超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

ディープでダークなウルトラの会

2016-05-21 18:01:40 | 昭和
今の職場ではとあるメンバーの情報交換会とされる催しがある。言ってみれば同業者「寄合」みたいなもので、四半期に1回くらいのペースで定例会が開催される。コンサルティング会社が幹事となり、各社の代表が「寄り合って」自社の事業状況やトピックス、その場で議論したいテーマなどを発表する。メンバーはその事業の責任者や以前から携わっていた重鎮、社長自らが出席することもある。私も役柄からそのような場所にも足を運ぶが、年代が上の方々ばかりなので前任と交代してデビューしてから多少なりとも窮屈さは感じていた。ただ2年近くメンバとして出席していると、それぞれ顔馴染みにもなり、懇親会などで気楽に話をして少しずつ仲良くなり、ようやく最近はそこそこちゃんとした意見も言えるようになり(まるで小学生みたいだ)、堅苦しくしていた外見も多少「遊び」」を持ち込むようになってきた。クリスマス前にはド派手サンタのネクタイをして行ったり、ウルトラマンスタンを集めて購入したピンバッチをコートに刺して行ったり・・・



4月になって新年度の定例会が東京で開催されたが、時節柄何社かはメンバーが異動などで変わっており、会議前の名刺交換を終えて、冒頭新メンバーは簡単な自己紹介をしていた。社ごとにほぼ毎回席次は決まっており、私の隣は某航空会社系列の会社の物静かで紳士的な社長が座って、色々と親切に教えてくださったのだが、一転してバリバリのキャリアウーマン風の女性エグゼクティブ・・・自己紹介では以前は「客室乗務員の指導責任者」をしていたと言うから私はガチガチに凝り固まってしまった。各社の近況発表で自分の順番になり「○●の磯辺でございます。お隣が『CAの教官』と聞いて『態度が悪い』とか『言葉使いがなってない』とか指摘されたらどうしようかと、怖くて全然打ち合わせに集中できませんで・・・」場内の重鎮方はゲラゲラ笑っていたが、別に場を和まそうとしたのではなく、自分自身をリラックスさせるために口にしたのである。確かにそれまではクラスの卒業写真の最前列のように「こぶしを膝に置いた」状態が続いてヘトヘトになっていた。。。

休憩時間になり、トイレに行って電話を一本入れて会議室に帰ってきたら、昔クラスにいたいじめっこ女子みたいな2人に「ちょっとこっち来なさいよ」的調子(むろん言ってません)で呼び止められた。「磯辺さん、それMATですよね。前から知ってたんですよ、この前は科特隊のバッチ着けてましたよね」いかにも(もう逃げられないわよ)的ににやーっと笑いかけたのはリーダ格の人だった。私は開き直って不敵に笑い・・・「ふ、ふ、ふふふ。実はネクタイもバルタンだったりして・・・」「あーっ、ホントだー!こんな渋いヤツ、どこに売ってるんですか?」「洋服の青山がコラボしたんです。ピンに至っては自作です」「へーえ、前から気になってたのよねー。実は●○社長のお声がけで『ダークなウルトラの会』ってのをやってるんですよ。私はアンヌ、彼女は『フジ隊員』を名乗ってます。じゃまた、懇親会で誘いますからねー」サザエさんで言ったら間違いなく「花沢さん」格だろうな思うアンヌ隊員を名乗る某社事業部長はからから笑って席に戻っていった。ちなみにフジ隊員は前回からの参加で「怪獣酒場」デビューしたという、その会合のアシスタント幹事である。



懇親会では早速ダークウルトラの会の主催者?某社の●○社長が隣にやってきた。「ボクは『ダン』を名乗ってます。まずは5月○日に女子隊員2名も加えて皆でカラオケに行くんで来てくださいよ。ウルトラセブンがお好きとか?何ならダン隊員の名前はお譲りしてもいいですよ。ボクたちはマイティジャック、サンダーバード、スターウォーズ方面も大好きで、特撮、アニメ何でも歓迎です」「ははあ。参加させてもらうとすれば、見習いのホシノ隊員で行きましょうかね。。。」私よりも年長者が多そうなのでその時は遠慮気味に笑ってごまかしたのだが、数日たってそれらしき案内のメールがやってきた。寄合で私の知るの人はダン社長とアンヌ、フジ両隊員だが、他のメンバーはそれぞれ一斉メールで「ハヤタ○△です」「ブレインズ◆◇です」「エキゾスカウト■□」とニックネームを前につけて名乗っていた。ダン社長は「隊長」と呼ばれ、連絡や店の手配など幹事役を引き受けているらしい。シグニチャーを見ていると何かいかにも「エグゼクティブ」たちのダークなディープな会に見えてきた。「(まさか仮面を着けて来いとは言わぬだろうが・・・どうしたもんじゃろのぉ)」と思案していたが、次に具体的な場所と時間を案内されてきた時、メールタイトルがいつの間にか「ホシノ磯辺隊員歓迎会」と変わってしまっていた。(じぇじぇじぇ、びっくりぽんや)

