中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

新バージョンの開発は

2021年11月29日 | 情報

ストレスチェック制度の運用に関するオンラインセミナーを視聴していたら、
ある参加者から以下のような質問がありました。

「職業性ストレス簡易調査票の新バージョンの開発は予定されているのでしょうか?
ストレスチェック制度が始まりしばらく経ちましたので、質問項目も同じで、
飽きがでている印象もあります。
また、テレワークが多くなり、作業環境において、少し実態との乖離も感じることがあります。」

尤もな質問です。最近の当ブログでも取り上げた話題と共通します。
講演者は某産業医なのですが、対応として「新職業性ストレス簡易調査票」(80項目版)を
紹介していました。以下から参照できます。

https://mental.m.u-tokyo.ac.jp/jstress/ 東京大学・川上教授

さて、産業医らしい回答なのでしょうが、これでは質問者の質問の意図を理解したうえでの
回答とは云えないでしょう。
「新職業性ストレス簡易調査票」(80項目版)は、一般的なストレスチェック調査票(57項目版)に、
仕事に対する「エンゲージメント(モチベーションなど)」や、
「職場環境」「ハラスメント」についても測定できる質問項目が追加されているだけなのですから。

なお、新バージョンの開発は無理でしょう。はっきり申し上げれば、あり得ないでしょう。
やはり、小職が主張(10/25,10/26,11/2の小職ブログ参照)しているように、
企業・事業場では、7年目(多分)に入ったストレスチェック制度の運用は限界なのでしょう。

従って、小職が勧める代替策としては、義務化されているストレスチェックは実施するものの、
その後の一連の解析は行わず、産業医がチェック表から問題があると認められる従業員と
通常の産業医面談を行い、問題の深刻化を防ぐ対応をとれば問題はなくなるでしょう。
それに、ストレスチェックを外部委託しているのであれば、
その費用を産業医、精神保健福祉士等の面談費用に転用すれば、対応は十二分でしょう。
ただし、努力義務となっている集団分析は、事実上できませんので、
態勢が整うまで、先送りしてはいかがでしょうか。
なお、社内には、当面の間、その理由と集団分析は行わないことを周知しておくことが必要でしょう。

 

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