さらに、従業員と企業体質の健康確保が、企業の収益増大につながる、ということです。
先に紹介した胆管がん問題の大阪の印刷会社は、胆管がんを発症し元従業員ら17人に、
それぞれ1千万円超の補償金を支払ったとあります。本来であれば、その補償金の額は、
一桁違って当然でしょうが、当該企業の経営内容から推測すれば、ぎりぎりの補償金額なのでしょう。
産業医の職務に、
イ 長時間労働者に対する面接指導及びその結果に基づく措置(H17,H30法改正)がありますが、
面接指導を必要とする長時間労働者がなくなれば、産業医の業務は大幅に削減できます。
同じく
ウ ストレスチェックとストレスチェックにおける高ストレス者への面接指導、
その結果に基づく措置(法26法改正)があります。
長時間間残業を削減し、職場環境の改善を促進できれば、高ストレス者が削減できますので、
同様に面接指導を必要とする産業医の業務は大幅に削減できます。
定期健康診断の有所見率の推移(3厚生労働省 「定期健康診断結果調」)をみてみると、
H3年が27.4%、H4年が33.2%、H10年が41.2%、H20年が51.3%、
H29年が54.1%と右肩上がりとなっています。
これも、企業・事業所内において、健康増進活動に努めれば、
定期健康診断の有所見率を低下させることができますので、
これも産業医の業務負担を削減できる効果があります。
なお、アメリカでのエビデンスになりますが、ミシガン大学の研究グループの成果をもとに、
米国商工会議所等が算出発表したものをみると、従業員の健康関連コストの構造(金融関連企業の場合)は、
アブセンティーズム(病欠)は、僅かで。60%以上がプレゼンティーズム(従業員が職場に出勤しているものの、
何らかの健康問題によって、業務の能率が落ちている状況)であると。
なお、医療費は、15%程度だそうです。これも企業内における健康増進活動を進めることができれば、
企業の収益増大につながるということになります。
このように、健康経営に先行投資しても、
余りあるリターンを得られることがご理解いただけるのではないでしょうか。
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