会場は食事○品飲み放題付、持ち込みのレーザーディスクも使用できるという、新橋のとある豪華カラオケ室だった。新人の見習い隊員が遅刻するわけにはいかぬので、集合時間の15分くらい前に店に行ったら既にアンヌとブレインズ以外はロビーに集まっていた。ちょっと挨拶を交わしているとフジ隊員が「あれれー、今日はMATじゃないんですか?!」(彼女は実はあまり詳しくない様子だ)「今日はネクタイがメインですから・・・」すかさず初対面のハヤタ隊員が「さすが!それダダですね。人間標本・・・・」「5・6」私は扉を開く合言葉のように続けた。ちょっと狭苦しい部屋に案内され、めいめい席に着くと早速初対面の人たちが「こんな場所で何なんですけど」と苦笑いしながら名刺を差し出してきた。やはりこのあたりは「(昭和なんだなー)」と感じたが、ハヤタ隊員などは某名門デパートの重役のようだった。その後乾杯して簡単な自己紹介となったが、先陣を切ったダン隊長は私に「ダン」の称号を譲り改めて「キリヤマ」を名乗ると宣言した。(別に頂くとは言ってないのだが・・・)

私が次に自己紹介するとその後のメンバーは年齢差分と自分の好む分野を披露した(ニックネームを見れば分かるよ・・・)。皆、昭和のジェントルマンで女性隊員2名はカラオケ初参加だったのでさすがに最初は大人しくしていたが、ハヤタ隊員がお土産にウルトラマンスタンプラリーの景品ステッカーをフジ、アンヌ両隊員にプレゼントしたら、「ねえねえ磯辺さん、兄弟と撮った写真見せてよ。」と言い出した。私はスマホに入っている例の「掲載不可」写真を取り出すと場内は一気に湧き上がったのだ。「じゃー、そろそろカラオケいきますか!」残念ながら体調を悪くしているフジ隊員が退場しダン隊長は迷わず「マジンガーZ」を歌いだした。実は彼に「特撮・アニメで好きな歌、2,3チョイスしておいて」と事前に言われて私はあれこれ考えていた。年代がほぼ似ているから大抵のものは知っているだろうが、ウルトラシリーズをとってみても「初代マンのような誰でも知っている平凡なモノではなく、かといってディープ過ぎて誰も知らないレア物でもなく・・・」デビュー戦でメンバの水準もしらないし、いきなりぶっ飛ばしてドン引きされないような絶妙な選曲、私は前夜妻と一緒に昔のヒーロー特撮のビデオを色々おさらいしてとりあえず3曲頭に入れておいた。



ところが(マイティジャックの)エキゾスカウト隊員が入れて画面に現れたカラオケ大会第1号のタイトルを見てぶったまげてしまった。「ウルトラ六兄弟」、まさに私が2番目に歌おうと考えていたモノだったのである。うーむ、このメンバは侮れない。。。というか、いきなり全力モードでも全然問題ないかもしれないぞ。次のハヤタ隊員が入れた「アイアンキング」で私の憶測は確信的なものとなった。さらに年齢が少しだけ下のアンヌ隊員がマイクをつかんだ時に流れた曲は「魔女っ子メグちゃん」、私は挨拶代わりに「キャプテン・ハーロック」、その後「チキチキマシン猛レース」、「マッハGOGOGO」と続いた。「マッハバロン」「仮面の忍者赤影」「バビル2世」「海のトリトン」誰が入れていたか分からなくなるくらいの勢いだったが序盤は比較的メジャーなタイトルが次々に現れ、ちょっとした「ジャブの応酬」という感じで皆で合唱し懇親を深めていった。昨年、水木一郎&堀江美都子+串田アキラさんのアニソンに浸った経験からこのあたりは画面を見なくても1番くらいは造作なかった。

中盤に差し掛かり、自分では中々思いつかないレアもので「うわーっ、こんなのあったよねえ!」と場内を沸かせる「ちょっとマイナー系」に走るきっかけを作ったのはアンヌ隊員の「スーパースリー」だった。ハヤタ隊員は「スーパージェッター」、ブレインズは(実は当初こちらがオープニングだった)科学忍者隊の「倒せ!ギャラクター」、エキゾスカウト隊員は「新造人間キャシャーン」を入れてきた。「太陽戦隊サンバルカン」「大戦隊ゴーグルファイブ」ときたので私は「仮面ライダーX」と続けた。(ちょっとメジャー過ぎるけど)このあたりで気付いたのだが、皆がすごいところは選曲用タブレット端末にタイトルを直接打ち込んでエントリーしているのである。私(もしかして皆もそう?)は普段カラオケなど行かないので使い方が分からなかっただけだが、ジャンル別の一覧となっている昔のカタログ方式だったらいくらでも選曲できたのに、自身の頭にタイトルを思い浮かべるのは想像以上に困難だった。酒が十分に入っていつもの切れがない頭に浮かんだ「ちょっとレア」なタイトルは「ミクロイドS」「ゼロテスター」「海底少年マリン」くらいだった。(まだまだ浅いね)

