒なことや嫌な思いも多いそうなんですよ。だから「そんな思いまでして実現せずともよい」という人の気持ちはよく分かります。
この先の進み方も成り行き次第ですね~。

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