超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

プロペラ機の恐怖

2014-02-04 23:12:09 | 出来事
今の職場になって「車で県内の隅々まで巡る」という代わりに、遠距離にある主要な拠点を頻繁に訪れるということが多くなった。大雑把に言うと札幌、仙台である。同じような職務を分担しているのだが、各々の生い立ち、地域事情、県民性などが相まって必ずしも軍隊のようにどこに行ってもマニュアル通りというわけではない。どこかに「オレんちはそれなりにちゃんとやってるんだから、放っておいてくれ」という空気がある。北関東勤務地は一つの「国」であって、「この国の人はこうなんだよねえ・・・」と苦笑すれば皆、納得賛同してくれたものだが、今は中々そうはいかないところが面白いところだ。一時期、中央集権化を志向して強力に干渉した時もあったようだが、私が着任して「まあ、いいんじゃないでしょうかねえ、えへへへ」みたいにやってきた。その方が「楽」だからだが、「ダイバーシティである」と言い張っている。

その代わり東京も含めて何か所もある拠点になるべく足繁く通うことにしている。一斉モノはテレビ会議が多いが、私は情報産業に類する会社に勤める割には電話が苦手で、長々と要件を話したり「ほう・れん・そう」(報告・連絡・相談)を受けることができない。実際にそこに立たなければ分からない職場の空気、香り、温度などはあるものである。地方の拠点も1か所ではないから訪問すると当然1日がかりとなるが、便利なことに会社のオフィスであればどこに行っても同じような仕事ができるようにITシステムが整備されている。(つまり出張にかこつけて普段の仕事をサボれない・・・)羽田から新千歳まで1時間半(その先オフィスまで1時間)、東京から仙台まで1時間半(この速さはすごい!)どちらも丸1日コースとなるから、最近は泊付きで梯子することもある。

さて先日、とある大手航空会社から一枚のカードが送られてきた。マイレージとは別に利用頻度の多い顧客向けにフライトマイル又は搭乗回数によって特典のあるプログラムがあるそうだ。空港のファーストラウンジ使用や優先搭乗、ビジネスクラスへの限定アップグレードなどができるようだ。結構乗ってるからなー。(新幹線もあればいいのに・・・)その航空会社でカード詳細を調べていると「生涯マイル」という面白そうなページが現れた。それほど飛行機に乗るわけではないので、これまでの搭乗回数は60回、地球約6.5周、総搭乗時間は434.1時間だそうだ。この航空会社だけだが、まあこんなものか。。。

他の会社も含めて100回搭乗したとすると、結構深刻なトラブルに見舞われたことが数回ある。今回はその1回に入る久々の怖い体験だった。スケジュールを効率化するために最近、札幌、仙台を梯子することが多くなった。どちらが先の時もどちらで泊まる時もあるが、札幌仙台間の航空機は小さな旅客機だ。国内の離島に行ったことがないので経験していないのだが、はとバスよりも乗客が少ない小型機で中は実に狭く、以前同行した「たっくん」は一番後部座席になって頭が天井につかえてしまった。機体だけみるとさながらプライベートジェットに搭乗する気分だ。何せ小さすぎてゲートから蜘蛛の足のように出る搭乗用通路が連結できないから飛行機の近くまでバスで移動することになる。そのバスの中からちょっとクラシックなスタイルのプロペラ機が見えた。「ねえねえ、あの飛行機どこに行くヤツかな」「ボンバルディア機ですね。今度調べときますよ」乗り物好きのたっくんは笑っていた。  

    

どうやら札幌から仙台に向かう他社の便にあるらしい。「ホント?じゃ、今度行く時はそれに乗ろうぜ。プロペラ機などほとんど乗ったことないからなー」「でも時間が遅いですよ。仙台空港着は夜の9時ですから何もできませんよ」「千歳で札幌ラーメン食えればよし!それで行こうぜ。ジェット機よりも遅いから優雅なのかなー」
意外に早くそのチャンスがやってきた。朝から札幌へ向かい、午前午後に2か所のオフィスで打合せ他を行い、夜の便で仙台に向かう。例のボンバルディア機らしい。。。

