中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

職員自殺の責任認める

2020年06月26日 | 情報

この事案も安全配慮義務の問題です。
時間外労働の時間数は、明らかな事実ですから、行政側も認めざるをえないのです。

 

町長、職員自殺の責任認める 苦情続き146時間残業 

2020618日 朝日

 

標津町職員の鈴木雄大さん(当時24)が昨年7月に自殺した問題で、
町から調査依頼を受けた法律事務所(札幌市)が、長時間労働など過重な業務が自殺を引き起こしたとして、
町に対して「安全配慮義務違反があった」とする報告書をまとめたことがわかった。
町は法的責任を全面的に認め、遺族側に伝えた。

昨年4月、人事異動で鈴木さんが所属する商工観光課の同僚がすべて入れ替わった。
鈴木さんは教育旅行の受け入れ業務を新たに1人で担当したが、業務量は例年の3倍に上った。
だが元上司の引き継ぎが不十分で、業務が滞り、旅行会社からの催促や苦情が続いた。
亡くなる前の2カ月間は月平均146時間の時間外労働をしていた。

町は法律事務所に依頼し、法律事務所は鈴木さんは精神的に追い詰められて自殺を図ったとする報告書を
昨年12月にまとめた。
だが町職員からの聴取が不十分とする指摘があり、町はあらためて別の法律事務所に再調査を依頼していた。

再調査の報告書は「町は鈴木さんの長時間労働が続いている事実を把握しながら是正せず
滞った業務状況を適切に把握して必要なフォローも行っていない」として、
町に安全配慮義務違反があると結論づけた

鈴木さんの母親、龍子さん(56)は「しっかり調査してくれた。
だが町がなぜ、あんな無謀な人事をしたのかや元上司の責任がはっきりしない。
公の場で説明や謝罪をしてほしい」と話している。
金沢瑛町長は朝日新聞の取材に「大きな責任を感じている。
今後については弁護士と協議したい」と答えた。

 

北方領土啓発の修学旅行対応に忙殺 24歳の町職員自殺

2020112日 朝日

 

標津町の男性職員(当時24)が過度の時間外労働による心理的負担から昨年7月に自殺したと結論づけた
第三者調査結果は「同町で多くの職員の長時間勤務が常態化している様子がうかがわれる」と指摘。
町側に勤務状況の早急な改善を強くうながした。

背景には、北方領土問題の啓発事業の一環として同町はじめ周辺自治体を訪れる修学旅行の急増など、
地域特有の要因もある。

亡くなったのは、北海道教育大学釧路校を卒業して2017年4月に町役場に入った鈴木雄大さん。
町の依頼によって中標津町の梅本英広弁護士がまとめた調査結果には、
鈴木さんの商工観光課で対応した教育旅行の町への受け入れに関する膨大な作業量が詳細に記されている。
たとえば昨年4月の人事異動後に鈴木さんが対応しなければならなかった学校などの予定受け入れ団体は
22、受け入れ人数2443人に上り、旅行会社などの連絡先だけでも14カ所に及んだ。

しかも、こうした団体からの照会は人数の変更、参加者の部屋割りやアレルギー対応、
食事の予約・料金、食事会場・風呂場の詳細、催しの日程調整など極めて多岐にわたった。

「案件はばらばらで個別の対応を要し、業務量は1人では完了できないものだった」と調査結果は指摘した。

にもかかわらず、元上司が鈴木さんに残した引き継ぎ資料は「後日、個別に引き継ぐこととしたい」
といった記述が多く、町役場に入って3年目の鈴木さんに対するものとしては、きわめて不十分だった。
さらに調査結果は、上司も引き継ぎの不十分さを認識していたが抜本的な改善策をとらず、
他の職員からも支援、協力を受けることはなかった、との見方を示している。

 

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