中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

教頭は、管理監督者ではない

2019年02月03日 | 情報

この事案も、長時間労働+パワハラの典型例です。
もう一つ注目すべき点は、労基署が「教頭ではあったものの、残業代支払いの対象外となる労働基準法上の
「管理監督者」にはあたらない」と判断したことです。
「管理監督者」の定義が揺れるなかで、今後の参考になります。

自ら命絶った教頭、過労自殺と認定 長時間労働など要因
2019年2月1日 朝日

昨年3月に自ら命を絶った私立大阪緑涼高校(大阪府藤井寺市)の男性教頭(当時53)の死について、
羽曳野労働基準監督署は、恒常的な長時間労働や上司との関係などが要因となった労災(過労自殺)と認定した。
1月25日付。遺族側への取材でわかった。
遺族側代理人の松丸正弁護士(大阪弁護士会)によると、男性は2015年度に教頭に就任。
昨年3月29日未明、校内で自殺した。
遺族側は、男女共学校への移行に伴う事務作業の増大などで時間外労働が月200時間超に達したり、
上司から執拗(しつよう)な叱責(しっせき)を受けたりして適応障害を発症したのが死の原因と主張。
同校を運営する学校法人谷岡学園に損害賠償を求める訴訟を起こしている。
一方、学園側は訴訟の中で長時間労働やパワハラを否定。
亡くなった男性は管理職で自らの労働時間を裁量することができたとし、
「学校内にいたと見込まれる時間すべてで業務に従事していたとはいえない」と反論している。
また、上司の嫌がらせやいじめもなかったとして争っている。
羽曳野労基署の労災認定は遺族側の主張に沿い、業務と死亡との因果関係を認める内容で、
松丸弁護士は「教育現場のあらゆる責任を担わされる学校管理職の過重負担が社会問題化する中、
大きな意義を持つ労災認定だ」と評価している。
また、羽曳野労基署は男性について、教頭ではあったものの、
残業代支払いの対象外となる労働基準法上の「管理監督者」にはあたらないと判断。
生前の給与に、未払い残業代にあたる分を加えた額を基礎にして遺族への労災給付額を決めた。
男性の働き方の実態に即した判断とみられる。

<学校現場の過重労働> 文部科学省の2016年度教員勤務実態調査では、
過労死ラインとなる月平均80時間(週20時間)以上の時間外勤務の教員が小学校で約3割、中学校で約6割を占めた。
学校業務全般を担う副校長や教頭は、勤務時間が教員を上回る傾向も示されている。
中央教育審議会は1月25日、教員の時間外勤務の上限を「月45時間、年360時間」とするガイドラインを
盛り込んだ答申をまとめている。

上司とのトラブルも影響、教頭自殺で労災認定
2/1(金) 読売新聞

私立大阪緑涼(りょくりょう)高校(大阪府藤井寺市)で昨年3月、男性教頭(53)が自殺したのは
長時間労働などが原因だとして、羽曳野労働基準監督署が労災認定したことがわかった。1月25日付。
遺族側代理人の松丸正弁護士によると、男性は2015年4月に教頭に就任。
通常業務に加えて、学校の男女共学化の準備などを担当していたが、昨年3月29日に自殺した。
労基署は、職場のパソコンの記録などから、男性の死亡前2か月間の時間外労働が、
少なくとも月130~147時間に上っていたと認定。
上司とのトラブルも影響して男性は適応障害を発症し、自殺につながったと判断したという。
妻(46)ら遺族は昨年11月、学校を運営する「谷岡学園」(同府東大阪市)に
約1億2000万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴。
学園側は「心理的に負担となる長時間労働はなく、自殺との因果関係はない」として争っている。
学園は取材に対し、「係争中でコメントできない」としている。


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