熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

国立劇場・歌舞伎「毛抜」から宝生能楽堂・能楽祭「船弁慶」

2017年06月20日 | 今日の日記
   今日は、11時開演の「毛抜」の鑑賞に出かけた。
   夏期間の国立劇場の歌舞伎は、歌舞伎鑑賞教室主体で、6月は、「歌舞伎十八番の内 毛抜」で、7月は、「鬼一法眼三略巻 一條大蔵譚」で、社会人のための公演もあるが、主に、高校生など学生のための公演で、前半に、若手歌舞伎役者による解説 歌舞伎のみかたがあるが、その後は、纏まった一幕形態の名舞台が上演される。
   演者は、今回の毛抜は、中村錦之助、次回の一條大蔵譚は、尾上菊之助が主役を演じるなど、全く、本公演と同じ手抜きなしの舞台が上演されるので、見ごたえ十分である。
   学生主体で、予約の大半が埋まるので、我々一般ファンは、3階の2等席しか取れないことが多い。

   この「毛抜」は、磁石を小道具にしたお家乗っ取り芝居で、江戸時代の庶民の関心事が磁石にあったと言うことが分かって、何となく不思議な気がするのだが、面白い。
   錦之助や孝太郎など芸達者なベテランが、若手の良さを存分に引き出して、素晴らしい舞台を展開して楽しませてくれる。

   前半の解説は、舞台装置や歌舞伎のシステムなどの紹介は同じだが、毎回、工夫を凝らして、少しずつその内容やプログラムを変えながら、興味深い話題を取り上げて進めていて、勉強にもなるし面白い。
   今回は、毛抜きの主役・粂寺弾正を演じた錦之助の長男中村隼人が、タレント並みの歯切れのよい解説を行って、好評であった。
   中村隼人オフィシャルブログのタイトルをバックにディスプレイして、歌舞伎の良さ楽しさをSNSで発信してほしいと言って、許可を取ったので、スマホで撮って良いと言って舞台から客席に降りて花道に上がったり、ポーズを取っていた。
   3階からのデジカメ写真を引き伸ばしたのでピンボケだが、その一部を紹介したい。
   
   
   

   その後、何時ものように、神保町に出て、書店をはしご。
   岡野弘彦の「恋の王朝絵巻 伊勢物語」を買った。
   能舞台で、在原業平をシテにした曲があったり、結構、伊勢物語から主題を取った曲があって、勉強も必要であるし、恋と言う一字に惹かれて、読んでみようと思ったのである。
   帰りの横須賀線で読んだのだが、いつも読む無色無臭の経済学や経営学書よりは、リラックスできて、はるかに面白い。

   2時半からは、宝生能楽堂で、能楽協会主催の恒例の「能楽祭」。
   能楽祭のプログラムは、次の通り。
    舞囃子 宝生流「八島」 シテ金井雄資
    独吟 金剛流「放下僧」 種田道一
    仕舞 喜多流「井筒」 香川靖嗣
    一調 金春流「百万」 本田光洋
    狂言 大蔵流「文山立」 シテ大藏彌太郎
    能 観世流「船辨慶 重キ前後之替」 シテ観世喜正

   船弁慶は、何度か観ているのだが、義経の大物浦からの船出を主題にした曲で、前半は、静御前との別れ、後半は、怨霊として現れた知盛との対決である。
   シテの観世喜正は、前場では、優雅で美しい静御前を、後場では、勇壮な平知盛の怨霊を舞って、非常に印象的な素晴らしい舞台を見せてくれた。
   
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