中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

慎重な対応が必要です・補足説明

2013年10月30日 | 情報
10月25日の「慎重な対応が必要です」において、言葉足らずで誤解を招きかねない表現がありましたので、
ここで補足説明をします。

10月25日の「慎重な対応が必要です」では、

>場合によっては、従業員の精神疾患の発症でも、会社が労災申請することも考えられます。
>ですから、精神疾患の発症で従業員が休職する場合でも、会社はなぜ精神疾患を発症したのか原因を追究しておく必要があります。
>これにより、従業員自身が労災申請したことにより、
>御社に労基署の調査が入っても、慌てる必要がなくなり冷静に対応することができます。

としましたが、確認するまでもなく、労災申請するのは、あくまでも被保険者(労災にあった労働者)自身でしなければなりません。
 
労災保険法第12条の8、2項
前項の保険給付(傷病補償年金及び介護補償給付を除く。)は、労働基準法第七十五条 から第七十七条 まで、
第七十九条及び第八十条に規定する災害補償の事由(略)が生じた場合に、
補償を受けるべき労働者若しくは遺族又は葬祭を行う者に対し、その請求に基づいて行う。

しかし、普通の労働者は労災の申請方法などは、全く分りませんので、労災であることが明らかであれば、
会社がその労働者名で代わりに必要書類を用意して、労災申請するのが通常です。
ところが、精神疾患を発症した場合は、これが私傷病なのか労災なのかを、会社は俄かに判断できません。
通常、多くの場合は会社が私傷病扱いしますので、当該労働者に何ら手を差し伸べないという状況になります。
ですから、労働者が「これは、労災じゃないか」と思っても、会社は協力してくれませんから、
自分自身で労災申請の手続きをしなければなりません。
これが、申請に対する労災支給決定率が、著しく低くなる原因となっているのです。

24年度認定率 39.0% 、23年度認定率 30.3%

しかし、以下のような状況の場合には、労働者任せにしないで、会社がある程度の助言をするのは、吝かではないと言いたかったのです。

>ここで注意したいのは、「4位 悲惨な事故や災害の体験、目撃をした 51件」は、例え自社が惹起させた労災事故だとしても、
>派生的に起きた事案ですし、「10位 顧客や取引先からクレームを受けた 13件」などは、会社があえて秘匿する必要のない出来事です。

事実、労災保険法施行規則23条では、会社側に助力義務があることを定めています。

(事業主の助力等)
第二十三条  保険給付を受けるべき者が、事故のため、みずから保険給付の請求その他の手続を行うことが困難である場合には、
事業主は、その手続を行うことができるように助力しなければならない。
2  事業主は、保険給付を受けるべき者から保険給付を受けるために必要な証明を求められたときは、
すみやかに証明をしなければならない。

(事業主の意見申出)
第二十三条の二  事業主は、当該事業主の事業に係る業務災害又は通勤災害に関する保険給付の請求について、
所轄労働基準監督署長に意見を申し出ることができる。
2  前項の意見の申出は、次に掲げる事項を記載した書面を所轄労働基準監督署長に提出することにより行うものとする。
一  労働保険番号
二  事業主の氏名又は名称及び住所又は所在地
三  業務災害又は通勤災害を被つた労働者の氏名及び生年月日
四  労働者の負傷若しくは発病又は死亡の年月日
五  事業主の意見
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