超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

カイゼンの祭

2012-11-14 22:08:21 | 職場
陸上自衛隊司令官の講演の後、午後の部は各セクションから代表として選考されてきた10数チームがホールで発表を行う。審査員はブランチオフィスの幹部他で、結構細かく採点する。営業や共通事務、法人営業に施設系など多岐にわたるセクションからそれぞれの仕事の中で「カイゼン」したことを8分程度のプレゼンテーションにまとめる。最近はあまり型にはまらない形式になりつつあるが、フレームとしては「チームの紹介」「現状把握」「目標設定」「課題解決」「効果の確認」「歯止め」などと進めるのが一般的だ。数年前は全国規模の大会でも代表となれる「無敵」のチームがあり、毎回完成度の高いプレゼンを披露して最優秀賞を持っていった。

審査員だからあまり「ああだこうだ」言って不公平になってはいけないのだが、私は昨年の発表会では「プレゼンで勝てねえなら『ウケ狙い』で行こうぜ。何か面白いことやってくれ」特に技術屋の工具の工夫やソフトウェアツールなどは劇的に仕事が「カイゼン」されても「百聞は一見に如かず」、図や活字だけではよくわからないことが多く、会場に伝わりにくい不利な面があった。昨年はVTRを効果的に使い、中島みゆきさんの「挑戦者」をBGMにしたり、ビフォーアフターのサザエさんの声「何ということでしょう!」を駆使し、新入社員はいかにも似合わない作業ユニフォームにヘルメット姿で現れ、さんざん会場を荒らしたあげくワン・ツーフィニッシュ、そして5位までを独占したのだった。

特に100円ショップで買ってきた小さな金属の輪を改良して「リング2」と名付け、「貞子」と共に会場を恐怖に陥れたテーマ作品は入賞こそ逃したものの、プレゼンに改良を重ねついに年明けの全国フォーラムのワークショップで「半ウケ半ビキ」という微妙な成果をもたらせたのである。元々、こういった草の根のようなカイゼン運動が盛んな風土を持ち、毎年それなりにはやってくるルーキーズ達と同年代の若手パワーで段々と「王道」からは少し外れてきたが、楽しい方向に盛り上がってきだ。

「よーし、どうせ悪ノリも『あり』なんだったら『祭』にしちまおうぜ」と主催側セクションで飽きっぽく、いつも同じことを繰り返すのが好きでない私はこれまで「発表会」としてきた催しを「発表祭」と変えてしまったのである。司令官にも講演をお願いし、元ルーキーズペアを司会に抜擢、パネル展示なども昨年よりもだいぶパワーアップして臨んだのだった。むろんこれまで高いパフォーマンスを誇ってきた入賞常連チームも完成度の高いプレゼンを初っ端からかまし、審査員達を感心させた。各チームの発表の前には推薦者(PTA)の1分間PRがあり、どんなところを見て欲しいかアナウンスされる。発表後の講評の代わりに今回から採用されたのだが、どうせなら前と後、両方コメントがあったほうが分かりやすかったかなー。

大震災の後、施設の塗料の剥がれ状況を調査しにアンテナ鉄塔を一緒に上った元ルーキーズの「ハナちゃん」が若手の全員投票式「やる気DASカップ」でグランプリを取ったテーマ作品があったが、残念ながら今回は発表者にはならず、また自身が映っていた「カイゼン前後」のモデルも別人になってしまっており、それが裏目に出てしまったのか、入賞には至らなかった・・・渡された発表プログラムを見ると、別に意図した訳ではないが、その発表順はトップバッターが最も「王道」を行く模範サークル、トリが最も「邪道」なウケ狙いサークルになっていた。昨年「リング2」をかました、あのチームである。

PTAは実はサッカーがうまいことが発覚した「いっけい」で「本人達は一所懸命やってますが、大きな期待はせずに暖かい心で『笑うトコロ』は笑ってください。しっかし、発表者はどこに行ったんでしょうねえ・・・・?!」なんーてすっ呆けていると、後ろから謎の白衣翁が現れた。(アイツら、演出十分じゃねーか?!)
会場の半分どよめき、半分爆笑を尻目にステージで「ビートたけし」ばりに大コケし、持っていた怪しげなガラクタをぶちまけて「ワシは発明王『エジサン』じゃ。今日はワシの発明をお披露目するためにやってきたんじゃぞ。。。。」と初めた。名札まで自作したそうだが、この「発明王エジサン」は確か「オバケのQ太郎に登場するのである。動く廊下を発明(40年前くらいに)するのだが、一方向にしか進まないため反対方向に進もうとするとダッシュしなければならない、というシーンを記憶している。

