中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

労働基準監督署の決定を取り消し

2018年08月07日 | 情報

労災申請が認められなかった場合など、保険給付に関する決定に不服がある場合には、労災法に特例的な規定が設けられています。
具体的には、特別法である労働保険審査官及び労働保険審査会法に基づき、
労働者災害補償保険審査官に対して審査請求することができます。

今回の事案は、このケースに該当します。
さらに、労働保険審査官の決定に不服がある場合には、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができることになっています。
(以上、労審法38条)さらに、再審査請求でも認められない場合には、司法に訴えることになります。

北国新聞「連続勤務でうつ病発症」自殺社員の労災認定
18.8.3 毎日

北国新聞社(金沢市)の法人営業部に勤務していた近藤洋平さん(当時25歳)=金沢市=が2016年3月に自殺したのは
労災だとする遺族側の申請について、石川労働者災害補償保険審査官は労災補償の不支給を決めた
金沢労働基準監督署の決定を取り消した。7月31日付。休みなしの連続勤務が原因でうつ病を発症していた、として労災認定した。
遺族側によると、近藤さんは出向先から本社に異動後の16年1月ごろから心身の不調を訴えるように。
遺族は昨年4月に金沢労基署に労災申請したが、同11月に不支給とされた。遺族の審査請求に対し、
審査官は、近藤さんが出向先で勤務中の15年9月~16年1月に、2週間以上の連続勤務が5回あったと認定した。
北国新聞社はグループ会社での「勤務に起因した発病と認定され、誠に遺憾。二度と同じ事態が起きないよう取り組む」とコメントした。

北国新聞社員 自殺は労災 審査官認定 連続勤務でうつ発症
中日新聞プラス2018年08月03日

北国新聞社(金沢市)社員の近藤洋平さん=金沢市、当時(25)=が二〇一六年三月に、
連続勤務などが原因のうつ病で自殺したとして、石川労働者災害補償保険審査官が労災を認定した。
今後、遺族補償が給付される見通し。一七年十一月には、金沢労働基準監督署が遺族の請求に対して補償の不支給を決めていたが、
この決定が覆った。
遺族や審査官の決定書によると、近藤さんは出向先のグループ会社「北国新聞小松販売」(石川県小松市)で
営業チーフとして新規顧客の開拓や配達員の確保を担当。
一五年九月頃から通常業務に加え、担当エリアで欠員となった配達員の代わりに朝刊を配ることがあった。
その影響で、二週以上の連続勤務(十二〜二十六日間)が計五回あり同年十二月には、
午前一時からの配達業務が連続してほぼ二十七日間あった。勤務開始が午前九時、十一時、一時、四時など不規則になった。
これらから審査官は十分な睡眠を取れず、自覚せず疲労を蓄積させていたと推察した。
近藤さんが本社法人営業部兼販売部業務課に異動した一六年一月には過敏な精神状態にあり、
仕事内容の変化によるストレスを過大に感じていた可能性を指摘。
これらの要因が重なり、同年二月下旬にうつ病となり、翌月に自殺をしたと認定した。
遺族は一七年四月、本社勤務時の過重な負荷、上司の過度な叱責などのパワーハラスメントがあったとして、
金沢労基署に遺族補償を請求。うつ病の発症は認定されたが、本社勤務が起因したとする主張は認められず、不支給が決定した。
遺族が、労基署の判断の是非を調べる審査官に審査請求をしたところ、小松販売に勤務した頃の負担が重視され、
今年七月三十一日付で不支給の取り消しが決まった。小松労働基準監督署が支給を正式に決める。

再発防止取り組む
北国新聞コメント
近藤洋平さんの労災認定に北国新聞社グループ広報部は二日、コメントを出したほか、本紙の取材に文書で回答した。
遺族側が主張している上司のパワーハラスメントについては本紙に「そのような事実は認識しておりません」と答えた。
コメント原文は次の通り。
「当社の従業員のご逝去については、ご遺族の皆様にあらためてお悔やみを申し上げるとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
従業員の生命が失われたことに関しては、大変残念に思っております。
グループ会社である販売会社での勤務に起因した精神障害の発病であると認定されているとのことであり、誠に遺憾です。
当該従業員の死を無駄にせず、二度と同じ事態が起きないよう取り組んでまいります」


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« メンタルヘルス不調者がさら... | トップ | 長時間労働で労災認定 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

情報」カテゴリの最新記事