中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

(主治医・産業医シリーズ②)産業医と主治医の違い

2024年07月04日 | 情報
〇もっとも異なることをあげれば、主治医は「診療行為を行います」が、
産業医は「診療行為を行わない」ということです。

ただし、産業医が業務を行う施設が診療施設として認可されていれば、医療行為は可能になります。
因みに、一部の大企業には、社内組織に診療施設を設置しています。

〇医師以外も産業医の資格を取得できます。

参照;安衛則第14条第2項
1.厚生労働大臣の指定する者(日本医師会、産業医科大学)が行なう研修を修了した者
2.産業医の養成課程を設置している産業医科大学その他の大学で、
厚生労働大臣が指定するものにおいて当該過程を修めて卒業し、その大学が行なう実習を履修した者
3.労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験区分が保健衛生である者
4.大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授、常勤講師またはこれらの経験者

〇次に、産業医と主治医には、立場の違い、位置づけに違いがあります。

産業医は、企業と従業員との間で中立的な立場です。
産業医は企業に選任され、報酬も企業から支払われていますが、独立性と中立性を確保した立場でないと、
法令で定められた産業医の役割を遂行することはできません。
一方で、主治医は、患者オリエンテッドで治療行為を行います。

〇 主治医の診断書と産業医の意見書との違いがあります。
ですから、時々、主治医の診断書と産業医の意見書の違いによって問題が惹起することがあります。

主治医は、症状が改善したか、患者の体調が回復したか、
安定した日常生活を送ることができるか等、総合的に考慮して判断します。
一方で、産業医は、従業員が安全に通勤できるか、所定の労働時間で問題なく働くことができるか等を確認し、
担当する業務に支障がないか、安定して業務を行なえる状態にあるかどうかを総合的に判断した意見書を会社に提出します。

結果、主治医が治癒、あるいは寛解したと認めても、当該労働者は就労できないことも起こり得るのです。

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