新千歳空港での搭乗口はゲート1つまり一番端っこでなおかつ飛行機まで少し歩く。タラップは機体のアーチがひっくり返り「ぐぃーん」と降りてきたもので、ウルトラセブン「湖の秘密」(エレキング)で搭乗したピット星人の宇宙船の入り口のようだ。路線バスのようなシートに座るとちょうど窓からプロペラが見える。「ただ今、飛行機のドアが閉まりました。業務連絡です。客室乗務員はドアロックをオートにセットしてください。」一瞬機内の明かりが暗くなり、ゆっくりプロペラが回り始め戦争映画に出てくるような「ぼぼぼお」という独特な振動と共に機体が動き出した。しかしこんな小さなプロペラ2つでちゃんと飛べんのかな。

  

「この飛行機は間もなく離陸します。シートベルトを腰の位置でしっかりとお締めください」一旦停止して「ぼぼぼっ」となっていたプロペラが「ぼぼぼわわぁーん」と轟音を鳴らし突如「ぐあーっ」と加速した。うぉーっすげえ!機体が小さいからか?!シートに身体が押しつけられるー。ジェット機よりも急加速のようで、なおかつ滑走距離も半分くらいであっと言う間に離陸した。その後すごい勢いで急上昇し、ゼロ戦さながらに旋回して安定飛行に入った。プロペラ機と言ってもすごい性能なんだなー。もっとゆっくりのんびり飛び立つのかと思った。しかししばらくすると、久々に空の怖い体験をすることになる。

しばらくするとガタガタと機体が揺れ出し上下しだした。まあ、これくらいの揺れならこれまでも何回か遭ったことがある。しかしそのうちにガタガタからきゅわーんと尻がむずむずするほど上下動が長くなった。うーむ。。。これは気持ち悪ぃ。まるでとしまえんの「フライングパイレーツ」に乗っているようだ。。。
「ご搭乗の皆様こんばんは。操縦席の機長、●●です。本日は○○○便仙台行きをご利用頂きましてありがとうございます。あいにく発達中の低気圧と前線の影響で気流の悪いところを飛んでおりまして、しばらくはこの揺れが続くものと思われます。高度は少し低めの●○○●フィート、これ以上高いとさらに揺れが激しくなる調査結果となっています。しかし飛行の安全には全く問題ありません・・・・・ではシートベルトをしっかり締め、おくつろぎ下さい。」機長のアナウンスが終わると同時にドンピシャのタイミングでそれまで30分以上ずーっと座りっ放しだったCAが「ご気分の悪くなった方は備え付けのエチケット袋をご使用ください」

まるで当たり前のことのように澄ました声で機内にアナウンスする。バス遠足のように薬を出すとか揺れない席に移動させるとか(そんな席ないか)をすっ飛ばしていきなりゲ●袋を使えってか?!私は釣り船に乗ろうが、偵察ヘリに乗ろうが乗り物酔いなど経験したこともない抗体を持っているが、さすがにフライングパイレーツに1時間乗りっ放しというのはまずい。。。私はブーゲンビル島で撃墜され戦死した山本五十六長官のように両手で軍刀(は持っていないが)を立てて上から重ねて押さえ、目をつぶって微動だにせずにひたすら揺れがおさまるのを待った。ようやく小康状態になるとCAは律義に立ち上がって飲み物をさーっと配り終えるとまた乗務員席に戻って行った。前方のトイレはエチケット袋を使わずに耐えていた乗客が入れ替わり入って行った。隣のカップルは何ともない顔をして雑誌を眺めながらもしっかりと互いの手を握りしめていた。

ようやく着陸した時は機内に「ほっ」としたような空気が流れた。何かはるか昔こういうことがあったな。目をつむったまま、いつのことだったか思い出していた。あれは卒業に際し初めて海外旅行としてオーストラリアを1周した時だ。パースで入国し今は「ウルル」と呼ばれる世界最大の一枚岩「エアーズロック」まで空路向かった時だ。砂漠の中の巨大な「へそ」だから気流など安定していそうだが、天候が悪かったこともあって信じられないくらい揺れた。恐ろしく感じながらも飛行機経験はほとんど無かったので逆に「こういうものなのか?!」と感じていた。しかしその飛行機は飛行場の滑走路で何回もタッチアンドゴーを繰り返したのである。着陸するかと思ったら、「ぶわあーん」とプロペラの出力を上げ、慌てて(といった感じで)急上昇するのである。まるでフライフィッシングのようだったが、ようやく着陸して逆噴射音とともにスピードを落として地上を走ると機内では拍手喝さいとなった。。。