延長を重ねた終盤はそれぞれ自身のお気に入りを皆で歌う合唱の場となっていた。マイティジャック、帰ってきたウルトラマン、サンダーバード、キャプテンウルトラ・・・子供の頃夢中となったヒーローがディープでダークな夜を締めくくったのだった。休日を挟んだ数日後、たくさんの「お疲れメール」が飛び交った。「あんな、盛り上がったカラオケは初めてでした・・・」「冨田さんの訃報に愕然、追悼にたくさん歌いましたね」「次回は『ダークウルトラの会西へ』ということで・・・」「元祖怪獣酒場(大阪)、5月に閉店!この機会に特撮・アニソン夏の陣というのは?」「シン・ゴジラの会は7/29でしたっけ?」どうやら次回もやる気満々の様子である。今回は普段なじみのないカラオケの様子が全然分からずにぶっつけ本番だったが、次はもう少しダークな路線でポイントを稼ごうと思う。悪友にこの手のシリーズが得意な者がいるので、事前に「特撮・アニソン縛り」のカラオケ練習会を催して、万全を期そうと狙っているところだ。



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6 コメント

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Unknown (月美)
2016-05-22 00:33:39
読んでいて ドキドキしてしまいました!小説を読み進めていくように 主人公太郎さんは この先 どんなディープでダークな世界へ入って行くのだろうとワクワクしつつ…。
私が うわぁー!と思ったのは 「忍者赤影」。好きだったなぁ~。「だいじょうぶ!」と鼻に親指を付けて ぶ!で開くというポーズの彼は 何影だったか…うーん 思い出せない…(笑)赤影はスマートでカッコよかったけど 中年太りのオジさん影は 何影だったか…。またまた数十年前の記憶が蘇りそうなのに…しかしまだボヤけていて、うーんもどかしい限りです。もう一度 忍者赤影、TVで観てみたいものです。「スーパースリー」も ホント懐かしー!初対面の人が殆どなのに共通の趣味で盛り上がるなんて 最高の夜を過ごされましたね。読んでいて こちらまで本当に楽しい気分になりました~
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Unknown (磯辺太郎)
2016-05-22 07:32:47
月美さま

こんにちは。
連休の合間、ダークに花開いた夜でした・・・メンバはどなたもちゃんとした社会人(むしろハイソっぽい)ばかりなので、安心して深みにハマっていくような気がします。(笑)
「仮面の忍者赤影」皆も大好きだったみたいです。「だいじょうぶ!」のお得意ポーズは「少年忍者青影」、中年太り(そんなに太ってたかな)は「やさしいおじさん白影」です。大凧に乗ってましたねー。主題歌にも出てくるんですよ。ようつべで見られるんじゃないかな。
スーパースリーも盛り上がりましたねー。みんな12ちゃんの「まんがの国」「キッドボックス」を見たクチらしいんです。
これを共通の趣味と言えるかどうか、微妙ですが月美さんも立派に中に入れると思いますよ。ちなみに我が妻子は次回は「オレ達も行きたい」と申しております。(笑)

※ボクもこの無料ブログサイトのおかしな挙動、よく分からないんですよ。重なったヤツは消しておきますね。
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はじめまして (怪獣ボール)
2016-05-29 00:22:15
磯辺さまと同じく例のJRウルトライベントに運良く参加できた者です。
先日の記事は何度も読み直していまして、その度興奮しています。
ありがとうございます。うん、うちも画像をプリントアウトしよう。
今回の画像を見て思わずコメントしました。
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Unknown (小夏)
2016-05-29 03:10:35
怪獣ボールさま、す、すごい方が出現っ
これだからブログってやめられないですねぇ

途中で電源落ちるようになった我がPC君。
写真吸い取りに精を出しちゅう~の覗き見でした

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Unknown (磯辺太郎)
2016-05-29 06:23:55
怪獣ボール様

はじめまして。ようこそいらっしゃいました。
ジャックの運んだセブンガー、愛嬌のある顔をしてましたねー。
あのイベントは興奮のるつぼでしたよね!同じ経験ができて光栄です。今でもポスターを見てあの体験を思い出します。(一応SNS掲載禁止と聞いたので、ブログでもギリギリのところで・・・)

JRイベントでの共通体験も何かの御縁ですから、また遊びにきてください。
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Unknown (磯辺太郎)
2016-05-29 06:26:57
小夏さま

ほーんと、同じイベントに参加された方がいらしたとは感激です。写真をまとめていらっしゃるのですね?PCトラブルとは大変ですね。
早く正常になりますように。そしてご旅行記楽しみにしています。
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