さて我が方の発明王だが、8分の発表時間中ずーっと例の「しゃがれ声」でプレゼンするダメージを想定していなかったのか途中「げほげほ」と苦戦していた。ご丁寧に普段はほとんどされない質問にまで「エジサン」で回答し、撒き散らしたガラクタをそのままに舞台を去って行った。
機密事項なので細かく書けないが実はこの発明王、すごいのは今度考案した秘密兵器についてホントに特許出願しているのである。しかも多少なりとも私のアイディアも入っているから出願者に名を連ねているのだ。ブランチオフィスではKYOちゃん以外にはおらず、もう読者も忘れているかもしれないが、私は研究所に勤務していたので、特許出願の要領とか事務手続きの手順など知るべくもない「エジサン」たちに指南したのである。むろん権利は会社に譲渡してしまうので、大ヒットしても大金持ちにはなれないが・・・

  

私は舞台裏で発明王を記念撮影し、審査員室へ向かった。採点はリアルタイムにPCで行っているから、審査結果は既に出ていたが、「発明王」チームがダントツの1位!私のセクションだったから我田引水のようで苦笑モノだったが、採点は10人近くの人が公正に行ったのでそのまま最優秀賞となった。
表彰式と記念撮影(残念ながらエジサンは着替えていた)を済ませると、発表祭の終了挨拶も兼ねて私が講評させられることになっていた。いつもならチームごとに講評者がいて、発表直後にそれぞれコメントしていたのだが、今回は前にPTAによるPRタイムを置いたので「後ほど磯辺さんにまとめて講評いただきます」と司会進行の「ハナちゃん」に宣言されてしまったのだ。実は壇上に上がる時に「発明王」のコスプレを借りて、タケちゃんばりの「大ずっこけ」をかましてやろうか、と考えていたのだが、表彰式が終わり会場が落ち着いた終了モードになってしまっていたので止めた。
私は人前での挨拶や総評などに「紙」を使う習慣はないのだが、さすがに10数サークルの発表内容を全部暗記しているわけもなく、プログラムだけ持って発表内容を思い出しながら順番にコメントしていった。そして最後に主催事務局を代表して・・・

「皆さん、本日は丸1日にわたり業務改善発表祭に参加いただきありがとうございました。私はこの大会、3回目の参加になりますが、「カイゼン」をテーマにしたものになりますので、「講評」もカイゼンされていかなければならないんですが・・・・午前中の「指令」の講演を聴いて本職で頭が一杯になってしまって、何を話すのかまとまっていないのが正直なところです。初参加の時はこのブロックの改善意識の高さに感心しつつも、セクションごとには若干の温度差を感じ、「全員参加型で行こうじゃないか」をスローガンにしました。結果、これまで聞いていたよりはかなり盛り上がって「やりがい」を感じたところではありました。しかし、どうも個人的には「真面目過ぎて楽しくない。遊び心が足りない」」と感じ、前回は「何でもありで、とにかく面白いことをやろうぜ」と言いました。人間しかめっ面でモノを考えるよりは楽しんでいる方が『いい知恵』が出るものだ、と思ったからです。ノッてくれたチームもあり、目新しかったこともあって、前回は自分なりにずいぶん進化したものだと感じました。これを発展させ(実はかなり『いい気』になってですが)今回は大会を「発表祭」にしました。それはまたしても少し王道から外れたことも始めたかったからです。それはホスピタリティの推進です。顧客賞賛事例紹介やDVDを鑑賞いただいたのもそういう試みの現れなんです。我々は一般的に言う「業務改善」と言う意味ではかなり高いレベルを持っていると思っています。しかしそれはあくまで『自分の仕事を楽にするための』工夫であって、それはまだまだネタは尽きないでしょうが、他人を楽にするために出した知恵も違った味の改善が出てくるのではないか?人間、自分一人の為よりは他人のために力を尽くす時の方が能力を発揮するような気もしたのです。しかしこれまでの「カイゼン」の考え方は「具体的効果」が求められることが多く、このジャンルの取り組みは感心はされるものの「予選」で姿を消すことが多かった。比較的長い我が社の「カイゼン」の歴史には新入社員のアイディア・提案によって大々的に組織名を変えたこともあったんですよ。こういうのも大事なカイゼンだと思います。次回はこういう取り組みもちゃんと取り上げて共有するために「ホスピタリティ」部門を設けようと思います。「全員参加で」「遊び心を持ち」「ホスピタリティを大事にする」というのがカイゼン祭の目指すゴールだと思っています。今日は1日にわたり、皆様お疲れ様でした。これをもって本年度のサービス品質向上・業務改善改善祭を終了します・・・」


最新の画像もっと見る

コメントを投稿