熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

国立劇場1月歌舞伎:通し狂言 遠山桜天保日記

2023年01月21日 | 観劇・文楽・歌舞伎
   人気の高い遠山の金さんを主人公にした「通し狂言 遠山桜天保日記」、
   正に、見せて魅せる華やかな舞台で、新春気分満開。

   全国的な凶作による米価・物価高騰と天保の大飢饉、百姓一揆や都市への避難民流入による打ち壊しが起こるなど幕政を揺るがす事件が頻発した天保年間、
   老中水野忠邦が、綱紀粛正と奢侈禁止を命じ、華美な祭礼や贅沢・奢侈はことごとく禁止した天保の改革。
   遠山の金さんの嘆願によって歌舞伎が再開されたという故事に倣って、最終幕は、「河原崎座初芝居の場」の華やかなフィナーレ。
   冒頭の琵琶の音に乗った天保の改革のナレーションとこのフィナーレにに挟まれて演じられる菊之助の小三郎、松緑の角太夫、彦三郎の天学という悪党3人が繰り広げる悪事を、菊五郎の遠山金四郎が裁くと言うお馴染みの遠山の金さんの物語。
   お正月の祝祭芝居なので、テレビで見るような緊迫感も高揚感もない穏やかなストーリー展開だが、絵になるような舞台の連続が観客の拍手を呼ぶ。
   コロナの所為で、大向こうのかけ声がないのが一寸寂しいのだが、客の入りもパッとしないので、とうとう、国立劇場も、チケットの3割引で売り出し始めた模様である。

   菊之助が、
   最後の河原崎座初芝居の場では、彦三郎さんのご長男の亀三郎さん、(中村)梅枝さんのご長男の(小川)大晴くん、甥の(寺嶋)眞秀、息子の丑之助と、こどもたちも登場します。と語っていたが、有望な後継者が育ってきているようで、頼もしい。
   この舞台でも、尾上丑之助君が、尾花屋丁稚 辰吉を演じて素晴しい芸を披露して観客を喜ばせていた。流石に、人間国宝:菊五郎と吉右衛門二人の血を引いた孫役者である。

   国立劇場の正月歌舞伎は、菊五郎劇団の定番だが、紛れもなく、今の歌舞伎界での最高峰の劇団で、役者に人を得ているのは言うまでもなく、とにかく、舞台を支える端役役者にいたるまで芸が上手くて感激している。
   この下のビラ写真の主役の菊五郎、時蔵、松禄、菊之助の芝居を観る舞台であろうが、3悪人では彦三郎が出色であったし、女形の梅枝や右近の魅力も流石であり、ベテランの権十郎、萬次郎、楽善、左團次、亀蔵の芸の確かさなど、舞台の展開が楽しい。
   とにかく、芝居としては毒にも薬にもならないような見せる舞台かも知れないが、それでも観たい、
   そこが、歌舞伎の魅力であろうか。
   
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