実は2泊したエアーズロックでは同様の「マウント・オルガ」と合わせて上空から景色を楽しむ観光を行った。これもまた6人乗りくらいのセスナ機だったが、真っ平らな地面でへそのように飛び出たエアーズロックの真上は気流がおかしくなっているようで、それこそ木の葉のように上下左右にまるで富士急ハイランドの「FUJIYAMAⅡ」のようだった。シートベルトなどもろくにしていないから、尻が浮くほど急降下することも何度もあった。30年近く前の怖いモノなし年代だから十分スリルを楽しんだが、同乗した女子数名は途中で泣き叫んだ。。。考えてみればセスナ機なんてのもあんな小さなプロペラ1個でよく大空を自由にと飛べるものだ。推進力が小さいから風の影響をもろに受けてしまうのだろうか?!

ニュージーランドを旅行した時にクライストチャーチからクイーンズタウンに向かったのもプロペラ機だったが、ゆっくりと地表の近く、山々の姿を楽しみながら優雅に飛行した記憶があった。それが印象強く久し振りにプロペラ機に乗りたいと思ったのだが、考えてみれば3度のうち2度は散々に揺れて怖い思いをしたわけである。同行者は明らかに乗りモノ酔いの顔をしており、私も着陸してバスでゲートまで行き、ターミナルを歩いている時も上下にゆらゆら揺れている感じがした。1日中釣り船に乗って下船した時に身体がまだ揺れている状態に似ている。いやー、ボンバルディアは懲り懲りだ。スタッフの皆さんごめんなさい。もう「プロペラ機に乗りたい」なんて言いません・・・・。


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4 コメント

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Unknown (小夏)
2014-02-07 18:08:17
えっへっへ、しっ しょ う、こんばんは!
どうしたんでしょうね~、ニヤニヤしちゃうんですけども、、師匠の文才で臨場感あふれちゃっているのも原因じゃないかな~。山本五十六なんて、、んっもー浮かんでしまって最高です(涙目)
以前伺ったときもノリノリでサンフランシスコから飛んで行き来していた機種を何人乗りだったのか調べに行っちゃいました~(いつものことながら帰れなくなる・・) 結局わからなかったけど、CAは一人でした。
これがボンバルディア機なのですねー。一時注目されていたのはなんでだったでしょう。。車高低いのでヤンキー?まさか。とても興味深い風貌ですね!

上級会員ゲット、スゴイ、おめでとうございまーす

宮城と横浜の面白い情報おいていきますね
http://www.urakasumi.com/hpa/shop.html
http://www.urakasumi.com/hpa/siinkai.html

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Unknown (磯辺太郎)
2014-02-08 07:57:17
小夏さま

こんにちは。今朝は珍しく雪が降っております。積もるかなー。。。
しっかしボンバルディア機、笑いごとではなかったんです~。(いつだったか落ちましたよね)
へーえ、サンフランシスコから。。。CAが一人ということはかなり小さい機ですよね。でもジェットならそんなに揺れなかったです。

美味しそうな日本酒情報ありがとうございます。今日は念の為、どこにもいかず雪見酒かなー。
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Unknown (小夏)
2014-02-09 12:06:43
笑い過ぎちゃいましたね、、ボンバルディア機って聞き覚えあると思ったら、落ちたことがあるのでしたか・・

浦霞本社蔵の試飲は先日テレビでやっていたのです。
お猪口を買うと試飲でき、確かその日は4種、うち一つが宮城だけで売られるもので、それが美味しそうでしたー

今朝のニュースで三浦半島の暴風を見ました湘南も吹き荒れたのかしら・・。

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Unknown (磯辺太郎)
2014-02-09 20:48:17
小夏様

名前からしてアップダウンが激しい感じがしますもんね。
おー、浦霞にも色んな種類がありますが、宮城でしか買えないものがあるんですねー。
昨日はすごい暴風でした。ウッドデッキの上に60cmくらい積りました。何せシェッドにも物置にも行けませんでした。
これまでで一番積もったと思います。散歩に明け暮れた一夜明けた本日でした~。
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